主人公:倫子、25歳。同居していた彼が突然失踪して荷物は全てなくなりアパートはもぬけの空。買いためてきたこだわりの調理器具もすっかり持って行かれ、倫子はショックで声を失ってしまう。唯一残されていたのは玄関外のガスメータが入った空間に保存しておいたぬか床だけ。そのぬか床を抱えて絶縁していた郷里の母の下へ帰る。
複雑な関係の母に借金をして郷里で「食堂かたつむり」を始める。コミュニケーションは筆談だが、予約制で一日一人・一グループ限定の心のこもった料理がすこしずつ評判になっていく。可愛がっていた豚をしめるシーンなどは「ここまで書くかな~!」と。でも料理にこだわり人間関係も融けていく小説、おもしろかった~。