「サイド・トラック」
-走るのがニガテなぼくのランニング日記-
ダイアナ・ハーモン・アシャー作
武富博子訳
評論社
今年の中学生向け夏休み課題図書の一冊です。
発達障害のひとつ:ADD(注意欠陥障害)を抱えている主人公:ジョセフはアメリカの中学2年生、T先生に勧められて陸上部に入りクロスカントリーを始めます。通級指導教室という障害をもった子達が学ぶ教室があったり、部活動のあり方が日本と大分違うことも感じます(その種目に優れている子が集まるわけではないらしい)。障害を持っている子に対しての偏見やいじめがあり、そして応援してくれる友だちや先生なども登場し、学校の仕組みは違っても私たちの日本の環境に置き換えて主人公になりきって読む事ができます。普段の生活にも、そして与えられた距離を走り切るにも障害がある事を読んでいる私たちが理解していきます。私たちにも発達障害というものを学習する機会は多くありますが、この小説では障害を持っている主人公になりきって見つめていくことで、知識ではなくこうした子どもたちを支援する心を養ってくれる本だなと感じました。
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