「ちゃんぽん食べたか!」

ちゃんぽん食べたか!「ちゃんぽん食べたか!」
さだまさし
NHK出版

 このところテレビで放映されているドラマ「ちゃんぽん食べたか!」の原作本で、今年5月30日発行という新しい本です。ドラマもなかなか面白く毎回楽しみに見ているのですが、図書館でこの本を見かけたので、すかさず借り出してきました。

ドラマの中では主人公を含めて(多分)全て仮名ですが、小説では特に支障のない限り実名で描かれています。さださんはどうやら私の一つ上の学年、中学から上京し下宿生活でバイオリニストを目指したとのこと。音楽のことはともかく日々の生活のことなど私も高校時代は下宿生活でしたので、お金のない時に即席ラーメンの売り出しがあってまとめ買いをしたとか、大変親近感を覚えてしまいます。著者が大学1年の時だったという浅間山荘事件は私が高校3年の2月、学校の図書館通いをしている時期で、図書館のカウンターの向こうのテレビに放映されていたのを思い出します。70年安保への学生運動も条約が締結されてしまった後は若者に無力感が漂い、潮が退くようになってしまったとのこと。今の安保法案への運動などもそうなってしまうのでしょうか。

バイオリン道には挫折したのかもしれませんが、一人暮らしをしている主人公のまわりにいろいろな人が集まってくる、学校生活も華々しいというわけではないでしょうが存在感ある高校生であったのだなと感じました。

さださんの小学生のころ、「この子のヴァイオリンは歌うんだよ」というようなことを言った先生がいたそうです。放送される曲を数回聴けば楽譜としてしまうというようなことも併せて、世の中には才能に恵まれた人はいるものだなと感心してしまいます。小説はデビューのきっかけとなるコンサートに向けて長崎新聞社を訪ねるところで終わってしまいましたが、これから書かれるであろう続編にも期待したいと思います。

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