この年の曲目

 フォーレの「レクイエム」のほかに、この年に取り組んだ曲に西洋の古典的な器楽曲等があった。これらはいずれも佐々木先生の編曲で、バッバの「甘き死よ来たれ」や「ゲッセマネにおける主イエスキリスト」、カザルスの「鳥の歌」、シューマンの「トロイメライ」などを思い出す。これらの曲の多くは歌詞無しでハミングで唱った。それからどういう出典かは知らないが、MacDowell作曲の「野茨に寄す」という曲があった。個人的な趣味かも知れないが私はこの曲が大変好きで、今でも度々頭の中に浮かんでくる。
 私の場合、これらの曲はいずれも先生編曲の合唱を唱うことで親しんで、それからLPレコード等の本来の器楽曲としての演奏に親しむようになっていった。このように、本来器楽曲であるが合唱で知ってそれからLPレコードなどで聴くようになった曲がたくさんある。年を下ると、チェロと共演したバッハの「G線上のアリア」やチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」などもそうだ。先生の著書の中には、先生がSPレコード等で聴いてきたという何人かの演奏家名が登場する。「カペー」や「レナー」もそうだ。私たちはレナー弦楽四重奏団の「アンダンテ・カンタービレ」のSPレコードを探し出してきて聴き、「先生はきっとこの演奏を聞いたんだ」なんて勝手な想像を膨らませていた。

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