大和神楽①

子どもの頃、人のにぎわいと出店が並ぶのを楽しみに神社に行ってはいたが、神楽というのはただ冗長に舞っているだけでつまらないものだと思っていた。しかし大人からストーリーを少しづつ聞き足してこの年齢になると、見ていてもなかなか面白いものだ。おまけに「今舞っているのは○○さんだ、この人は上手だ。」などという情報が周りからはいってくる。

神楽のメインは何といっても「天の岩戸」である。天照大神がしずしずと登場して特別な舞いもせず正面に座ってしまう(天照大神は女性神です、特別な舞もないので舞があまり上手でない人でもよいなどという陰口もささやかれます)。荒くれ者素戔嗚尊(スサノオのみこと)の投げつけた馬の皮に驚いて天照大神は洞窟に入り岩戸で入口をふさいでしまう。天照大神は文字通り太陽神である。太陽神が隠れてしまっては世の中が真っ暗となってしまう。スサノオはこのあと神楽殿からさがっていくのだが、天照大神が閉じこもってしまった直後に天に両手をかざす場面がある。今年の舞を見ながら、「あー、真っ暗になってしまったということを表現しているんだ」とはじめて感じたのです。それからスサノオは腰を低く手を前に出しながら退場していく。このときも、「あー、真っ暗な中を手探りで行くことを表現しているんだ」をわかったのです。

スサノオ

むこうに天照大神(女性神)が座っています。前に持っているのが天の岩戸です。スサノウの尊がこうして真っ暗闇の中を手探りで退場していきます。

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