あとから入団した友人

 このころの団員は40人くらいだった。各パートのバランスもまあまあで恵まれた合唱団だった。2年3年と学年がすすんでから入団してくる学生は以外と少ない。そんな中でいつ頃かはっきりとした記憶がないが、先生の指導がすすんできた頃入団してきた友人がいる。入団の動機はというと、練習場(普通の2階の講義室の隅に古いアップライトピアノが置いてある)から数十m離れた屋外掲示板のあたりで(歌声というのではなく)ハーモニーの響きが聞こえてくるのだという(私たちの合唱の声量は決して大きくなかった、何せ発声練習などというものをしたことがないのである)。その響きに惹かれて入団したとのことであった。この友人の下宿に行くと、押入の端から端まで(約1.8m)ジャズやその他のLPレコードが並んでいた。私は、当時の学生でこんなにたくさんのLPを持っている人を初めて見た。このようなジャンルの音楽好きであった彼にとって、合唱団への入団は大転換であったことだろう。感性にすぐれたこの友人は、先生の音楽を感じ取って入団してきたのだ。そして私は後々、この友人からたくさんのことを学ばせてもらった。

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