「スコーレNo.4」
宮下奈都
光文社
骨董品店を営む父と母・祖母・妹二人と暮らしている麻子、自由奔放でしっかり自己主張ができる一つ違いの妹:七葉に対し、自身はいつも内向きに考え葛藤を抱える中学一年生。そんな麻子にも気になる男子生徒が現れる。中学にはじまり高校・大学そして社会人と悩み苦しみながら成長していく主人公の心をていねいに書きつづったおはなし。女性好みのおはなしかなと思いつつも、読み終わった印象は「よかったな~!」と思える一冊。
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「灯台からの響き」
宮本 輝
集英社
妻を亡くして店を休業し蓄えを削る生活を続けている中華そば屋の康平は手にした本から亡き妻宛の大学生の葉書を見つける。見ず知らずの若者から便りに妻は「あなたにはまったく覚えがないが・・・・」と返信を書きそれを康平が投函したのだったが、その返信はなかった。そんな葉書を何かのメッセージのように康平がいずれ読むであろう本の間に挟んでおいた妻の意図は・・・・。康平の謎解きがはじまる。
仕事に追われあまり会話もなかった二男一女の子どもたち、父から近づこうとする気配もあるが、いずれも独り立ちしている子どもたちも仕事を止めてしまっている父を見守っていてこころ温まる家族の物語でもあります。
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「よろこびの歌」の続編、前作から3年後のクラスメートのその後を描いている。バイオリニスト御木元響を母に持つ玲は声楽で音大に進学、しかし才能に秀でた同級生の中でもがいている。高校時代にクラス合唱でピアノ伴奏をした千夏はミュージカルのを目指し迷い無く突きすすんでいるように見えるが、やはり悩み苦しんでもいる。ソフトボールのプレーヤーとしての道は閉ざされた早希はトレーナーの道へ、そんな彼女にも音楽を通した出逢いが訪れる。短大を卒業、就職北陸へ一人移り住むあやにも心に残る歌から新たな人とのつながりが。そんなかつてのクラスメートと絡み合いながら、全編を通しての主人公:玲が歌うよろこびを見いだしていく。読んでいる読者も主人公と一緒に音楽を通してこれからそれぞれの未来が開けていくのを感じられるおはなしでした。
作者の宮下奈都さんも音楽好きなんでしょうね。
かつて天才子役と言われていたが今は声を失っている小宮透は、自宅を離れ一人暮らしで高校生活をはじめる。その学校には朗読部が存在し、声のでない透を熱心に入部をすすめる同級生の遥(はるか)が・・・・。朗読の世界から遠ざかろうとしていた透が、またその世界に惹き込まれていくおもしろいおはなしでした。
作品を掘り下げて読み、朗読に青春を燃やす高校生たちの姿が印象的です。自身をふり返ると高校生の頃の読書は「ただ読むだけだったなぁ」と。こんなふうに作品を味わい掘り下げる小説がでてくる背景には、読み聞かせボランティアやビブリオバトルのような取り組みがあるのかな。今の高校生は「大人の読者」なんだなと思ってしまいました。
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