「眉山」

眉山

「眉山」
さだまさし
幻冬舎

 主人公はシングルマザーに育てられた娘の咲子、舞台は阿波踊りの徳島。この咲子によって語られる老いを迎え病で余命もいかほどかの母龍子のそれまでの生き様を描いたはなしといえるでしょうか。

病院での看護師へ、若い医者へ、お店を切り盛りしていた若い頃店に来た客へ等々、ちゃきちゃきの江戸っ子と自称していた“神田のお龍”の啖呵(?)、すかっとします。そうしてこっぴどくやられてしまった人たちが龍子のファンになってしまう。死後に咲子に届ける品物を託された人の行動や、咲子自身のことなどすべて見透かされてしまう。そういう爽快感だけでなく、なかなかのよい味わいの小説でした。

ここでも老いがテーマの一つ、著者も多くの老いを見てきたんだろうなと改めて思わされます。

知らない私は眉山という名前には中国を想像してしまいましたが、徳島の山だったんですね。表紙の青空と白い雲、どんな意味合いが込められているのでしょうか?

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