月別アーカイブ: 2016年3月

銀二貫

銀二貫

銀二貫
高田 郁
幻冬舎

 昨年NHKで放映された同名ドラマの原作です。

銀二貫で買われた敵討ち、助かった武家の少年が寒天問屋の商人として成長していくおはなし。この作品でも作者の料理や食材へのこだわりが物語の中に流れています。繰り返される大坂の大火、寒天づくりの大変さ、新しい糸寒天の産みの苦しみ、そしてまた羊羹の誕生物語でもあるようです。描かれている人たちも人情味いっぱいです。

銀二貫は天満の天神さんに寄進するための大金、大坂商人の天神さんへの信仰の厚さは私たちの想像を超えるもののようです。店の主人が長年かけて蓄えたその大金をここぞと言うときに惜しげもなく投ずる場面が何度か登場します。敵討ちと引き替えに渡された銀二貫もまたその武士の郷里で生かされていました。ドラマでは銀二貫の重さがあまりわからなかったのですが、小説ではこの表題がなるほどとうなずけます。

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今朝の春

今朝の春今朝の春
みをつくし料理帖
高田 郁
角川春樹事務所

 みをつくし料理帖シリーズは9作。1作目が気に入って続きを読もうと近くの図書館隣の図書館と歩きましたが2作目にたどり着かず、やむを得ず借りたのが第4作の「今朝の春」でした。早く先を読みたい気持ちには勝てず、はなしの順序が違うだけのことと我慢してこういうことになったのです。

1作目のときには内容に余り触れませんでしたので少し。主人公:澪は幼くして家族を失ってしまったのですが、現在は料理屋「つる屋」の女料理人。恩ある大阪の有名料理屋の御寮さんにと二人で今は江戸暮らし。つる屋の主人:種市、馴染み客の医師:源斉、つる屋でいっしょに働くご近所のおりょう、辛口ながら主人公に適切な助言を与える武士の小松原など多くの人の温かさに囲まれて現れたハードルをクリアするごとに新しい料理を生み出していく、何ともあったかいおはなしです。この巻では大阪の洪水で生き別れた幼なじみも登場してきます。今回も収められていたのは四つのミニストーリー、いずれも楽しめました。

2作目は図書館ネットワークで取り寄せを予約しておきました。次からは順を追っていけそうです。

江戸東京たてもの園

江戸東京たてもの園13月20日国分寺の合唱がありましたがその午前中、小金井公園の中の江戸東京たてもの園に行ってみました。多くの歴史的な建物が集められていて、駆け足でまわりました。でも一カ所くらいは建物内に入ってみようと足を踏み入れたのは戦後に建てられた三井財閥の邸宅です。現在放映中の朝ドラの主人公生家が東京に移ったのが三井家ですよね。大富豪の邸宅の中とはこんなにすごいのかと、上野公園近くの岩崎邸を思い出しました。三井邸の方は広大な敷地の中に建造物も多く岩崎邸をもしのぐものだったのでしょうが、残念ながら戦災で焼けてしまい、戦後に建てられて一部をここに移転して見学できるようにしてくれたようですが、それでも内装には圧倒されてしまいます。

江戸東京たてもの園2
江戸東京たてもの園3

三井邸の庭にはサンシュユの花、そしてしだれ桜が開花を初めていました。

 

江戸東京たてもの園4ボランティアの方がたくさんいて、中には草花に詳しい人も。咲き始めた花に案内してくれました。ダイコンの花も見事に紫の絨毯となっています。

 

江戸東京たてもの園5それから商店を並べた町並み、ここが一番の売りでしょうね。タイムスリップしたかのような気持ちになってしまいます。わずか1時間ではもったいない、また機会を見てゆっくりと歩いてみたいと思います。

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第9回さらりと音楽談義

いつも楽しみにしている音楽談義、3月のモチーフは「はじめとおわり」でした。中央の春らしいやわらかな花を囲んで長テーブルが6脚、参加は15人でした。

9th音楽談義1

 

参加者の前のテーブルにはおやつが、今回もくつろいだ楽しい時間の始まりです。

9th音楽談義3

 

いつものようにまず先生が話し始めます。人類の歴史から地球の歴史、さらには宇宙のことの話が及び「長~い時間」を想像させるお話。

「人類がいなくなっても地球の一生は終わらない。その時地球は、『あ~、スッキリした。』なんてつぶやくのかもしれない。」

なんて、ユーモアのある先生です。人間の一生も地球や宇宙の時間にしてみれば一瞬のこと、その一瞬を充実させるために音楽・芸術があるんだとのことでした。
それから参加者にはなしを振ると、ある大学教授が「ゾウの時間、ネズミの時間、身体の大きさで流れる時間の早さ(時間の感じ方)がちがうんだ。」といったとか、先生の話をきっかけに興味深い方向にはなしが展開していきました。
以下、先生の名言の数々です。

・一期一会、時間は一瞬の連続、一瞬一瞬を大切にしないと。
・音楽時間は、時計時間に合わせるのが正しい、メトロノームに会わせるのが正しい、という考えがあるがそうじゃない。
・指揮者は構図を描きデッサンしている、時間の変化をコントロールしている、時間を与えている等々。
・音色・強弱は練習で、練習と本番が違うからおもしろい。
・明治以来、音楽を嫌いにするようなことをしてきた。強い弱いをリズムと教え込んだ。等、日本の近代音楽が誤った方向で行われてきた面がある(というようなニュアンス)。
・指揮者はメンバーを操り人形のようにするタイプと音楽を楽しくするようなタイプがある。

休憩時間に今回はピアノを弾いてくれました、まず即興演奏を一曲。それから希望したイメージを即興で弾いてくれるということで主催者側の方が希望を出しました。
「川を遡上する鮭、ジャンプも・・・・」と。そして即興ピアノが始まりました、大きな川を鮭が群れをなして泳いでいる、水の流れにもまれながら上流に向かっておびただしい数の鮭が泳いでいく、ときにはジャンプ、岩場をジャンプ・・・・、そんな情景が脳裏に描かれました。
更に後半も興味深いおはなしが聞けました。

・ロボットは音楽を演奏できない。
・人間の感覚は進化しない。快い、危ういという感覚は変わらない。
・きたないい音まで美しいと思うようになると、人間は自分の身が守れなくなる。 等々。

終了時間を過ぎて司会の方が、「このメンバーは最後に先生の演奏を聴かないと今夜は眠れないから」と、強引にまた先生の演奏をねだってくれました。今回もピアノの即興、曲の途中に「さくらさくら」のメロディーが流れたりしました。楽器ケースを指して図々しくも、「もう一つ箱をもってきていますから・・・・」と更にヴィオラ・ダ・モーレの演奏をおねだり。これまた即興曲を聴いてこの日の音楽談義を終えました。

9th音楽談義2

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八朔の雪

八朔の雪八朔の雪
みをつくし料理帖
高田 郁
角川春樹事務所

 知り合いの薦めもあり、高田作品をはじめて読みました。

舞台は江戸時代の町中、料理の世界に生きる女性:澪が主人公で、人情味あふれる人たちに囲まれ主人公が様々な困難を克服しながら料理人として成長していく物語です。300ページほどの文庫本で中にはミニストーリーが四話、一ストーリーごとに新しい料理が一つ生まれていきます。今までこの時代を描いたものは武家ものばかりでしたが、こういう江戸の町中の営みを描いたものもいいですね。
巻末には物語の中で語られた料理のレシピも紹介されています。

みをつくし料理帖シリーズは10冊ほど、他の作品も含めてこれから高田作品をゆっくり楽しみたいと思います。

温暖化論のホンネ

温暖化論のホンネ温暖化論のホンネ
「脅威論」と「懐疑論」を超えて
枝廣淳子・江守正多・武田邦彦
技術評論社

 先日、枝廣淳子さんの「持続可能で幸せな地域へ」と題する講演を聞きました。原発等の地元での推進派と反対派の対立はよく聞くことですが、この方は両者の対話の場を作り出すことを何度も手がけているとのことでした。主張が融和することはなくとも互いの主張に理解を示すことは大事なことだと。そして温暖化について懐疑論の武田さんとのことなども、そしてこの本のことも話題に上がりました。温暖化研究者の江守さん、そして武田さんと環境ジャーナリスト:枝廣さんの鼎談の本。武田さんは「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」のシリーズなど刺激的なネーミングの本が出ており、私も若干は読んだことがあります。このかたの理詰めで論じている「懐疑論」に「脅威論者」の二方がどのように対応するのか興味深く、図書館で取り寄せていただいて読んでみました。

読後感は・・・・、あまり言いたくはないですね。理解できるところもあるけれど。T氏の毒気にあてられてしまった感じです。後味は・・・・、あまりよくないな~。と、これだけにしておきます。

「音楽教育に光!」

月刊誌「世論時報」、1979(昭和54)年12月号・1980(昭和55)年と2回にわたって連載された

「音楽教育に光!」
http://susuki.chips.jp/?page_id=5387

を載せました。佐々木先生の著書「耳をひらく」との出会い、入門・レッスン、梨大合唱のこと、分離唱による音楽教育の実践がつづられています。

是非、お読みください。

限界集落株式会社

限界集落株式会社限界集落株式会社
黒野伸一
小学館

 図書館で見つけました。2年ほど前にテレビドラマ化されたお話の原作です。表題の通り人口減少が著しく衰退の一途をたどる村の再生の物語。Uターンして農業をやっている正登、その娘で村で育ってやはりサラリーマンから農業に戻った美穂、銀行を辞めた経営のプロ優の3人が主人公。この3人それぞれを代わる代わる話題にしながら物語が展開します。

農業法人を組織して主人公3人のほか、集落の人たちや収納体験の研修生などそれぞれの個性を生かして軌道にのせていく。役場の職員の限界集落と見捨てた態度や、うまく行きかけるとすり寄り、危機が訪れるとはなれていく、そんな周囲の陰険さに囲まれながらも危機を乗り越え集落の賑やかさを取り戻していく、先へ先へと読み進みたくなるストーリーです。

でも危機の内容は、ドラマとは違っていました。そして物語の締めくくりも。ドラマを見た人にも楽しめると思います。

 

梨大演奏会の記録、追加しました

梨大合唱団演奏会の記録追加

山梨大学合唱団第36回定期演奏会
山梨大学合唱団第37回定期演奏会
山梨大学合唱団第38回定期演奏会
山梨大学合唱団第39回定期演奏会
山梨大学合唱団第40回定期演奏会
山梨大学合唱団第41回定期演奏会

の記録ページを追加しました

 

定期演奏会と同様に演奏会パンフレットをPDFファイルでご覧ください。
以下のリンクです。

山梨大学合唱団第36回定期演奏会
山梨大学合唱団第37回定期演奏会
山梨大学合唱団第38回定期演奏会
山梨大学合唱団第39回定期演奏会
山梨大学合唱団第40回定期演奏会
山梨大学合唱団第41回定期演奏会
こちらから、他の演奏会の記録もご覧下さい。

 

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