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「とぶ船」

とぶ船

とぶ船
ヒルダ・ルイス 作
石井桃子 訳
岩波書店

今持っている金ともうすこしの金で手に入れた船は空飛ぶ魔法の船。この船を手に入れたピーターとその弟妹4人が船に乗って世界と歴史の中を冒険するおはなし。兄弟4人でこんなふうに冒険に行って帰ってをくり返すのはナルニア国物語に似ています。しかも大人になってしまうと魔法を信じることができなくなってしまうところなんかも同じよう。一冊の中にいくつもの冒険が語られており、一つ一つの話はシンプルですがそれがまた読みやすいように思います。歴史の中の姫が現代にやってきて豊かな生活をしながらも元の時代に帰ってその時代で生きてゆくことを決意することなども、きかせてくれます。弟妹が魔法を信じられなくなり、まだその心が残っている主人公が船を返しにいくところなど、よいおはなしに仕上げたなと思いました。

 

「鹿の王」

鹿の王

鹿の王
上橋菜穂子
角川書店

今年の本屋大賞です。図書館に並んでいた本も大賞が決まるとアッというまに姿が消えて予約待ちで借り出し、そして1ヶ月ほどかかりましたが読み終えました。これもファンタジーかな?時代設定は古いようですが、一方の主人公が関わる医術のことは現代医学がわかっているかのような内容、アンバランスを感じます。

主人公が二人いて話があっちに行ったりこっちに来たりというのは、ストーリーの中に入り込めたと思うと違う話に変わってしまうのでその世界に入るのにちょっと手間取った感じがします。でも徐々に二人の話がつながっていってまた面白さも増してきます。すごい構成力。結末もなかなかよかったな。

「プロメテウスの罠4」

プロメテウスの罠4プロメテウスの罠 4
徹底究明! 福島原発事故の裏側
朝日新聞特別報道部
学研パブリッシング

三冊目を読み終えてから約2ヶ月、ちょっと時間がかかってしまいました。

第19章 残された人々
第20章 飛び出した町
第21章 遠野ショック
第22章 また年を越す
第23章 日本への不信
第24章 「影」が動いた

今回も終始興味深く読みました。よく取材したものです。「飛び出した町」の首長の決断と悩み。200km離れた遠野で、牧場の牧草が使えなくなる。国としての対応に対してアメリカからの不信、極秘に動いた自衛隊のことなどどれも重いテーマをよくここまでリポートしてくれたなと思います。

「ビブリア古書堂の事件手帖6」

ビブリア古書堂の事件手帖6ビブリア古書堂の事件手帖6
~ 栞子さんと巡るさだめ ~
三上 延
メディアワークス文庫

昨年末に発売されたシリーズ6冊目。いつもながら、古本に関わる謎解きおもしろかった。栞子さんの所有する太宰治「晩年」の初版本がまたしても絡み、ビブリア古書堂に盗聴器が仕掛けられたり、主人公にも危機が迫ったりとスリル満点でした。

最新作まで読んで、このシリーズはしばらくお休みです。あとがきの中で著者は、

「次かその次の巻で『ビブリア』のシリーズは終わりです。」

と記しています。もうしばらく楽しめそうです。

「若き数学者のアメリカ」

若き数学者のアメリカ若き数学者のアメリカ
藤原正彦
新潮文庫

数学者である著者の1972~75年のアメリカ滞在記、著者29歳からの3年間のことがつづられています。初めてのアメリカ生活での著者の心の動きが興味深いものでした。心の中をストレートに表現できる方のようです。

アメリカ・ミシガン行きの途上、ハワイ・真珠湾への寄り道でアメリカへの対抗心のようなものの台頭、ラスペガスでのルーレット経験、1年後のフロリダへの旅での穏やかな心の芽生え。マリファナがでてきたりストリークがでてきたり。後半では飾らない文章でアメリカの人たちと心通わせるとはどういうことか筆者のとらえたところが語られていて、なるほどと感心させられます。

文学作品とは違うジャンルですが興味深く読めました。

 

「プロメテウスの罠3」

プロメテウスの罠3プロメテウスの罠3
朝日新聞特別報道部
学研パブリッシング

3冊目を読み終えました。

第13章 病院、奮戦す
第14章 吹き流しの街
第15章 除洗の悩み
第16章 カワセミ日記
第17章 がれきの行方
第18章 地底をねらえ

国の担当者等と様々な現場にいる人たちのとのギャップなどがそれぞれのテーマの中で語られています。

がれきの広域処理は放射能に関わる安全性への不安からの受け入れ拒否など報道でも耳にしましたが、ここでもマニュアル通り押し通そうとする環境省と地方とのギャップ、改めて考えてしまいます。

「地底をねらえ」は放射性廃棄物の最終処分地さがしに関わる内容。高知県東洋町の選挙は当時話題になりましたが、幽霊組織が動いていたり、この地を訪問した人を探すのにも苦労する取材の様子など、それから広告宣伝費に巨額の金が使われていることなど驚くばかりです。

続編も読んでみようと思います。

「銀翼のイカロス」

銀翼のイカロス銀翼のイカロス
池井戸 潤
ダイヤモンド社

またまた池井戸作品:半沢直樹シリーズ。

今回は帝国航空という国を代表する航空会社の業績不振。その再生に銀行だけでなく、政権交代した党、国交大臣、その下の再生チームなど政治家の思惑が絡んだおはなしです。かつての日航をモデルにしたものでしょうか。

これもやっぱり、痛快小説。一気に読みました。

「オレたち花のバブル組」

オレたち花のバブル組「オレたち花のバブル組」
池井戸 潤
文春文庫

半沢直樹シリーズの2作目、図書館でこれがなかなか見つからずに3作目を先に読んでしまいました。でも、これも痛快でした。悪い奴らをやっつける、単純と言えば単純ですが安心して楽しめる話しというのはいいものです。そういう楽しみ、水戸黄門にも通じるものかな。

「プロメテウスの罠2」

プロメテウスの罠2「プロメテウスの罠2」
朝日新聞特別報道部 著
学研パブリッシング

シリーズ2冊目を読みました。今回は第7章から12章。

第9章には青森県六ヶ所村に核燃料再処理施設が誘致(?)されるにいたるいきさつが書かれています。政治的に、当初は工業団地を誘致しようとして、その反対運動とのせめぎ合い。反対派の村長の信念やリーダーシップ、電力会社などの選挙への露骨な干渉。地元に戻った女性の粘り強い頑張り等々興味深く読みました。

推進の中心であった青森県知事をも務めた北村氏は政府が勲一等を送っているそうです。この本の言葉を借りると、

「厄介な物を引き受けた事へのねぎらいのような叙勲だった。」

という。

「真夜中のパン屋さん」4

真夜中のパン屋さん4真夜中のパン屋さん
午前3時の眠り姫
大沼紀子
ポプラ文庫

シリーズ4作目、今回は希美の従姉妹が登場。どうやらこの従姉妹が眠り姫。この人物とそのパートナー、どちらも複雑な家庭です。大きな課題を抱える家族を淡々と描いてしまうのがこの作家さんの手法かな。でも読んでいてそういう表現に疲れてきてしまいます。

最後は消えていた主人公:希美の記憶がよみがえっていき、舞台となるパン屋さんが何故深夜営業なのか、その理由らしきことも語られ始めました。今回も続編への期待を抱かせる結末です。