「山のトムさん」

 岩波書店「石井桃子集」を読んでいます。最近開かれた山梨子ども図書館講座「石井桃子の仕事」で講師の方が絶賛していたという児童文学の石井さん、そんな事を聞いているので読み始めました。
 この中におさめられている「山のトムさん」、日本の話なのにトムとうなはどういうことだろうと思っていると、飼い猫につけた名前でした。開拓にはいった家族がねずみの被害に耐えかねて苦手だった猫を飼うことに、その猫に名付けた名前が「トム」。トムを中心に開拓の暮らしが綴られています。石井さん自身の実体験に基づいて書かれているのだそうですね。この話の程にねずみに悩まされたことはないけれど、わが家も昔はねずみを穫らせようと猫を飼っていました。ねずみを捕まえると口にくわえて私たちの居間に見せに来て、部屋で放しては捕まえてしばらくの間遊んでから私たちの目の前でバリバリと食べてしまう。だからこのおはなしの情景、自分で見た光景を膨らませながら楽しめます。
 山の開拓の暮らしはどんなに貧しく厳しいものだったのだろうと思うのですが、そんな悲愴感は感じさせずに楽しくおはなしが展開しています。

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