心星ひとつ
みをつくし料理帖
高田 郁
角川春樹事務所
つづけて読了。読み終わってしまうと寂しいので、その前にシリーズの次の一冊を予約、隙間なく読み続けてもうしばらく楽しめそうです。
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「みをつくし料理帖」シリーズにはまっています。これは第2作と第3作、いずれも一冊中に四つのミニストーリーで、既に読んだものと同じような構成です。
主人公:澪がはたらく料理屋の「つる屋」を舞台に持ち上がる難題を克服しつつ新しい料理が創作されてゆく。月に一度板場を手伝いに来る又次のことば、「澪さんもご寮さんも、そりゃあ言うに言えない苦労をしただろうが、それでもやっぱり情ってのに恵まれていただろうから」と言わせていますが、一貫してまさにこれを表現しているように思います。「つる屋」で働く人それぞれが心温かく、料理への情熱、料理の温かさと相まって、どの作品を読んでも満たされる作品です。
(8.9k)
銀二貫
高田 郁
幻冬舎
昨年NHKで放映された同名ドラマの原作です。
銀二貫で買われた敵討ち、助かった武家の少年が寒天問屋の商人として成長していくおはなし。この作品でも作者の料理や食材へのこだわりが物語の中に流れています。繰り返される大坂の大火、寒天づくりの大変さ、新しい糸寒天の産みの苦しみ、そしてまた羊羹の誕生物語でもあるようです。描かれている人たちも人情味いっぱいです。
銀二貫は天満の天神さんに寄進するための大金、大坂商人の天神さんへの信仰の厚さは私たちの想像を超えるもののようです。店の主人が長年かけて蓄えたその大金をここぞと言うときに惜しげもなく投ずる場面が何度か登場します。敵討ちと引き替えに渡された銀二貫もまたその武士の郷里で生かされていました。ドラマでは銀二貫の重さがあまりわからなかったのですが、小説ではこの表題がなるほどとうなずけます。
(8.7k)
みをつくし料理帖シリーズは9作。1作目が気に入って続きを読もうと近くの図書館隣の図書館と歩きましたが2作目にたどり着かず、やむを得ず借りたのが第4作の「今朝の春」でした。早く先を読みたい気持ちには勝てず、はなしの順序が違うだけのことと我慢してこういうことになったのです。
1作目のときには内容に余り触れませんでしたので少し。主人公:澪は幼くして家族を失ってしまったのですが、現在は料理屋「つる屋」の女料理人。恩ある大阪の有名料理屋の御寮さんにと二人で今は江戸暮らし。つる屋の主人:種市、馴染み客の医師:源斉、つる屋でいっしょに働くご近所のおりょう、辛口ながら主人公に適切な助言を与える武士の小松原など多くの人の温かさに囲まれて現れたハードルをクリアするごとに新しい料理を生み出していく、何ともあったかいおはなしです。この巻では大阪の洪水で生き別れた幼なじみも登場してきます。今回も収められていたのは四つのミニストーリー、いずれも楽しめました。
2作目は図書館ネットワークで取り寄せを予約しておきました。次からは順を追っていけそうです。
知り合いの薦めもあり、高田作品をはじめて読みました。
舞台は江戸時代の町中、料理の世界に生きる女性:澪が主人公で、人情味あふれる人たちに囲まれ主人公が様々な困難を克服しながら料理人として成長していく物語です。300ページほどの文庫本で中にはミニストーリーが四話、一ストーリーごとに新しい料理が一つ生まれていきます。今までこの時代を描いたものは武家ものばかりでしたが、こういう江戸の町中の営みを描いたものもいいですね。
巻末には物語の中で語られた料理のレシピも紹介されています。
みをつくし料理帖シリーズは10冊ほど、他の作品も含めてこれから高田作品をゆっくり楽しみたいと思います。
温暖化論のホンネ
「脅威論」と「懐疑論」を超えて
枝廣淳子・江守正多・武田邦彦
技術評論社
先日、枝廣淳子さんの「持続可能で幸せな地域へ」と題する講演を聞きました。原発等の地元での推進派と反対派の対立はよく聞くことですが、この方は両者の対話の場を作り出すことを何度も手がけているとのことでした。主張が融和することはなくとも互いの主張に理解を示すことは大事なことだと。そして温暖化について懐疑論の武田さんとのことなども、そしてこの本のことも話題に上がりました。温暖化研究者の江守さん、そして武田さんと環境ジャーナリスト:枝廣さんの鼎談の本。武田さんは「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」のシリーズなど刺激的なネーミングの本が出ており、私も若干は読んだことがあります。このかたの理詰めで論じている「懐疑論」に「脅威論者」の二方がどのように対応するのか興味深く、図書館で取り寄せていただいて読んでみました。
読後感は・・・・、あまり言いたくはないですね。理解できるところもあるけれど。T氏の毒気にあてられてしまった感じです。後味は・・・・、あまりよくないな~。と、これだけにしておきます。
図書館で見つけました。2年ほど前にテレビドラマ化されたお話の原作です。表題の通り人口減少が著しく衰退の一途をたどる村の再生の物語。Uターンして農業をやっている正登、その娘で村で育ってやはりサラリーマンから農業に戻った美穂、銀行を辞めた経営のプロ優の3人が主人公。この3人それぞれを代わる代わる話題にしながら物語が展開します。
農業法人を組織して主人公3人のほか、集落の人たちや収納体験の研修生などそれぞれの個性を生かして軌道にのせていく。役場の職員の限界集落と見捨てた態度や、うまく行きかけるとすり寄り、危機が訪れるとはなれていく、そんな周囲の陰険さに囲まれながらも危機を乗り越え集落の賑やかさを取り戻していく、先へ先へと読み進みたくなるストーリーです。
でも危機の内容は、ドラマとは違っていました。そして物語の締めくくりも。ドラマを見た人にも楽しめると思います。
「風の又三郎」
-宮沢賢治童話集Ⅰ-
春日部たすく 画
岩波書店
甲府の幼児教育に尽力している寺のボランティアグループの主催で表記の舞台があり、昨日見てきました。劇団は「わらび座」、もちろん宮沢賢治作品の「風の又三郎」が原作です。しかし私はこれまでに読んではいなかったので、この日に備えて読んでみました。一度読んでみてもちょっと難しいな、ともう一度。で、この舞台で賢治の世界を感じさせてもらおうと言うわけです。
舞台は踊り歌い演奏する、どの役者さんもこれらを全てこなして表現するものでした。序章があり、東北の四季を賢治の他作品「水仙月の四季」・「早春独白」・「高原」などから神楽・鬼剣舞・東北の手踊り・鹿踊りをみせてくれました。
そして「風の又三郎」のはなしに入っていきます。冒頭から「どっどど どどうど」というこの作品特有の嵐のような強風を太鼓と棒術を駆使した踊りでみごとな表現でした。身につけたマントを動きの中で翻し、止まっているときにもフワッとさせるなど、又三郎ぶりもまた魅せてくれました。原作からのアレンジもあり、一郎の弱さや三郎の「風の又三郎」ぶりなど一段とクローズアップして、舞台化した作者と劇団の表現は原作とは少し変わってきている新たな解釈を迫力ある音楽と踊りで堪能しました。
よかった~!