日別アーカイブ: 2006年6月15日

残響

 東京公演の会場は第4回(1977年)からは、東京上野の上野学園大学内にある石橋メモリアルホールで行われるようになった。以来、最後の東京公演までずっとこのホールで開かれた。このホールはステージの正面にパイプオルガンが配置されていて、宗教曲など演奏するのにはいうことなしの雰囲気だった。おしゃれな上に、石壁のためか音の反響も大きく、唱う側にとってはとても唱いやすい印象の会場だった。しかし、少々残響過多な印象でもある。私は、本当に美しいハーモニーには残響が多すぎない方がいいと思う。これはレコードでも同じだ。私たちのLPレコードはその製作会社の個性なのだろうが、エコーがかなり強い。レコードから聞こえてくる演奏は、普段の練習を行っている大学教室で聴いていた印象と違うのだ。初めて自分たちのLPを聴いたとき、音楽が化粧されてしまったようなくすぐったい気持ちだった。だから、もし私たちの母校の演奏が「CDに復刻されるのなら、エコーの少ない状態で聴きたいね」と、友人達との間でささやき合っている。