月別アーカイブ: 2015年8月

「サクラサク」

「サクラサク」
さだまさし

短編集:「解夏」の最後、四作目です。

主人公は50歳代の働き盛り、仕事では会社の役員への糸口もつかんで充実。そんなときに同居の父が惚けの様相を示し始める。症状の出ていないときは家族をおもいやり心配してくれる父、しかし症状はどんどんすすんでいく。子どもとの関係、妻との関係など難しくなってそのままにしてていたが、正気の時の父はそんな家族のこれからを思いやってくれる。

出世をあきらめ病状が進んで向こうへ行った父の魂をまた一度こちらへ取り戻そうとするなかで家族をとりもどしていく、そんな物語、よい味わいの短編でした。

(5.5k)

「秋桜」「水底の村」

「秋桜」「水底の村」
さだ  まさし

短編集:「解夏」の一作目「解夏」は紹介しました。

二作目は「秋桜」、フィリピンから来た女性が主人公。ダンサーや水商売を経て農家の跡取りと結婚し、偏見の多い中でも日本にしっかりと根付いていく。この男性のお父さんがまるで準主役、よい人物を描いています。

三作目は「水底の村」。子どもの頃に住んでいた村がダムに沈んで、街へ出た幼なじみでいとこ同士の物語。私の実家のちょっと上流にも昭和の終わり頃にダムができて、私の記憶にある村が沈みました。この物語では沈んでいた村が渇水で姿をあらわすのですが、現実には建物はすべて取り壊して人工的なものは何もない状態にして湛水します。家々がたったまま沈めてしまうというのはかなり古い時代の話ではないでしょうか。でも、やはりその部落の光景などを想い描きながら読みました。
一作目に続き、両作品とも美しい短編でした。

7月のウォーキング

遅くなりましたが7月のウォーキングの報告です。

2015年7月

歩行距離 : 92.4km
歩行日数 : 19日
ウォーキング実施率 : 61.3%
1日平均歩数 : 6687歩

今年1月からの歩行距離 :  679km
歩き始めからの歩行距離 : 6054km

7月は少しペースダウン。Bluetoothスピーカー設定に苦戦した末、レジストリをいじるなんてことを回避するため、この際だからWindows7をWindows8にバージョンアップ。その影響で各種のソフトの設定が遅れ、特にウォーキング集計に使っているExcelの再インストールが遅れました。集計が思うようにできないとなると、歩く意欲も損なわれるものですね。そんなわけで途中まではいいペースで歩いていたのですが下旬にペースダウン。

この影響は8月も続いています。

墓守り

「解夏」の中では何度も墓参りの場面が登場します。こうした表現を読んでいると、この作者もまた年に何度となく墓参りをするという生活の中で育ち、長崎を出た後も規制すると墓参りをするというふうにしてきた人なのかなと思います。長崎という土地柄・風習もあるのかもしれません。

先日テレビに広い海の見える共同墓地が映っていました。盆に迎え火を焚きにお墓に行くのだそうです。そうして墓を守ってきた人々の暮らしの一方で、最近は訪れる人もなく荒れ果てた墓が増えてきているのだそうです。

そういえば私たちも春秋の彼岸と夏の盆前には墓の掃除をし、墓参りを繰り返してきました。時には隣の墓まで除草をし、また時には近所の方が我が家の墓まで除草してくれます。花を生け線香をあげ、手を合わせることもまた近所同士お互い様で続いています。長年訪れる人のない墓まできれいに除草してあげる人もいます。そんな風にして守ってきた田舎の生活・思いやり、いいなと思います。しかし、これから先は助け合っていくのには人が足りなくなっていくのかもしれません。

「解夏」

解夏「解夏」
さだ まさし
幻冬舎

さだまさしの短編集「解夏(げげ)」です。この本に掲載されている一作目が「解夏」。

失明に至る難病にかかってしまった主人公が職を辞して故郷:長崎に帰り、母と一緒に墓参りをするところから始まります。友人の眼科医、その友人に紹介していただいた同じ病の経験者、婚約解消したはずが長崎まで来て主人公に寄り添ってくれる婚約者、寺で巡り会う宗教家の老人等々多くの人のやさしさに囲まれながら失明という重い運命を受け入れていくまでを描いています。

最後は泣けてしまいます、短編ですが秀作だと思いました。さだファンになりそうです。

(5.4k)

「ニワトリ号一番のり」

ニワトリ号一番のり「ニワトリ号一番のり」
J.メイスフィールド
木島平次郎 訳
寺島 龍一 画
福音館書店

初めてきく小説でしたが「福音館のこのシリーズ、古典の名作だよな」と思い借りてきました。

中国からロンドンへ茶を運ぶ帆船(クリッパー)の競争に、はじめに乗っていた帆船が沈んでボートで漂流。新たに無人の帆船に遭遇し、この船で一番乗りを目指すという意外なストーリーでした。

船舶用語・航海用語が多く使われ、船の好きな人ならともかくなかなかその専門的な世界が理解しきれない感じがします。「児童書なのに・・・・?」、とも思うのですが、子どもの場合は却って集中力がありその世界に浸れるのでしょうか。

はじめに乗っていた陰険な船長、漂流するボートの中でもくせ者の同乗者が何人かおり、いやな雰囲気をなかなか抜け出せないストーリー。でも最後は表題通りの結果に幸せな気分でした。あ、それからもう一つ、挿絵がいいんだよね、この時代。

8月の合唱

8月の国分寺の合唱がありました。
今回集まったのは、S:4,A:4,T:5,B:2という構成。転勤で関西に戻られたSさんも東京出張に伴い3ヶ月ぶりに参加してくれました。

いつものように分離唱から始まり、それから賛美歌

しずけきいのりの
ガリラヤの湖畔
主よこころみ
かいぬしわが主よ
やさしくともをむかえよ
こころのおごとに
ひとたびは死にしみも
むくいをのぞまで
しずけきかわの

音感合唱曲集Ⅰから、

すすき
よしきり
ひかりのお宮
我は幼く

ここで休憩。
休憩時間の激論(笑)を鎮めようと、男声合唱を唱い始めました。

Adoramus Te
今は若き子

バスが少ないのでテナーからHさんがバリトンにきてくれました。一番唱いなれている「Adoramus Te」もちょっと怪しいところがあり、ピアノで弾いてもらっての確認。そしてまた無伴奏で。バリトンが主旋律となる「今は若き子」、はじめてのHさんも「ソロは得意だそうですよ」と冗談を飛ばしながら。でもやっぱり上手です。

練習後半は、

渓川したいて
からたちの花

音感合唱曲集Ⅱから、

ひばり
うぐいす
緑の森よ

以上で練習を終えました。

バスが2人だけと寂しかったのですが、「渓川したいて」のようなちょっとハードルの高い曲になるとテナーのHさんが手伝ってくれます。そうしていただくとやっぱり唱いやすい。
今回はいつも以上に厳しくハーモニーを指導していただきました。賛美歌「主よこころみ」は部分的に何度もピアノを弾いていただいてのハーモニー指導、やはりこうしていただくと私自身も変わるようです。一度唱った曲がちょっと違った響きに聴こえてきました。

次回のあつまりは6週間後、月一度の楽しみも今回は間隔が長く待ち遠しくなりそうです。

(5.3k)

朝顔カーテンの今

猛暑真っ盛り、久しぶりに朝顔カーテンの報告です。

朝顔8-1

一階から二階バルコニーにかけて張ったネットを全面覆いました。このところの琉球朝顔の開花数は約70。まだまだ葉がお見合ってきてもいいなと思うのですが、ほどほどの風通しということを考えるとこれくらいでもいいのかもしれません。

朝顔8-2見上げるとこんな感じ、たくさん咲いているのがうれしくなります。まだまだ開花数も増え続けてくれるでしょう。

「春雷」

(祥伝社・1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

「春雷」
葉室 鱗
祥伝社

またまた葉室作品、今年3月発行の新刊本です。この人の作品、今まで読んだものはすべて時代ものでした。江戸時代の地方小藩を舞台にした小説、そして武士とその近くの女性を描くことが多いようです。

今回は藩財政立て直しのために悪役を全て引き受けた鬼隼人と呼ばれる主人公、一緒に干拓の仕事に携わる人食い七右衛門、大蛇の臥雲、あとから加わる玄鬼坊とよくこういう名前を集めたなと思いますが、わかりにくい主人公の背景や真意が最後に解き明かされていく感じです。

今回はストーリーには少々強引さを感じてしまいましたが、正義がかたられていくのはやっぱり面白いなと思います。

(5.2k)