この年、私たちが取り組んだ曲目は全てア・カペラのものだった。ほとんどが1ページから2ページの小曲である。楽譜は増田順平編曲の「からたちの花」という混声合唱曲集、のばら社の「混声合唱名曲選」、それから先生が編曲してくる数々の楽譜であった。4月からそれらを「これ、やってみよう」と次々と譜読みをして、この年に取り組んだ曲数は70曲以上にのぼったように記憶している。この前書いたように、私たちの譜読みは大変合理的で全く苦にならなかった。この年在籍したメンバーは分離唱で耳を鍛えられると同時に、譜読みによっても耳が鍛えられたのではないかと思っている。