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「青天の霹靂」

青天の霹靂青天の霹靂
劇団ひとり
幻冬舎

またまた芸人さんの書いた本。紹介では主人公はぱっとしないマジシャン、テレビ番組のオーディションを受けたところから運命が変わるようなことが・・・・。これは自伝的小説なのかなとも思いながら読み始めました。
母親を知らず、父親とは成長につれて心が離れて別生活。自分」の生まれにも懐疑的な思いを抱いていた主人公が、自分の生まれる前の時代にタイムスリップする。そこでは現代の周囲の人とも関わりができ、父・母とも・・・・。これも家族を取り戻すはなしかな。

ところで知っていました?霹靂の「れき」の字。あめかんむりに歴史の歴の字かと思っていたのですが違いました。中が「林」ではなく「禾」が二つ。「れき」と読むのだから「歴」だと思っていたのですが。

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下町ロケット2 ガウディ計画

下町ロケット2下町ロケット2 ガウディ計画
池井戸 潤
小学館

一作目を読んで昨年のドラマ化されたものも楽しみに見ていました。ドラマでは第5回までが一作目、そして6~10回が続編のこの本の内容で、ドラマも毎回次の放送が待ち遠しくなるようなスリリングな展開で最後は痛快に終わるものでした。

ドラマで一度見ている小説は読みやすいですね。先へ先へと急かされるように一気読みしてしまいました。原作を読んでみると、「ドラマも原作に忠実につくっているな」と感じます。でもやっぱり、よりドラマティックにつくっているところも。それから一度ドラマを見ていると、小説の中でもそれぞれの人物を演じた俳優さんの顔が浮かんでしまいます。そういう意味では想像力が限定されてしまうのかもしれません。

原作本を先に読みたかったなという気持ちもしますが、これはこれで十分楽しめる作品です。

「金魚姫」

金魚姫

金魚姫
荻原 浩
角川書店

ブラック企業で働く主人公が金魚すくいで捕まえた金魚(琉金)を持ち帰る。人間との変化を繰り返すこの金魚との同居生活。うまくいかなかった仕事が急に好転したり、金魚のために右往左往する日々。ブラック企業で働く心沈む生活から、金魚を飼うことで何かしら光が見えてくるはなしともいえます。最後は全く予期できない展開でした。

でもこの金魚、あまりかわいく見えてもこなかった。メルヘン的なようでメルヘン的でない、かな?

「赤めだか」

赤めだか赤めだか
立川談春
扶桑社

 年末に放映されたドラマ「赤めだか」がありました。落語家立川談春さんが入門から二つ目に昇進、披露パーティーまでのドラマでした。私はこのドラマではじめて談春さんを知りました。(ドラマ「下町ロケット」でも好演していましたが、このときは知らなかった。)このドラマ、なかなかいい味わいで、原作本が読んでみたくなり図書館ネットで取り寄せていただいて読むことが出来ました。

落語家の前座の世界をちょっとのぞき見するエッセイ。その世界での収入はなくいつも空腹を抱えている、でも師匠を絶対的に信頼し下働きをしながら一瞬一瞬の談志師匠の鋭い笑いを待っている。そんな前座の生活、おもしろかった~!

私でも知っているような大物落語家から愛され、2008年出版のエッセイのなかですでに真打ちとなっている談春さん。私はまだこの方の落語を聞いたことがないのですが、これから我々の目の前にもたびたび登場してくれるのでしょうね、楽しみです。

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土漠の花

土漠の花土漠の花
月村了衛
幻冬舎

ソマリアでの海賊対策行動に従事し、墜落したヘリの捜索救助に当たっていた自衛隊の部隊が民族紛争に巻き込まれ、そこから脱出するまでの壮絶な物語です。終始戦闘シーンの連続で息もつかせない緊迫の中、一気に読み終えられるような内容です。話の中に引き込む力はさすがとも思うのですが、以前読んだ「村上海賊の・・・・」を思わせるひたすら戦いの小説。読み終わって満足という訳にはいかないかな。

平和貢献ということで海外派遣された自衛隊が、その建前のようにはいかないということ。隊員一人一人にそれまでの背景があり、自衛隊員の自殺なども扱っています。過激なテロ組織も意識しているのでしょうが、攻撃してくる勢力の非道ぶりや死をも恐れぬ戦いぶりなどの描写もどうなのでしょうか。作者はこの小説で何かを訴えたいのかなとも思うのですが・・・・。

ボニンブルーのひかり

ボニンブルーのひかりボニンブルーのひかり
白石まみ
河出書房新社

大学は出たけれど、生き方が定まらない主人公。バリバリと働いてきたが、突然会社を休みだした父親、離婚届に自分の署名してしまってある母親。三人が南の島:小笠原に移住して新しい生活を模索する。狭い家の中でお互いを見つめ直し、認め合い、それぞれが自分の新しい生き方を見いだして行く物語。「そう甘くはないよ」という気持ちもするけれど、でも一つの夢の実現の物語で読み終わった後は満たされます。

表紙絵のブルーが印象的です。ボニンとは小笠原を表すことばだとか、行ったことはないのですが小笠原の海の碧が綺麗なんでしょうね。

土佐堀川

 

土佐堀川小説  土佐堀川
広岡浅子の生涯
古川智映子
潮文庫

現在放映中のNHKの朝ドラ「朝が来た」の原作本です。ドラマは毎日観ているわけではないけれど進行中の現在までのストーリーはある程度把握している、そんな中で読み始めると最初から小説の中に入り込めます。

女性実業家としてのパイオニア、そして封建的色彩の強い時代にあって女性の自立のために尽くした人なのだなと。成功者の一代記としてもおもしろいですが、歴史の中の知らなかった部分が見えてくるのもおもしろいものです。

ドラマ化にあたってかなりの脚色がありますね。小説の方は淡々と進行していくなという印象です。ドラマは映像化で端折ってしまって物足りなくなるというケースも多いのでしょうが、「俳優さんによって演じられる人間模様がまたいいな」と、改めて感じています。小説の刊行は1988年、20年以上も前に出版された小説がドラマ化によってにわかに脚光を浴びたようです。

 

 

「武蔵彷徨」

武蔵彷徨武蔵彷徨
内村幹子
新人物往来社

宮本武蔵といえば吉川英治の小説、おもしろくて何度も読みました。だから「武蔵」とあるとつい読みたくなってしまいます。また、「巌流島以後のことを書いたものも読みたいな」との思いもありました。そんな中で図書館で見つけたこの本、著者も出版社も初めて聞くものでした。

読後感、正直なところ私にはちょっと・・・・。本選びはむずかしい。

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「死の淵を見た男」

死の淵を見た男

死の淵を見た男
吉田昌郎と福島第一原発の500日
角田隆将
PHP研究所

私が「プロメテウスの罠」を読んでいると知った息子が「読んでみたら」とすすめてくれました。行きつけの図書館には蔵書がなかったのですが、図書館ネットワークで取り寄せてくれました。

「プロメテウスの罠」は原発事故にともなう様々のことを原発の外部・周辺に取材を重ね記事にしたものでしたが、ここでは原発内部で起きたこととそれに対処する人たちの緊迫の記録が綴られています。生死の境、書名のとおりまさに「死の淵」でのぎりぎりの奮闘の記録です。海水を注入して注入して、ぎりぎりのところで最悪の事態を防いでくれたことを改めて知らされました。

最悪の事態とは、

一つの原子炉の圧力容器が爆発すると周辺は近づけなくなる、爆発してない原子炉も冷却作業できなくなって暴走。人が近づけなくなるのは福島第二原発もどうようでまた原子炉の冷却が出来ずに暴走。計10基の原発が爆発、チェルノブイリの10倍という大惨事。

だそうです。そういった中で力を尽くした人たちがまたすごい。「おわりに」では著者の思いが改めて綴られていました。

これもまたおすすめの一冊です。

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「あん」

あん

あん
ドリアン助川
ポプラ社

図書館の司書の方に、「おすすめの本はありますか?」と尋ねました。いくつか紹介してくれたのですが重ねて「読んでいる本は?」と尋ねたところ、「これは泣けました」とこの本を紹介してくれました。

悲しい内容には気が重く、借りてきて3日ほどは放置していました。でも「せっかく紹介していただいて借りたもの」と手にとって読み始めたところ、おはなしに惹き込まれてしまいました。人生で大きなつまづきを経験している若いどら焼き店主とひときわおいしいあんこを作るおばあさんのはなし。ひさしぶりの一気読み、よかったー!
これは先入観なしに読んでいただきたいな、ということで内容にはあまり触れないでおきます。是非ご一読を!

ドリアン助川さんは映画「じんじん」の中で主人公が描く絵本:「クロコダイルとイルカ」の作者でもあります。剣淵町のことがNHK「小さな旅」で紹介されてそのことを私もこのブログに書きましたが、そんなときに剣淵のこと映画「じんじん」のことなど全く話していない司書の方からドリアンさんの本を紹介される、巡り合わせですかね。