「いのちの波止場」

いのちの波止場

「いのちの波止場」
南杏子
幻冬舎

 金沢で在宅の終末期患者を訪問診療で担うまほろば診療所の看護師星野麻世の能登さとうみ病院緩和ケア科での6ヶ月間の実習が始まった。ここは能登穴水町にあり終末期医療に携わる医師や看護師なら一度は見てみたい評判の病棟だ。しかもリタイアして故郷穴水へ帰っていたはずのまほろば診療所前所長の仙川徹は能登さとうみ病院の顧問だった。時には病院外でこの仙川先生に会い、心の頼りにしながら麻世の実習がすすむ。各章のそれぞれに医療用麻薬を用いた末期癌患者への丁寧な緩和ケアが描かれていて、私たちのおぼろげにしかもわずかづつ膨らんでくる死への恐怖も少し和らげてくれます。そして最終章では仙川先生が入院することに・・・・。

「どうすれば入院中も楽しそうにしていられるんですか?」
「何があっても機嫌良く生きる、って決心したんだよ」

主人公と入院した仙川先生のこんな会話が心にのこります。

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