カテゴリー別アーカイブ:

池井戸作品二作

読み出したら止まらない池井戸潤作品、二作を読みました。

「オレたちバブル入行組」
文藝春秋

水戸黄門の現代版かなと思えるようにバッサバッサと悪者(?)を片付けていきます。痛快ですね。

 

仇敵

「仇敵」
実業之日本社

これも銀行もの。大手銀行から巨悪に追われ、シティ銀行の庶務行員となった主人公が仇敵に立ち向かっていき、最後には・・・・。これも痛快でした。

(1.3k)

「いのちなりけり」

いのちなりけり

「いのちなりけり」
葉室 麟 作
文藝春秋

 読みました、またまた葉室作品です。
格好良い武士道とプラトニックな恋愛。前半は佐賀鍋島藩が舞台。藩の本家と支家の立場が逆転してしまう、そんなことが史実としてもあるのでしょうか。殿様が主人公:蔵人に義父の殺害を命じ、それが成し遂げられると言うとおりに働いた蔵人を捕らえて亡き者にしようとする、為政者の理不尽さを感じないわけにはいきません。水戸光圀も登場します。光圀にも為政者の勝手な論理があり、将軍綱吉の下で支配者への道を駆け上がる柳澤氏の謀も陰険そのもの。そういった理不尽さの仲で芯の通った武士道を貫く主人公、最後は「これでよかったかな」と思える結末でホッとしました。

「王子と乞食」

王子と乞食

王子と乞食
マーク・トウェイン
大久保 博=訳

「ロスジェネの逆襲」の前に読みました。それとなく内容は知っていましたが、読んだのははじめてです。朝ドラ「花子とアン」にこの原本が登場し、花子が翻訳するのですが、今回読んだのは村岡花子訳ではなく大久保博訳のもの。

現実的な内容ではなく、空想として面白い物語を作ったものだと思うのですが、後書きをよむと似たようなことが現実にあったらしいですね。実在のその王は短命であったが名君であったようです。物語でもその名君をたたえているといったところでしょうか。

豊富な挿絵もまた充実しています。なかなかの長編ですが楽しませてもらいました。

 

「ロスジェネの逆襲」

ロスジェネの逆襲「ロスジェネの逆襲」
池井戸 潤
ダイヤモンド社

読みました、池井戸潤作品2作目です。「下町ロケット」がよかったものですから。

バブル崩壊後の不景気、1994年~2004年の就職氷河期に世に出た若者たちを「ロスト・ジェネレーション」、略してロスジェネ世代と呼ぶのだそうです。そのロスジェネ世代がそれ以前のバブル期・或いはもっと以前の世代を見返す、そんな題名でしょうか。

そんなに世代を意識した内容とは思いません。むしろ大手銀行員と子会社の社員との間の小気味よい逆襲かな。今回も企業買収の世界にひきこまれました、これが池井戸ワールドでしょうか。

主人公:半沢直樹、そういえば昨年はやったドラマの主人公がこの名前でしたね。「あ、ドラマの原作はこれか。」と思いつつ読み進めましたが、「倍返し」という言葉は出てこなかったな。ドラマを見てないので、特定の俳優さんの顔が脳裏に登場することもなく読むことができました。見てなくてよかった。

面白くて、あっという間に読んでしまいました。

(0.9k)

 

「螢草」

蛍草

「螢草」
葉室麟 作
双葉社

 読みました、またまた葉室作品。これでもう3作目です。

あっという間にそのおはなしの世界に引き込まれ、一気に読んでしまいました。時は江戸時代、舞台は架空と思われる鏑木藩、不正をただす武士とその家族、それにかかわる不遇な女性のひたむきな心と生活を描き、最後はしあわせをつかむという内容。登場人物の中には「だんご兵衛」・「お骨さん」・「駱駝の親分」・「死神先生」とちょっぴり遊び心も。最後は苦労が報われるというのがいいですね。

こうなるとこの人の作品は全て読まなくてはいられません。

「歌え!多摩川高校合唱部」

唱え

本田有明 作
河出書房新社

 

図書館で見つけた本、いわゆる青春もの、かな。実在する名門合唱部の高校をモデルにしているとのこと。

合唱コンクールの課題曲の詩を公募し、選ばれたOB。その後輩合唱部の面々が入学入部からコンクールへ、そして本番。最後には社会人になってからのこともさらっと。

こういうコンクールへまっしぐらの合唱の世界、ある程度現実なんでしょうか。かなりその世界を知っている人の作品だとは思うのですが、音楽的なものは感じないな。まあ、青春もの、でした。

下町ロケット

下町ロケット「下町ロケット」
池井戸 潤
小学館

 読みました、数年前の直木賞受賞作。書名は聞いたことがある気はしていたのですが、評判も受賞も全くしらずに図書館で手にして借りてきたのです。

下町の中小企業が大きな企業との間にピンチがあり、それに立ち向かい克服していく様、スリルとそのあとの達成感、最高です。

こういう本、読み終わった後もまたダイジェスト的に拾い読みしてしまいます。

(0.6k)

 

「二年間の休暇」

二年間の休暇1

二年間の休暇2

「二年間の休暇」
J.ベルヌ 作
朝倉 剛 訳
太田大八 画

 家内の友人お勧めの本、お借りして読みました。

嵐の中無人島に漂着した15人の少年たち+犬1匹が協力して生活し、無事生還するまでの物語です。訳は淡々とした印象です。漂着してからの2年間が語られどうなるのかと思っていたのですが、後半は仲間割れが起きたり、訪れた危機が少年たちを再び団結させ危機と同時に島を脱出するチャンスが訪れるという内容。後半は一気に読み切りました。

そういえば「十五少年漂流記」というのがあったなと調べてみると、元は同じものでした。「十五少年・・・・」は簡略化されたもので、日本ではこちらが先に出版されたとのこと。私も少年時代に読んだ記憶はあるはずなのですが、この本を読んでいても記憶がよみがえることはありませんでした。おかげで初めて読んだという印象です。「二年間の休暇」は完訳本で、こちらの方が書名も原題に忠実であるとのことです。

「さようならオレンジ」

さようならオレンジ「さようならオレンジ」
岩城けい 著
筑摩書房

 図書館の比較的新しい本のコーナーに並んでいた本です。

オーストラリアの田舎町が舞台。文盲サリマは家族でのアフリカ難民だが夫に逃げられきつい仕事をすることに。さらに仕事をしながらこの地での言語:英語を学びはじめる。天気予報の読み上げからはじめることにも納得。日本人女性:ハリネズミや職業訓練校の英語の先生、さらにはつめたいと思っていた職場の監督などと、ことばの進歩につれ人とのつながりが芽生え、生きていく力を得て行くおはなし。

子どもの小学校から「お国のことを話して欲しい」との依頼を受け、単なる土地の紹介でなく生活の実体験を幼児並みの言葉数を連ねて朴訥に語るところが印象的でした。

読んでよかった!

「潮鳴り」

潮鳴り「潮鳴り」
葉室 麟 著
祥伝社

これも図書館の司書さんから以前紹介いただいていた本。前作「蜩の記」の好印象もあり、読んでみることにしました。

主人公は襤褸蔵と言われるまでに堕ち深い傷をもつ伊吹櫂蔵。同じように深い傷を持つ元江戸大店の大番頭である俳人:咲庵、客をとるまでに堕ちた飲み屋の女将:お芳の二人とともに豊後の小藩を舞台に、切腹に追い込まれた弟が成し遂げられなかった藩財政の立て直しを目指し、世の常識「落ちた花は二度と咲かぬ」を覆す。三人の「真っ直ぐな心」が印象的、そしてその心が周囲の者の心を動かし大きな動きとなっていく。さほどの長編ではないが読み応え十分でした。