今月も行ってきました、さらりと音楽談義。今回のモチーフは「音楽会の運営」。
8月はお盆の時期と重なって参加できず9月は台風の影響で中止、3ヶ月ぶりの参加でした。でも前回の台風による大雨の時にも集まれる人たちだけでお話ししたとか。前回のモチーフ「音楽と政治」を「聞きたかった~!」という欠席者の声もあり、今回はかなり「音楽と政治」よりの話題となりました。
音楽会・イベント等を自治体が運営することもあるとのことから話が始まりました。この音楽談義の会場は南アルプス市内、この市は6町村が平成の大合併で誕生したのです。合併前の旧町に白根町があり、この町には音楽ホールの「桃源文化ホール」、そしてその中には何と立派なパイプオルガンが備えられているのです。当時は補助金がでたので各地で競争のようにホールを建設したのだそうです。そしてそのパイプオルガンを巡っては多分に政治的なものがあるようなのです。なんと言っても高価なものですからね。関連書籍も持ってきて見せていただきました。
「いやしの楽器パイプオルガンと政治」 草野厚著 文藝春秋
パイプオルガンの製作者は英語ではメイカーではなくてビルダー(パイプオルガン・ビルダーと呼ぶ)なのだそうです。製作者というより建設者、作るというよりは建築するものということでしょうか、何とスケールの大きさを感じさせることでしょう。
先生によると楽器というのは使ってこそ動かしてこそのもの、自動車などと同じように使っていなければ良好な状態が保てないのだそうです。その高価なパイプオルガンが眠っていて稼働率は非常に低いのだそうです。「月一回だれでもさわることができる、なんてことが出来ないかな?」といった声があがりました。
参加者の一人が所有するバリトンサックスを持参してくれました。「先生のヴィオラ・ダ・モーレと合奏できないか?」という意図だったそうですが、調が違う楽器で合奏するのは大変なことなのだそうです。でもせっかくだからとの皆さんの希望もあり、休憩時間にソロでその音色を聞かせていただきました。「見上げてごらん夜の星を」・「ムーン・リバー」。やわらかい音色にみなさんうっとりでした。先生の説明で、サックスは歴史の浅い楽器、金管の同族の楽器で行う弦楽四重奏と同じことをしようとして作られた楽器なのだと教えられました。そういえばサックスにはソプラノ・アルト・テナー・バリトンとありますね。バリトンサックスは弦楽四重奏ではチェロに相当する役割なのだそうです。
後半には「絶対音感」も話題にあがりました。「音楽に限らず『絶対』はあり得ない」と。音楽療法も含めて疑問が投げかけられました。話がさらに進んで音の表現に、ドイツ音名についてていねいに説明したいただきドイツ音名が簡潔にその音を表現できることを知りました。私たちは分離唱等を通して当然のように使ってきたドイツ音名も一般には大変馴染みの少ないものなんですね、知らなかった。ハ調のシがH(ハー)でシの♭(フラット)がB(べー)、何でそうなったのかずっと疑問に思ってきたこともうかがうことができました。どうやらB(べー)という音名には♭(フラット)の意味が込められているらしいのです。
最後はバリトンサックスと先生のピアノの合奏を、先生が「何でも吹いて、合わせるから」と。先生が即興的にピアノを弾いていて「いつでもどうぞ」と待ちかまえているのですが、サックスの方はなかなか入れない、その気持ちわかりますね。でもやがて2つの楽器が響き始めました。「愛の讃歌」、そしてヘンデルの「ラルゴ」。よい雰囲気に先生から「これで終わり」との話になりましたが、やっぱり先生のヴィオラ・ダ・モーレが聴きたいとの希望で「真赤な秋」・「小さい秋」を聴いて一緒に歌ってあっという間の2時間を終えました。