「傑作はまだ」

傑作はまだ「傑作はまだ」
瀬尾まいこ
ソニー・ミュージックエンタテインメント

 瀬尾まいこさんの作品、今年本屋対象を受賞した「そしてバトンは渡された」では次々と変わる血のつながりのない親に育てられ、でもそこにあたたかいものが流れているような作品でした。その前には「春、戻る」で和菓子屋に嫁入りが決まっているヒロインの下に血の繋がらない、しかも年下の「お兄ちゃん」が現れ、過去に心の傷をもったヒロインの心を温め後押ししてくれるような小説がありました。今度の作品はそこそこ売れている小説家、一人暮らしで社会とのつながりをほとんど持たずに小説を書き続けている主人公、そこに突然実の息子が「はじめまして!」と登場する。そんな不思議なおはなしに「またこのパターンかよ!」と思ってしまう始まりでした。そんな気持ちで読み始めた作品ですが、引き込まれてしまいました。「あり得ない」感も強かったのですが最後にはほんのり「よかったね。」と思えるようなおはなし、さすが瀬尾まいこさんです。

(39.3k)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>