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「江戸を造った男」

江戸を造った男江戸を造った男
伊東 潤
朝日新聞出版

図書館で薦めていただいた本です、歴史上の人物:河村七米兵衛(瑞賢)の物語。商人でありながら江戸時代初期の土木工事に携わり数々の成果をおさめた人。江戸大火のあと木曽から木材を大量に買い付けて商人としての基盤を築き、その後幕府の命もあって東北の米を運ぶ水運、水田用の大規模な水路の建設、大阪の大河の氾濫予防の工事、新潟の銀山開発等々次々と大事業を成し遂げた人物、知らなかった。

一気読みできるおもしろさ、でも他のものも並行して読んで中途半端な読み方をしてしまいました。

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「三屋清左右衛門残日録」

三屋清左右衛門残日録三屋清左右衛門残日録
藤沢周平
文藝春秋

 

藩の要職を務めていた三屋清左右衛門がその職から身を引き、家督も息子に譲ってゆったりとした日々が始まる。一切の雑事から解放されたが、そのあとに寂寥感がやってくる。そんな江戸時代の武士の姿が現代の仕事をリタイヤした後にやってくる虚脱感や疎外感とまったく重なってくる。藩の派閥争いも見えてくるのだが、不穏な空気にも隠居の身でちょっと距離を置いていられる気楽さが漂い、主人公をとりまく事件なども安心して読み進め楽しめる小説。一冊で終わってしまうのがちょっと寂しいかな。

 

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「藤沢周平のこころ」

藤沢周平のこころ文春ムック
「藤沢周平のこころ」
オール讀物責任編集
文藝春秋

 

藤沢周平没後20年を記念して編集された本。多くの作家や直木賞の選考委員、藤沢氏の娘さんなどが登場して、それぞれの藤沢作品への思いや藤沢氏の人物像などを語っています。私も藤沢作品が好きで多くの作品を読んでいるつもりではいたのですが、私が読んでいるのはほんの一部。この本に登場する多くの方が藤沢作品を感受性豊かに語っているのを目にすると、また藤沢作品を読みたくなります。これから、話題として登場する作品を書き出して読んでみようと思います。改めて、多くのものを感じられるかな。

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「風のヒルクライム」

風のヒルクライム風のヒルクライム
ぼくらの自転車ロードレース
加部鈴子
岩崎書店

13歳の誕生日に父からロードバイクをプレゼントされた涼太。経験も少ないまま笠城山クライムレースにのぞむ。父は医者で単身赴任、父への複雑な思いもいだきつつ父子での参加。でも、父は早々に先に行ってしまう。ロードレースに打ち込んでいる同級生、かつて父の下で入院していた女子中学生、ママチャリで参加の高校生、さらにはボランティアまで含めていろいろな人物からこのヒルクライムレースを描きだします。

細いタイヤのロードバイクを目にすることも多くなりました。そんな愛好者の増加がこの小説誕生のもとになっているのでしょうか。「笠城山クライムレース」そんな名前のレースが本当にあるのかなと思ってネットで検索してみると、「まえばし赤城山ヒルクライム」このあたりから名前をとってきたのかな。今は何とたくさんのクライムレースがあるのでしょうか。中にはHCS韮崎甘利山なんていう私たちのすぐ近くの大会もあったんですね。

「車夫」

車夫車夫
いとうみく
小峰書店

陸上、走ることに長のある高校生の吉瀬走は父が事業に失敗して失踪、やがて母も家出してしまい一人残される。高校も経済的に行き詰まって自主退学。そんな走が陸上部の先輩から人力車夫の仕事に誘われてその世界へ。客・先輩・顧問の先生・親方の奥さんと様々の人の目で主人公:走を描いてゆく。多くの人が不遇の主人公を思いやり、走が車夫として成長していく温かい小説です。

浅草に行くと人力車が走っているのを私も目にしていましたが、この本を読んでいると「乗ってみたいな」という気持ちも湧いてきます。

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「その時までサヨナラ」

その時までサヨナラ

その時までサヨナラ
山田悠介
文芸社

 仕事人間の悟、仕事ではやり手だが家庭を顧みない。不和は深まり妻は幼い息子:裕太を連れて家出、離婚も時間の問題となっていた。が、妻は地震に伴う電車事故に遭い子を残して亡くなってしまう。我が子に全く興味を持てない悟は裕太を亡き妻の両親に託そうと考えていたが、妻の親友:宮前春子という女性が現れる。仕事に失敗した悟が家庭では徐々に宮前春子のペースに、子供に目を向けるように変わっていく。読み終わるとちょっと幸福感かな。

「あおなり道場始末」

あおなあり道場始末あおなり道場始末
葉室 麟
双葉社

豊後・坪内藩の神妙活殺流青鳴道場、先代の死で残された三兄妹弟(きょうだい)の権平・千草・勘六。細る一方の道場には弟子が一人もいなくなってしまう。追い詰められた3人は食いつなぐため、そして父の死の真相を探るため、藩内にある他道場への道場破りをはじめる。先代から伝授された奥義<神妙活殺>は権平にとってはまだ不確かな技だが、これを駆使しながら徐々に父の死の闇に迫っていく。

軽くて痛快な時代小説といったところで、これまで読んだ葉室作品とはちょっと趣が違うなという印象でした。

 

「さらわれたデービッド」

さらわれたデービッドさらわれたデービッド
R.L.スティーブンソン
坂井晴彦 訳
寺島龍一 画
福音館書店

福音館古典童話シリーズの一冊。久しぶりの古典で、あの有名な「宝島」と同じ作者・訳者・画家の作品です。

舞台は現在のイギリス北部、スコットランド。両親を失ったデービットは唯一の身寄りである叔父の下を訪れますが、後ろ盾となってくれるどころか、叔父に騙されて帆船に乗せられ国外に売り飛ばされる身の上になってしまう。しかしその帆船が難破し遭難、スコットランド西部の小島に漂着。船で一緒になりともに指名手配者となってしまったアランとともに陸路を逃避行、故郷を目指すという物語。主人公の周囲はめまぐるしく移り変わり、先へ先へと読み進めてしまうストーリーでした。でも結末はちょっと消化不良の感じです。せっかくの面白いストーリーがもったいないなと思ってしまいました。

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「おい!山田」

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安藤祐介
講談社

大翔製菓の広報宣伝部に自身がサラリーマン姿のまま「ゆるきゃら 山田」となるよう命じられ異動してきた主人公:山田助(たすく)、そしてもう一人の主人公は「ゆるきゃら 山田」プロジェクトのプロデュースを命じられた広報宣伝部の水嶋里美。はなしは二人の視点で交互に語られていきます。

すべてに前向きに考え行動する山田に、プロジェクトに否定的で冷淡だった周囲の人たちを巻き込んでゆく。プロジェクト失敗の断を下されるも、やがて部署を超えた若者達による極秘の新しい企画が・・・・。
セクト主義・功名主義で旧態然とした社内で、若者の社員として成長しながらを企画を育ててゆくというストーリー、主人公二人の仲もちょっと気になる楽しい小説でした。

「しゃべれどもしゃべれども」

しゃべれどもしゃべれども
佐藤多佳子
新潮文庫

 主人公は落語家お今昔亭三つ葉、小三文師匠の内弟子に入って21歳で二つ目昇進、それから5年の26歳です。師匠の弟弟子は時代をつかんだ売れっ子だが、古典落語の名人的な存在のこの師匠に師事して古典落語にこだわっている。でも話すたびに面白くなくなっていくという行き詰まりを感じている。

そんな三つ葉にどもりをもったテニススクールのコーチ、会話が苦手な若い女性、関西から越してきて級友になじめずいじめ(?)を受けている小学生、解説の仕事が思うようにいかない現役を引退したプロ野球選手、と話すことに不安をもっている4人がそれぞれの悩みをなんとか打開しようと三つ葉に落語を習い始める。

主人公の心の動きも面白いし、そのメンバーみんなで小学生を心配している姿にどなんとも温かいものを感じる小説です。4人が覚えるの噺は「饅頭こわい」、これからこの小説を読もうとする人は一度この落語を聴いておいた方がいいかもしれません。