「水車小屋のネネ」
津村記久子
毎日新聞出版
母親の再婚にともない、内定していた服飾の短大への進学を諦めざるを得なくなった姉:理佐(18歳)とネグレクトのような状況の妹:律(8歳)。家を出て姉が働いて独り立ちし妹を育て、二人で成長していく物語。就いたのは蕎麦屋さんのホールでの仕事と水車小屋でそば粉を挽く仕事。水車小屋には人間と会話ができるヨウムのネネがいてそば打ちに欠かせない役割を担っている。姉妹と蕎麦屋さん夫婦、老女性画家、律の同級生とそのお父さんなど多くの人がネネの世話をし、ネネ自身も人と関わり共に生きていくのが心を暖かくしてくれるような小説です。
オウムのようにただ人間の真似をするだけでなく、ある程度の思考能力があるようなネネが愛らしく描かれていますが、調べてみると実際にヨウムという鳥は知恵もあり長命で、お話の中でのヨウムの賢さは嘘ではないようです。本屋大賞候補作。