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「ペットねずみ大さわぎ」

ペットねずみ大さわぎ

「ペットねずみ大さわぎ」
フィリパ・ピアス
高杉一郎訳

 主人公:ビルは母・義父・妹2人と暮らす少年。友だちからもらい受けたジャービル(ねずみ)2匹をこっそり飼い始め、それが父母に見つかってしまう。兄妹が可愛がるジャービルを母は何とか処分(?)しようとする。そんなジャービルをめぐる家族の思惑とそれによっと巻き起こる事件が面白く描かれている。

作品中ではジャービルに指を噛まれてしまう場面も何度か登場します。病原菌を媒介するような話もあり日本ではねずみを飼うという生活はあまり考えられないのですが、イギリスではペットとしてポピュラーな存在なのでしょうか。そんなことも考えながら、楽しく読了しました。

「清明」

清明

「清明」
隠蔽捜査8
今野 敏
新潮社

 シリーズ8作目の最新作。前作までは警視庁大森警察署長だったキャリアの竜崎、一国一城の主で署が竜崎流の合理主義が浸透しはじめ、ここでの人のつながりも面白くなったところでしたが、今作では人事異動で神奈川県警刑事部長となります。新天地でどうなるんだろうと思いましたが、幼なじみの伊丹警視庁刑事部長との連携、大森署時代のつながりある人も絡んで事件に取り組みます。事件は外国人がらみそして秘密主義の公安がらみ、ここでも竜崎流を貫いて小気味よく事件が解決に向かいます。
シリーズはまだまだ続くんでしょうね。新たなステージでの竜崎の活躍、これからも楽しみです。

「そしてねずみ女房は星を見た」

そしてねずみ女房は「そしてねずみ女房は星を見た」
清水眞砂子
テン・ブックス

 「大人が読みたい子どもの本」という副題がついたこの本、ゲド戦記の翻訳で有名な清水眞砂子さんによる児童文学作品の紹介です。紹介されているのは、

ごきげんいかが がちょうおくさん
グレイ・ラビットのおはなし
ねずみ女房
十一歳の誕生日
愛について
ゼバスチアンからの電話
片手いっぱいの星
ベーグル・チームの作戦
お話を運んだ馬
注文の多い料理店
人形の旅立ち
第八森の子どもたち

の12作品。この紹介を読んでいるとどれも読みたくなります。今回は紹介文を読んだ後その作品を図書館に予約、現在4冊目に挑戦中。こんな読み方もいいものです。

「棲月」

棲月

「棲月」
今野 敏
新潮社

 鉄道会社のシステムがダウンして運行がストップ。警視庁大森署長の竜崎はいち早く署員を情報収集にあたらせる。続けて管内に殺人事件、そして銀行のシステムダウンがたてつづけに発生。警視庁内の管轄意識・セクト主義との摩擦が生じる中、自身の広い視野と合理主義で事件解決に向かって行動していく竜崎の働きぶりが今回も楽しめます。冷徹であるかのようなキャリア組エリートの竜崎が、大森署長という現場で捜査員の勘も信じ始めたり人のつながりを感じ始め、今までにない人間臭さのようなものが生まれてきている自分に動揺する姿もまたいいなと思いました。

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「がちょうおくさん」

がちょうおくさん「ごきげんいかが がちょうおくさん」
「おっとあぶない がちょうおくさん」
ミリアム・クラーク・ポター作
まつおかようこ訳
こうもとさちこ絵

 清水眞砂子さんが「大人が読みたい子どもの本」として紹介しているこの本、そしてその続編です。動物村に一人暮らしするがちょうおくさん、何かとドジで抜けています。でもそんながちょうおくさんを受け入れてつきあっている村の人たちならぬ動物たちが織りなすちょっとお騒がせなおはなし集。笑えてしまいます。

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「沢村貞子という人」

沢村貞子という人

「沢村貞子という人」
山崎洋子
新潮社

 女優:沢村貞子さんのマネージャーを長年務めた著者が綴った沢村さんの素顔。沢村さんの人柄・生き方などいいなと思いました。周囲への気遣い、物事の割り切り方、おしどり夫婦ぶり、近づいてくる死への向き合い方、こんなふうに生きられるんですね。山崎さんの文章もいいなと思いました。

「?(疑問符)が!(感嘆符)に変わるとき」

疑問符が感嘆符に変わるとき

「?(疑問符)が!(感嘆符)に変わるとき」
小国綾子
汐文社

 特に印象的で気に入ったのは詩人長田弘さんの、

「詩にできるのは半分だけ。
書くことは、言葉にできない残り半分を大事にすることでもあるんです」

という言葉でした。どうしても他人(ひと)に言えない書けないこともあっていいんだ、時を待ってまた表現できるかも知れないなんてことを考えました。私にとっては嬉しいことばです。
作者小国さんの生き方、見事ですね。いい本だなと思いました。

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「スコーレNo.4」

スコーレNo.4

「スコーレNo.4」
宮下奈都
光文社

 骨董品店を営む父と母・祖母・妹二人と暮らしている麻子、自由奔放でしっかり自己主張ができる一つ違いの妹:七葉に対し、自身はいつも内向きに考え葛藤を抱える中学一年生。そんな麻子にも気になる男子生徒が現れる。中学にはじまり高校・大学そして社会人と悩み苦しみながら成長していく主人公の心をていねいに書きつづったおはなし。女性好みのおはなしかなと思いつつも、読み終わった印象は「よかったな~!」と思える一冊。

「灯台からの響き」

灯台からの響き

「灯台からの響き」
宮本 輝
集英社

 妻を亡くして店を休業し蓄えを削る生活を続けている中華そば屋の康平は手にした本から亡き妻宛の大学生の葉書を見つける。見ず知らずの若者から便りに妻は「あなたにはまったく覚えがないが・・・・」と返信を書きそれを康平が投函したのだったが、その返信はなかった。そんな葉書を何かのメッセージのように康平がいずれ読むであろう本の間に挟んでおいた妻の意図は・・・・。康平の謎解きがはじまる。
仕事に追われあまり会話もなかった二男一女の子どもたち、父から近づこうとする気配もあるが、いずれも独り立ちしている子どもたちも仕事を止めてしまっている父を見守っていてこころ温まる家族の物語でもあります。

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「終わらない歌」

終わらない歌「終わらない歌」
宮下奈都
実業之日本社

 「よろこびの歌」の続編、前作から3年後のクラスメートのその後を描いている。バイオリニスト御木元響を母に持つ玲は声楽で音大に進学、しかし才能に秀でた同級生の中でもがいている。高校時代にクラス合唱でピアノ伴奏をした千夏はミュージカルのを目指し迷い無く突きすすんでいるように見えるが、やはり悩み苦しんでもいる。ソフトボールのプレーヤーとしての道は閉ざされた早希はトレーナーの道へ、そんな彼女にも音楽を通した出逢いが訪れる。短大を卒業、就職北陸へ一人移り住むあやにも心に残る歌から新たな人とのつながりが。そんなかつてのクラスメートと絡み合いながら、全編を通しての主人公:玲が歌うよろこびを見いだしていく。読んでいる読者も主人公と一緒に音楽を通してこれからそれぞれの未来が開けていくのを感じられるおはなしでした。
作者の宮下奈都さんも音楽好きなんでしょうね。