ハモデ

 母校の合唱団が佐々木先生の指導から離れて20年以上の歳月が流れてしまった。昨年久しぶりに部室をのぞいてみたところ、棚の中に「ハモデ」と書かれた黒いケース入りのものが縦に並んでいた。「これ何?」と聞いてはじめてハーモニー・ディレクターというものの存在を知った。混声四部の各パート毎に使えるように4台そろえてある。使い方も何も知らないのだが、鍵盤つきの電子楽器で各音のピッチを変えることができ純正調のハーモニーをつくり出すことができるものらしい。しかし、電子楽器でつくられたハーモニーの響きを聞いて合唱でハーモニーを実現しようなんて、佐々木先生のもとで唱う機会のあった私たちは違和感を感じてしまう。音楽には素人の私だが、ハーモニーのためには「聴く」このとできる耳をつくり、「聴く」ことのできる心を育てることではないのかと思う。そういうものなくしてハーモニーを実現しようなんて何か変だ。先生は音楽教育に分離唱が導入されないことを憂いておられた。音楽に本来大切なはずのハーモニーについて、今の音楽の世界が何かおかしな方向に行ってしまっているように私も感じてしまう。

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