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「負けるもんか」

負けるもんか負けるもんか 正義のセ
阿川佐和子
角川書店

ドラマ「陸王」や最近では「チアダン」に出演して、女優としての阿川さんは知っていたのですが、作家阿川さんはじめて読みました。

「融通きかんチン」とあだ名される一生懸命な若手女検事:凜々子はが医大病院への機器納入を巡る不正を追及していく物語。個性豊かな事務官、刑事、警察官に支え・チームワークが読んでいても気持ちよい。知らなかったのですが「正義のセ」はシリーズものでこれは4作目、でもいきなりこの作を読んでも十分楽しめました。

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花だより

花だより

花だより
みをつくし料理帖 特別巻
髙田 郁
角川春樹事務所

人気氏リーズ「みをつくし料理帖」は10巻で完結しました。主人公をはじめ登場人物は江戸と大阪に別れそれぞれの生活をはじめるところで終わったのですが、登場人物四人のその後のことを綴った四つの物語、それぞれからの「花だより」ということのようです。

第一話はつる屋の主人:種市が澪を訪ねて大阪行きを企てる話、第二話は澪の想い想われ人だった小松原様の夫婦が徐々に心通わせていく話、第三話は吉原から救い出された野江ちゃんの話、そして最後は澪と源斉さんのその後の話です。各話ともやはり味なひと品が登場してこのシリーズの続編らしい筋立てです。いずれも読後はほんのり幸福感が感じられる話でどれもいいのですが、私としては中でも第二話がよかったかな。

皆さんもどうぞおたのしみ下さい。

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「華麗なる一族」(上・中・下)

華麗なる一族華麗なる一族(上・中・下)
山崎豊子

関西の財閥:万俵家、その一族の小説。息子の経営する会社を足蹴にして銀行合併を有利に進めようとする家長の大介。万俵家で家庭教師から存在感を大きくして一族の閨閥づくりをすすめる相子。よくぞここまでと言えるほどの陰湿ぶり。池井戸潤作品ほどの爽快感はなくてもある程度の結末を期待していたのですが・・・・。二子だけは幸せな結婚ができたようですが、この二人の愛情が育まれる過程もあまり表現できていないように思いました。大作ですが読んだ後の充実感というより、意地で読み切ったという感じかな。

「下町ロケット ゴースト」

下町ロケットゴースト「下町ロケット ゴースト」
池井戸潤
小学館

ドラマにもなった人気シリーズの続編です。7月25日発売のこの作品、このゴースト編は一話完結ではなく更なる続編(下町ロケット・ヤタガラス)に請うご期待といったところ。もう発売日も決まっているようです、気をもたせますね。

と書いてアップせずにいたところ、もう出たようですね、続編の「ヤタガラス」。今回も図書館の順番待ちで楽しみにしたいと想います。

「大地に歌は消えない」

大地に歌は消えない「大地に歌は消えない」
ウイリアム・H・アームストロング作
清水真砂子訳
大日本図書

訳者が主人公モーゼスについて「つねに神の御心のままに、自然を愛し、その語る声に耳を傾け、自らも大地と語らい、からだを動かし、道具を使ってさまざまなものをその手からつくりだし、そして道具の一つ一つをたいせつに、命あるもののように扱う」と後書きで語っています。そのモーゼスの生活が静かに語られていきます。差別の中にあっても信仰から来る安心をもった人の強さを静かに描いているという印象です。

母を亡くして満たされないストーン家の兄妹が、モーゼスが来て徐々に満たされていく、穏やかな時が流れているような前半。しかし後半は一転して不合理な人種差別から最後にはモーゼスがいのちを落としてしまう。この悲劇の結末はかつてあった非道な差別を現代の私達に訴えかけているようです。ゲド戦記の訳で有名な清水真砂子さんが私達日本人に伝えたい強い気持ちで翻訳されたのだろうと思いました。

この小説を読みながら、アフリカから連れてこられ奴隷生活・人種差別の中で信仰をもった人たちの歌「黒人霊歌」の「Deep River」などが想い浮かびました。

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「市塵」

「市塵」
藤沢周平
講談社文庫

新井白石という人物にスポットを当てた小説。学校の歴史のなかではそういう名前の儒者がいたという程度のことしか学んだ覚えがありませんでした。「生類憐れみの令」などの悪政で有名な徳川5代将軍綱吉、その後を受けた6代家宣の政策顧問のような立場で政治改革をすすめた人物として白石が描かれています。自分自身にあまり知識のない歴史上の人物についての小説、新鮮です。数々の改革について淡々と語られていく感じで、藤沢さん特有の素晴らしい自然描写や人々の描写が少々弱い感じもしました。でも終盤権力の座から降りてその悲哀を感じていく辺りにはいつもの藤沢さんらしい魅力を感じました。

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6月の読書メーター

6月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1743
ナイス数:61

BT’63BT’63
読了日:06月27日 著者:池井戸 潤
20年の歩み20年の歩み
読了日:06月25日 著者:八ヶ岳歩こう会
玄鳥 (文春文庫)玄鳥 (文春文庫)
読了日:06月20日 著者:藤沢 周平
そして、バトンは渡されたそして、バトンは渡された
読了日:06月15日 著者:瀬尾 まいこ
墨攻墨攻
読了日:06月09日 著者:
玄鳥さりて玄鳥さりて
読了日:06月01日 著者:葉室 麟

読書メーター

「そして、バトンは渡された」

そしてバトンは渡されたそして、バトンは渡された
瀬尾まいこ
文藝春秋

実の父母から血のつながらない親へと次々と環境の変わってきた主人公:森宮優子。でもバトンを渡されたそれぞれの親が主人公を暖かく見守り育てていく。非現実的ではあるけれど、やさしさのリレーでじんわりと温かいおはなしでした。

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「玄鳥さりて」

玄鳥さりて玄鳥さりて
葉室 麟
新潮社

樋口六郎兵衛と主人公:三浦圭吾は道場の天狗・隼とよばれる同門で凄腕の先輩・後輩。六郎兵衛は何かと圭吾を支えてくれるが、圭吾は順風満帆で権力に近づいていく。そんな主人公が次第に六郎兵衛を信じられなくなっていく。権力を得て大事なものを見失っていく主人公と不遇でありながら武士道を貫いていく六郎兵衛をうまく描いているなと思いました。

「墨攻」

墨攻「墨攻」
山本甲士
小学館

はじめて読む作家です。

2300年前、秦中国を統一する前の諸国が争っていた戦国時代の中国が舞台。七国の一つ趙が攻めようとした燕の小さな城郭を、反侵略の思想を持った墨家の革離が請われてこの城郭を守り抜こうとするおはなし。戦うのでは守り抜くという思想、武人だけでなく一般市民をも巻き込んで信頼を得、結束力を高めて敵の攻めをしのいでいくこの物語の世界に引き込まれます。外壁の修理のために内側の王宮の壁を壊してそのレンガを使うところなんか痛快でした。これも一気読みできるおもしろさです。

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