「人形の旅立ち」
長谷川摂子
福音館書店
20~50ページ程の短編5作品を収めた本。
はっきりとは書いてないのだけれど、作者の子ども時代の心の内を描いた作品なのだろうな。子どもらしい思いこみや妄想、ときには怖いもの見たさも入り交じったような思い出、そして主人公をとりまく情景、なんていいんだろうと思います。第2作「椿の庭」では主人公が柿の木に登って身を潜める場面が出てくるのですが、お尻の下から伝わってくる湿り気、そこで蕗の強い匂いが立ちこめている情景など、読み手にもツーンと匂ってきそうな感覚を覚えてしまいました。
長谷川作品、また読んでみようと思います。
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