袋をむくと真っ赤に色づいた実が現れる。直径2~3cmくらいのこの実を取り出し、茎のついていた部分に穴を開けてそこから中に詰まっているドロドロした種(の集まり)を出してしまうと表面の皮だけが残る。風船のようにこの中に息を吹き込んでは膨らませる。そんな女の子達の遊びがあり、姉たちがそうするのを見ていた記憶がある。色づいたホオズキはなかなかきれいなので、観賞用に室内に飾っておくのもいい。
このホオズキの中身は苦くてとても食べられる代物ではない。しかしこれとは別に食べられるホオズキがある。直径1cmにも満たないこのホオズキは黄色く色づき、十分に熟すと自然に木から落ちる。落ちたホオズキの袋は葉脈のような繊維だけが残るようになるが、こんなふうになったものを拾って食べるとおいしい。甘くて味わいが深く、子どもの頃ほんの数回食べた記憶があるが、その後何十年と食べたことがなかった。
そんな食べられるホオヅキが昨年玄関脇に自生してきて、この味を久しぶりにたっぷりと味わった。職場にも持っていったが、このホオズキを知る人はほとんどいなかった。昨年食べ残して放置した実(種)が芽を出し、それが育って今年も食べ頃になった。