東混での成果(続)
その分離唱のつぎに、三声唱というのがある。これは、それぞれの組をさらに三分してCをうたう組、Eを、Gを、というふうに分けておいて、再び、ピアノの和音により、それぞれが、分担の音をそれにとけこませれはよい。ピアノの振動を止める。すると、残された人声は、CEGの長三和音の純正なひびきを美しく残す。
もちろん、CFA、HDGも、同様な方法で行なう。東混ではカデンツとして、CEG→CFA→HDG→CEGというように行なっているそうだ。
他の調に行くときは、そのトニックから、同様にはじめればよい。それも、下属調(FAC、でなく、C調と関連させるためにCFAからはじめるらしい)から属調(GHD。これも同様に、C調の関係調として、HDGの転回形をトニックにするそうだ)
分離唱も、EGCとか、GCEとかの転回形でも行なう。三声唱の発音は、アー、とか、ヤーなどでやると効果的だそうだ。また、声部を入れかえてやってもみるという。たとえは、ベースをテナーと入れかえてみる。すると音の和声的な配置が自覚できることにもなる。
最後に、コラールブックから、簡単なコラールの練習。原語だったり、母音だったりでうたい、音量のバランスや音色から、全体の流れやひびきを実感させるのだそうだ。
以上の練習は、毎週一回だけ行なっている。佐々木氏の門を再びたたいた増田さんには、東混をさらに一層美しくしようとする情熱もうかがえるのだ。
佐々木氏も話していたが、この方法は、なまじか譜の読める人のほうが時間がかかるそうだ。階名唱のパート練習や、コールユプンゲンも、ハーモニーを作るには適したやり方でないとは、増田さんも話していた。
ついでながら、三年まえ結婚した増田邦明さんの奥様も、東混のソプラノで、夫婦むつまじく歩きまわっているときいた。増田さん夫婦にとって、合唱のなかに生活がある、といった毎日であるらしい。
特集 “野の花”のごとく (その9)
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