夏合宿 その4

 話を戻して1年目の夏合宿、合宿最終日はもう練習がなく荷物をまとめて帰るだけである。先生はその前日いっぱいの指導を終えて東京に帰ることになった。夕闇につつまれた頃、寺の境内に全員で見送りに出て、自家用車に乗り込むまでの間みんなで何曲か合唱をした。唱った後、先生は私たちに出会ったことの喜びを語られた。しんみりとした雰囲気の中で、先生の「皆に会えてよかった」「みんないい人間になってくれよと」いう言葉に男性団員の一人が感極まって「先生!」と叫んだ。先生の著書「耳をひらく」にも記されているあの場面に私もいた。

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