日別アーカイブ: 2007年5月6日

大和神楽①

子どもの頃、人のにぎわいと出店が並ぶのを楽しみに神社に行ってはいたが、神楽というのはただ冗長に舞っているだけでつまらないものだと思っていた。しかし大人からストーリーを少しづつ聞き足してこの年齢になると、見ていてもなかなか面白いものだ。おまけに「今舞っているのは○○さんだ、この人は上手だ。」などという情報が周りからはいってくる。

神楽のメインは何といっても「天の岩戸」である。天照大神がしずしずと登場して特別な舞いもせず正面に座ってしまう(天照大神は女性神です、特別な舞もないので舞があまり上手でない人でもよいなどという陰口もささやかれます)。荒くれ者素戔嗚尊(スサノオのみこと)の投げつけた馬の皮に驚いて天照大神は洞窟に入り岩戸で入口をふさいでしまう。天照大神は文字通り太陽神である。太陽神が隠れてしまっては世の中が真っ暗となってしまう。スサノオはこのあと神楽殿からさがっていくのだが、天照大神が閉じこもってしまった直後に天に両手をかざす場面がある。今年の舞を見ながら、「あー、真っ暗になってしまったということを表現しているんだ」とはじめて感じたのです。それからスサノオは腰を低く手を前に出しながら退場していく。このときも、「あー、真っ暗な中を手探りで行くことを表現しているんだ」をわかったのです。

スサノオ

むこうに天照大神(女性神)が座っています。前に持っているのが天の岩戸です。スサノウの尊がこうして真っ暗闇の中を手探りで退場していきます。

神社の祭り

先日、実家の部落の祭りがあった。うちの部落の神社の祭りは春・夏・秋とあった(多分今もあるだろう)が、春だけが神社で大和神楽が奉納される。神社は各部落にあるが、祭はどうやら4月末のこの時期に集中するようだ。今日はこの部落、明日はとなりの部落という感じだ。そうした中でうちの部落の祭は4月29日と決めている。他の部落は4月の第?日曜といったふうに決めているのだが、うちの部落では毎年休日となる。良い日に決めたものだ。
祭りc
今はどこの神社の祭りもかつてのようなにぎわいはない。祭が村人みんなの娯楽でその日を待ち遠しくしているというような時代ではなくなってしまった。それでもここの神社は子安神社といい、子宝や安産の御利益があるとのことで近隣の中ではにぎわいを見せる祭だった。社は貧弱だが神楽の舞い手も多く、今でも充実した神楽を奉納している部落である。かつては鳥居から神楽殿までの境内には出店が並んでにぎわったものだが、今は商売にならないのかテキ屋さんも来てくれない。そこで部落の女性達が自前でお店を出し、数少ない子どもたちが手伝っているという微笑ましい光景もある。

神楽殿の前には太い丸太を30cm程に切った手製の腰掛けが並べられており、年寄りなどがそこに陣取って神楽をみている。