甲州弁の語り

 この地域に住む語り部のかたりをききました。86歳の男性です。
 別の方ですが、山梨では甲州弁のかたりで有名な方がおり、最近ではローカル局のテレビ放送にも出演するようになり広く親しまれています。方言で聞くおはなしには何ともいえない味わいがありますね。私もテレビ・ラジオで何回も、そして生でも何回か聞いて味わってきました。ただ、この方は甲府盆地の中でも東部地域の方、同じ山梨の方言でも私たちが育った地域とはいくらかそのニュアンスが違っていました。
 今日聴かせていただいた方は私たちの住む北杜市の方、方言ばかりで語っているのではないそうですが、それがまた無理がないのか、私たちには極々自然なかたりに感じました。おはなしの中の「炭焼きがまのまわりに金の粒がたくさん落ちている」なんていう場面を、私たちが目にした炭焼きがまを思い浮かべながら聴いていたのですが、あとで「炭焼きがまを知っている人も少ないんだろうな」なんていうことをふと思いました。「汽車ぽっぽ」の歌が小学校の教科書から消えた理由の一つが、今の子供が汽車を全く知らない、目にすることがないことだと聞いたことがあります。でも、おはなしの中で実際を知らないことはいくらでもありますが、それぞれに想像を膨らませてその世界の中に入っています。おはなしの世界では、たぶんそれでいいのでしょうね。時代が変わって無くなっていくものと、無くならずにいくものとがあるようです。

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