Y.K
常在寺の境内にはいると懐かしいハーモニーが響いてきました。昨年の感激がまるで昨日のことのように、ふつふつと甦ってくる想いでした。去年は何もわからないまま梨大生の中に飛び込んで、無我夢中で一週間を過ごしました。あれから一年、あっという間でしたが私にとってかけがえのない一年でした。ハーモニーを感じたことがこんなにも自分を変えたのかと思わずにはいられません。去年の夏合宿は私にとって大きな節目となっています。そしてまた今年も参加させてもらえて、先生、梨大の皆さまに心から感謝しております。本当にありがとうございました。
梨大のハーモニーを聴くと心の故郷へ帰ってきたような気がします。ハーモニーの中で暮らしていると、まるで子供のようになって行く自分にびっくりします。子供みたいに泣いたり笑ったり・・・・、心が自由に解き放されたようにさわやかなのです。
路を聴いた時は、体中の血がさわぎだしました。レコードでは何度も聴いていましたが、実際に聴くと全く違う曲のようでした。大きなオーケストラが音を奏でたようでした。ロッホローモンドを聴くといつも泣けてしまいました。ハーモニーの中で体中がフニャフニャにとけてしまうみたいで、いつもは眠っている心の奥の方がゆさぶられているような感じでした。ハーモニーの中で、みんなどこかでつながって感動しているようでした。
パレストリーナのミサを先輩のみなさんが歌って、去年のようにうまく行かなかったのですが、私は小さな声でところどころ歌えて嬉しくなりました。いつもレコードを聴いていたせいでしょうけれど、来年はもっと歌えるかなぁ・・・・などと、こっそり思っています。
私たちが着いた同じ日に、熊本からNG先生がいらっしゃいました。NKさんの先生だそうです。お弟子さんを四人連れて元気なおばあちゃん先生でした。私たちと一緒にクネッケのお昼を食べてくださったりとても楽しかった五日間でした。
土・日曜と一泊でI先生たちが千葉からいらっしゃいました。I先生は情熱的で素敵な方です。話してくださることも、ひとつひとつ魅力的なことばかり・・・・。あばれん坊の男の子がピアノを弾いたこと、ひっこみじあんな女の子が皆の前で一生懸命発言したこと、心底子供が好きで分離唱に出会ったのも、子供が導いてくれたにちがいない・・・・。とおっしゃっていました。I先生のまわりでは子供と一緒に分離唱が生きている感じです。素晴らしいお話をいつもありがとうございます。お話を聞いていると、不思議に勇気が湧いてきます。
こうしていろいろな人とめぐり会うことがとても素敵なことなのです。いつまでも大切にお付き合いさせてもらいたいなと思います。
合宿から帰って1週間、2週間、心の奥底から湧いてくる不思議な感動は、いまだに消えません。梨大のハーモニーの余韻ももちろん耳に焼き付いて離れませんが、私にとってI先生たちのお話が頭から離れないのです。私も、子供たちの中へ飛びこんで行きたいな、そこで分離唱をやって合唱をしてみたいな、と思いはつのるばかりです。ピアノを習いに来ている子供たちは、とても恵まれて幸せな子達だ・・・・だけど、他にだって求めている子供たちはいるはずで、ただその機会がないだけのことなんだ・・・・そんな思いが最近、私の心の中で強いのです。
あばれん坊やきかない子たちがハーモニーで変わっていくとしたら、こんな愉快なことはないのではないかしらと思います。勝山村の音楽会で、梨大のハーモニーを聴いていた村の子供たちが最後には夢中になっていたあの光景が目から離れないのです。
勇気を出して、日野の市役所を訪ねてみました。市でやっている合唱の手伝いをさせて下さい。出来れば子供達と歌いたいのですが・・・・と尋ねたところ、所内の児童課の係の方が、親切に相談にのって下さって、市の児童館を紹介してくれました。ただ、こちらも貧乏でお金は出せないのですが、と言われるので、最初から報酬を頂こうなどと思っていませんでしたと答えると、有難い是非やって下さい・・・・そのように言われ、嬉しいことに話がまとまりました。
早速、日野駅のすぐ近くにある日野児童館の方と相談をし十月から合唱をやろうということになりました。子供を集めるのは、児童館の方がやって下さるとのことです。私のことも、心良く迎えて下さって嬉しくなりました。1時間程、話をして「耳をひらく」を置いて帰りました。
自分の住む街で、分離唱のハーモニーが聴けたら、どんなに嬉しいことかしらと思います。
少しずつ周囲が開けていくようです。これも皆、梨大の合宿に参加させて頂いたお陰です。さらには、Iさんや他に多くの仲間と心を寄せて話が出来たお陰です。
来年、又参加させてもらえるなら、この一年も、悔いのない一年にしたいと思っています。