月別アーカイブ: 2007年7月

特集 “野の花”のごとく (その1)

特集 “野の花”のごとく
     みちのくのある合唱団の上京まで


   あ る プ ロ グ ラ ム


 この十二月十一日夜、日本青年館で東北の名も知れぬ一合唱団が演奏会を開く。団員はすべて現在商業、農業に従事、あるいはサラリーマンとして勤めている人びとである。今年ですでに三回目、そのハーモニーの独特の美しさはようやく識者の注目をひきはじめているという。この合唱団の名は山形南高OB合唱団。本号ではこの合唱団が山形から上京して演奏会を開くに至ったその歩みと彼らが持つ音楽の内容にふれてみよう。


    楽しい合唱の夕べ
      -山形南高OB合唱団発表会-
       指揮 佐々木 基之
       1955.11.9 PM6:30
          於 日本青年館


 六年まえの、この表紙の文字は、日にやけて色あせている。二つ折り四ページという、簡単で味もそっけもないお粗末なプログラムにすぎない。


 だが、この色あせた表抵の、不器用なゴシック体の文字には、みる人たちにとって、忘れることのできない感激の思い出があった。山形南高校OBの男声合唱が、遠いみちのくからはるばる東京進出を試みた、最初の記念すべき記録なのだ。そして、貴重な体験のきざみこまれたいしぶみでもあった。


 いや、碑というより、むしろ礎石(いしずえ)といったほうが彼らにはふさわしい。なぜなら、現に彼らは、みちのくの山形市だけでなく、分身を東京にもつ合唱団として、成長し発展し続けているからだ。そして、わずか二回にすぎない東京での機会なのに、きわだって美しいハーモニーは、すでに定評もある。


 そして、さらに第三回目の東京進出を、この十二月十一日に、東京のこの同じステージで試みようとしている。東京には、彼らのかくれたファンも少なくない。このファンたちはこの男声コーラスのもつ、独特の美しいハーモニーを待ちこがれているのだ。コンクールには縁のないこの合唱団の存在は、決して派手なものではない。そういう無欲さと地味な歩みに、ファンたちは親しみをもっている。そして、素朴で、土の匂いさえにおってくるようなこのグループに、心からの声援を惜しまない。その上、これが地方の合唱団かとおもうほどの、おどろくほどの安定したハーモニーに、一回で魅りょうされ、そのとりこになってしまうのだ。六年まえのプログラム。それは碑という過去のものではなく、礎石としての価値を、彼らは作りあげてしまった。そうおもうとき、その文字からは、ほのぼのとした素朴な人の心と、土の匂いがただよってくるのを感じるのだ。そして、そこには、強い勇気と、高い誇りとが感じとられるのだ。


 彼らの物語をはじめるまえに、第一回発表会の、その色あせた、だが貴重なページをめくってみることにしよう。


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緑のカーテン

恒例になっていますが今年も完成しました、緑のカーテン。

  

緑のカーテン

 年を重ねているせいか、朝顔の根も太くなり、こんなに早く緑のカーテンとなりました。バルコニーにキュウリ用ネットをはり、あさがおの蔓が伸びるたびにネットに絡ませたのです。不思議なことに、自分から絡まっていく茎(枝)とそうでない茎(枝)があるのです。ブログをさかのぼってみると去年は9月にはこんなに葉が茂っていませんでした。早くにネットを張り、絡ませてきた結果、今年は酷暑のシーズンに間に合わせることが出来ました。見た目だけでなく、随分と涼しくなりますね。そして今、毎朝何十という花が開きます。今朝はざっと数えて80輪ほどの花が開いていました。当分の間涼しさと朝顔の花を楽しめそうです。

山形南高OB合唱団資料

 山形の讃美歌さんからうれしい資料を頂きました。内容は山形南高OB合唱団の演奏会プログラム、新聞記事、雑誌記事等のコピー。この合唱団のファンであるわたしには大変うれしいものです。


 雑誌というのは、東京音楽社の「合唱界」という音楽雑誌のこと、今は絶版であり、もう古本も手に入りません。頂いた資料によると、「合唱界」に佐々木先生、南高OB合唱団、増田順平さんのことなどあわせて3回紹介されています。


    1960年1月号
        「合唱団のハーモニーの作り方」 佐々木基之
        「私の考え」 増田邦明
    1961年8月号
        「すべての人に合唱の歓びを!」 佐々木基之
        「音楽教育で育った美しいひびき
            みちのくに実った山形南高OB合唱団」 湊 和夫
    1961年12月号
        特集「“野の花”のごとく
            みちのくのある合唱団の上京まで」 M


 コピーを頂いた私は、古本でも手に入らないかと東京出張の折りに神田に足をのばし音楽関係の古書店もあたって見たのですが、さすがにこれだけ古い雑誌は見あたりません。「合唱界」という雑誌自体が全く店で見ることができないのです。このような絶版になってしまって入手不能な記事については、紹介しても許されるのではないでしょうか。そこで、私たち分離唱による音感合唱経験者にとって熱いものがわいてくるこの記事を何回かに分けて紹介させていただきます。

録音テープとの格闘

以前から、Fさんのところには他のOBから譲り受けた南高OBのテープがあると聞いていました。Fさんのところでもオープンテープを聴くことのできる環境ではないそうですが、わが家は今もオープンデッキが現役です。そこで、聴けるものかどうか試しに持ってきてもらいました。
テープは4本、いずれも私の聴いたことのないソースです。しかししかし・・・・。

 テープに風を入れてやった方がいいだろうということになり、まずは早送り・巻き戻しから始めました。テープを継いだ部分が何カ所かあり、その部分に到達すると接続テープの粘着が効いておらず切れてしまいます。昔使ったテープ編集用の道具があったのを思い出し、引っ張り出してみました。

  

テープ編集

 この道具を使うのは20年ぶりくらいでしょうか。テープの切断とつないだ後の粘着テープの余計な部分を切り取る道具、それから編集用の粘着テープのセットです。編集用の粘着テープは幸いにも粘着力が残っていてこれらの道具で切れてしまった録音テープをつなぐことはできました。しかし・・・・。

 録音テープがかなり強くはり付いていて、内周のテープから離れるだけのことにもモータの負担が大きいようです。早送りや巻き戻しをしていると、やがてモータの力が負けてしまって、テープが止まってしまいます。更に、テープから大量の粉(磁性体粉?)が剥がれてテープの走行系の接触部分にこびりつきます。やがて再生音にキーキーと金属的な嫌な音が出てくるようになってしまいます。何度も何度もクリーニング液でクリーニングしてもこの音は止められません。これはもうあきらめるしかないようです。

 私の聴いたことのない録音に胸を弾ませていたのですが、残念!

 古いテープを再生させるための何かよい対策はないものでしょうか?

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南高OB合唱団のあゆみ

 Fさんがこんなタイトルのビデオ・テープを持ってきて見せてくれました。ケーブルテレビ山形の製作で、つい先日知人から受け取ったのだそうです。Fさんも初めて見るというテープを一緒に見ようと持ってきてくれたのです。


 内容は十数年前に撮影した映像で、「オムニバス公演」にむけた南高OBの練習や様々な取り組みが映像で紹介されていました。長年中心的に指導してこられた田島さんや発足当初からのメンバーなど、Fさんの説明を聞きながら見ていました。OBには男声合唱だけでなく、女声合唱も混声合唱もあるのですね。多くの人が初老を迎えている年代のOBがはつらつと音楽に取り組んでいる姿は印象的でした。


 そういえば、南高OBは2年前にはヨーロッパ旅行にも行ったんですよね。たまたま一緒になった団体と唄の交流をしたとか、何と素晴らしいセカンド・ステージでしょう!

電柵

「サル害」で書いたように、私たちの部落は野生動物の食害に悩まされています。そこでもう十数年前に登場したのがこんな新兵器、「電柵(でんさく)」といいます。金属製の支柱の間に裸電線を張り、これに電圧をかけておきます。動物がこの電線に触れると、そこから動物の体内を通り足から地面へと電流が走ります。この電気的ショックで、動物が電柵から内に入ってくるのを防ごうというわけです。この電柵が田畑を含め私たちの部落全体を包み込んでいます。要するに「人間自らおりのなかにはいってしまった」のです。

 さて、この効果はどうでしょうか。

 多くの動物には有効だったようです。しかしサルにはこの新兵器もいっこうに通用しないのです。自分たちの周りを囲うと言っても出入り口が必要です。そうです、道路のことですね。

    「この出入り口は人間専用です、サルは通行できません。」

なんて看板が通用すればいいのですけどね。というわけでサル害には相変わらず悩まされているのです。先日の講演会の講師の方も、こういったタイプの電柵をうまく活用するのは難しいとおっしゃっていました。

 

電柵

 この電柵の周囲に植物が茂ってしまうと、枝から電柵を乗り越えてしまう動物が現れます。そこで夏になると定期的に電柵の周囲の除草作業があります。日を決めて、部落の人の共同作業でこの作業を行います。来週の日曜はこの作業の日に決まりましたが、私は都合が悪いため今日一人で若干の除草作業をして不義理の埋め合わせをしました。エンジン付きの草刈り機での除草です。そんなわけで、電柵のこちら側しか刈ってないのです。来週の共同作業が終われば、部落を取り囲んだすべての電柵の両側がきれいになっているはずです。

 山間の悩み多い生活、少しは理解していただけましたか?

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サル害

 農作物の野生動物による食害対策の講演会がありました。実は、私の地域では徐々に徐々に野生生物が田畑の作物を荒らし、その被害は拡大の一途です。中でも私の実家の部落は早くからサルによる害に悩まされ、今はあきらめにも似た状況で栽培を諦めてしまった作物も多いのです。


 サルの害については地域でも「もうどうにもならないだろう」といった気持ちも強いのですが、折角の機会なので講演会を聞きに行ったのです。市役所主催のこの講演会には三人の講師が居たようなのですが、私が話を聞いたのは二人目からでした。


 最後の講師の方の話は特に説得力のあるものでした。
    「みなさん、今起きている現実をしっかり見てください。」
    「野生動物に作物を食い荒らされる現実、これはどういうことか。
      ・・・・そうです、皆さんは野生動物の餌付けに立派に成功したのです。」
笑いも誘うこんなことばから始まった話に、聴衆も聞き入ってしまいました。
    「田畑に出てくるサルの群れ野中に子どもや赤ちゃんはいませんか?かつ
    て山中で見かけたサルは大人ザルだけでしたよ。子どもや赤ちゃんザルは
    可愛いですよね。しかし、子どもや赤ちゃんを見かけると言うことは、この群
    れは膨張しているということなのです。」
    「使わなくなった桑の木を放置していませんか。この桑の木でたくさんのサ
    ルを養っているのです。」
    「被害を感じるものの感じないものがありますね。しかしどちらもサルの餌
    付けをしていることに変わりはないのです。」
 サルの餌となるものを極力なくしていくことが大切なのだそうです。特効薬は無いようです。みんなが自分のこととして考えて対処していくことが大切なのだと言うことを、最後までわかりやすく説明してくれました。


 質疑応答のあと会が修了し聴衆が客席を引き上げ始めた頃、最後の講師の方が質問をした老人の席に行き中腰になって親しげに話をしていました。講師の優しさに感心してしまいました。
 聞きに来てよかった~。

パートを変えて唱う

前回のエントリーにパートを交代しながら唱ったことを書きました。こう書くと、いかにもしっかり音取りが出来る人のように思われそうなので、少し細しく書きます。

 

世の中には、楽譜を見れば音が、音楽がイメージできる人がいるらしいですね。更に上を見れば、どうやら楽譜を見て響きがイメージできる人もいるようです。そういった才能は限りがないのでしょうね。しかし私たち凡人には遠く及ばないところです。ところで私はどうかというと、そう言った才能にはからきし恵まれていないようです。そうなのですが、長く歌い続けた讃美歌などはハーモニーの中では何となく唱えてしまうのです。前述した才能の持ち主と違うところは、自分一人では全く唱えないこと。ハーモニーの中にあってこそ、唱ったことのないパートも唱えてしまうのです。それはたぶん、私たちが経験した合唱が聴き合って唱う方法であったことと深く関係しているようです。私も若干は経験したことがあるのですが、普通合唱というと自分のパートを一生懸命覚えて、それを他のパートに影響されることなく、(出来るだけ他のパートを聴かないようにして)しっかり唱うことが基本でした。しかし私たちが経験したのは最初からハーモニーの中で唱うこと、ですから知らず知らずのうちに他のパートも聞いているのでしょうね。大人数の合唱の中では、唱ったことのないパートも、一緒に唱う人の声を聞けばわかります。しかし各パート一人という合唱で初めてのパートならそうはいきません。しかし、聞きながら唱っていると初めてのパートでも収まるべき音がわかり自然にそこに収まってしまうような感覚でしょうかね。

 

前々回、前回の「森の音楽会」で一緒になったTさんはその辺りのことを、「我々の合唱をしていると、基本的にはどのパートも唱えるんだよね。声が出るぶんには・・・・。」なんて言い方をしていました。Fさんとの合唱のことを書きながら、こんなことばがよみがえってきました。

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友あり、遠方より・・・・

山形のFさんがわが家に来てくれました。中学校(山形)の同級会が石和で開かれるとのことで、折角の機会なのでこちらにも足をのばしていただきました。最近では最も親しみを感じている人なのですが、私より少々年上の方なので、ブログに友人と書くのは生意気なようで躊躇していたのですが、今回「友人でいいよ」といって頂きました。そんなわけで標題はかっこよく「友あり、・・・・」となりました。

Fさんたちの合唱はとにかくハーモニーが美しく、今も隔週毎活動されています。そういえば以前、CDを紹介させて頂きましたね。山形を訪問した折りには仲間にいれて頂いて一緒に唱ったのですが、山梨には進行形の分離唱合唱団がありません(たぶん)。そこで、わが家でFさんと私たち夫婦の3人で唱いました。合唱というとたいそうなものに聞こえるかも知れませんが、私たちのはそっとハモる程度。ごくごく普通の話し声程度で聴き合って唱うのですが、これが楽しいのです。一パート足りないのですが知っている讃美歌を次々と唱いました。三人が曲によって次々とパートも変えて唱うのです。一番下のベースを唱うのも楽しいしハーモニーの中でアルトやテナーをそっと唱うのも、またハーモニーの上にそっとのせるように唱うソプラノも楽しいのです。こんなときにも唱いはじめには分離唱を少々、そしてお酒を飲み始める前にしばらく唱い、飲み終わった後もしばらく唱い、また翌朝も少しだけと、とにかくたっぷり楽しませて頂きました。「聴く」ことが板に付いている人と一緒に唱うのは本当に楽しいものです。なかなか唱う機会のない私たちは楽しい時間を頂きました。ありがとうございました。

 

まきば公園

 

翌日は長坂のいつも見学している自然農の田畑にご案内し、その後観光地清里のまきば公園へ。あいにくの曇り空で眺望は十分ではなかったのですが、広い牧場の景色は楽しんでいただけたでしょうか?

自然農の田植え

今月も、「長坂自然農の会」に行ってきました。今回の会の最後は田植えでした。

 同じ田んぼの中でも水もちのよいところ悪いところがあるそうです。この写真の場所は水持ちの悪いところ、そこでここには陸稲を植えるとのことでした。写真水路の左側は水田として水稲を、右側は陸稲を栽培するのだそうです。

 

田植え1

 今回見せてくれたのは陸稲の田植え、しかし陸稲も水稲も田植えは全く同じだそうです。畝の上の草が刈り倒してあり、そのほとんどは枯れてきています。植えようとする場所の枯れ草をのこぎり鎌で小さく切り開き、そこに持ってきた苗を植えます。

  

田植え2

 一本植えた周囲は、こんな状態でした。枯れ草はかなり厚く堆積しています。

  

田植え後

 田植えが終わった場所を遠くから撮ってみました。植えた稲が等間隔できれいに並んでいるのがわかりますか?