図書館で手にして読んでみることにしました。そういえば「代書屋」という落語がありましたっけ。でもこちらは笑い飛ばすようなものではなく、「手紙の力」というようなものを感じさせてくれる内容です。
一作目、バイト先に客で来る女性に思いを伝える手紙を代筆、その後女性側からの返信の代筆。双方から代筆を頼まれてしまうなんておもしろいストーリーです。代筆で成就したカップル、「代筆がばれたらどうなってしまうんだろう」なんて余計なことを考えてしまいます。こんなさわりを書くと誤解を受けるかもしれませんが、決しておもしろおかしい内容ではありません。代筆のためには十分に聞き取りをして、依頼主の心に沿って代筆をする、これは大変なことなのだなと思います。しかもそれが受取人の心をうつ手紙、すごいですね。
どこまでが現実でどこからが創作なのかは全くわかりませんが各章のおはなしと手紙、いいですね。あとがきには著者にこの本の依頼が手書きの手紙でされたことが紹介されています。「やはりどうしても今という時代に手紙に纏わる本が必要な気がします」との再度の依頼文、若い編集者の情熱のこもった手紙が著者の心を動かしこの本が生まれたのだそうです。