シャルロットのアルバイト
近藤史恵
光文社
シャルロットシリーズの「シャルロットの憂鬱」につづく第2巻。池上家は夫婦と警察犬を引退した大型犬シャルロットの二人と一匹暮らし。よく躾けられて賢い愛犬との生活、他所の犬との関わりの中で遭遇する様々な問題の謎解きしていく温かいお話集6話収録です。
1作目ではシャルロットと散歩中に迷子のトイプードルに遭遇、やむなく家に連れ帰って保護する。飼い主が見つかるまで面倒を見ることになりますが、与えたドックフードは見向きもせず小型犬用のフードを用意しても同じ。ネットに載せた飼い主捜しには「譲って欲しい」など不快なメールが届いたりするものの、わがままな迷子犬まで面倒を見る主人公夫妻には感心してしまいます。
表題の「シャルロットのアルバイト」は4話目。かかりつけの動物病院で犬好きな様子の男性に声を掛けられた内容はシャルロットのアルバイト。小犬を預かって「しつけ教室」を営んでいる男性で、シャルロットに小犬の相手をして欲しいという。教室を運営する姉弟も感じのいい人で、そこで始まったアルバイトの内容にはシャルロットもお気に入りの様子。だが、教室の不穏な評判も耳にはいってくる。ここでも小犬を温かく見守るシャルロットの性格のよさをほんわりと味わいながら問題が解決していく、心地よい読後感のお話でした。