大手建設会社帝王建設に勤める忠彦は植物好きで妻子と自宅の庭に花を育て週末には自然豊かな桑畑村で渓流釣りを楽しんでいたが、この地に自社が関わって大規模のリゾート開発計画が進んでいる一方でその計画が地盤的に問題があることを知る。そのことに心痛めながらも久しぶりに桑畑村を訪れた忠彦は大規模な山崩れに遭遇し声を失ってしまう。さらには心も病んでしまい家庭が破綻、忠彦は一人家を去ってしまう。残された妻麻美、息子の健太と娘の里奈、それぞれが家族を捨てて去った夫・父は許しがたく心から消し去りたい思いを抱きながら年を重ねていた。そんな母子に父の訃報が届く。
家族それぞれの視点で物語がすすみ、失われていた父との心のつながりが少しずつ温められていくような物語。
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