「潮鳴り」
葉室 麟 著
祥伝社
これも図書館の司書さんから以前紹介いただいていた本。前作「蜩の記」の好印象もあり、読んでみることにしました。
主人公は襤褸蔵と言われるまでに堕ち深い傷をもつ伊吹櫂蔵。同じように深い傷を持つ元江戸大店の大番頭である俳人:咲庵、客をとるまでに堕ちた飲み屋の女将:お芳の二人とともに豊後の小藩を舞台に、切腹に追い込まれた弟が成し遂げられなかった藩財政の立て直しを目指し、世の常識「落ちた花は二度と咲かぬ」を覆す。三人の「真っ直ぐな心」が印象的、そしてその心が周囲の者の心を動かし大きな動きとなっていく。さほどの長編ではないが読み応え十分でした。