カテゴリー別アーカイブ: 雨水利用奮戦記

Aさんからのメール1

 Aさんがわが家から帰って、早速にメールをいただいた。この中では、井戸用ポンプよりも水中ポンプを推奨する理由が明記されている。水中ポンプは井戸用ポンプのように水圧が高くないのが欠点だが、水中ポンプの方が有利なことが明記されている。
 そのほか、汚れている降り始めの雨水はゴミ取りマスを設置することで排除することなどが説明されている。
 以下、メールの文章で直接その辺りを確認していただきたい。
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susuki 様
 水中ポンプ式が良いと思います。
 ①工事費が安価である
 ②散水用途で、住宅内の雑用水に使わないので自動給水の必要がなく、非自動で充分である。
 ③防寒、ヒーター保温など凍結対策が要らないから、余計なエネルギーを使わない。
 ④ポンプ構造がタフなので、ゴミや砂塵に強い。
 ⑤水中式なので、落水が無い
 ⑥非自動で締め切り運転をしても短時間であれば焼損しない
  (安全側に逃がし水栓を一つつけておく)
 ⑦水槽が渇水した場合の安全停止が内蔵してある。
不明な点は、お電話下さい。
気がつく点を列記すると
 ・雨水利用について、町の補助金制度がありませんか?
 ・雨水の貯まり具合を眺める簡単な浮棒を手作りするのも楽しいことです。
 ・雨水は、意外と大気中のタールや落ち葉、鳥の糞、昆虫や屋根の砂塵などで降り始めの雨水は汚れています。浄化槽の前に少し大きめのゴミ取りマスを設置した方がベターです。
 ・雨が降らないと、貯留雨水に大腸菌群等が多少生育します。心配は要りませんが呑まない方が安全です。
 ・梅雨時や台風時など貯まりすぎるとオーバーします。下水へつなぐとドブ鼠、害虫等が逆侵入します。
  従って、せっかく集めた貴重な雨水ですから、敷地に浸透し潤した方が賢明です。

強力な助言者Aさん その2

 Aさんは奥様と一緒にわが家にみえた。花粉症のためか、顔の起伏にぴったりと密着したマスクをしていた。この時は彼岸中でもあり家族の墓参りをすませた後、はるか遠いわが家まで足を伸ばして来てくれたそうだ。私よりかなり年上の方であり、優しさのあふれる人だった。
 この時わが家の転用工事について、数々の技術的な助言をいただいた。
    ・隔壁にはどのように穴をあけるか。
    ・ポンプは井戸用でなく、くみ上げ用水中ポンプがよいだろう。
    ・貯槽内に水栓を設けて圧力を逃がし、トラブルを避けた方がよい。
    ・貯槽の手前にクリーンますを設置した方がよい。
    ・ばっ気用のブロアは残すことが賢明だ。
等々、多くのことを紙に図示しながらわかりやすく教えてくれた。さらに、具体的に必要な部材等を調べて資料として送ってくれるとのことだった。
 このときの話題は雨水利用に限ることなく、幅広く環境のことについても教えていただき、LCA(ライフサイクルアセスメント)という考え方があることもAさんから聞いて初めて知った。
 Aさんはこの後も、わが家の雨水利用への取り組みを自分のことのように心配してくださり、頻繁なメールのやりとりでたくさんの助言をいただいた。しかし、わが家の雨水水槽が仕上がるまでの半年のあいだにAさんは他界されてしまい、工事の完成をお見せすることができなかったことは残念である。Aさんの貴重な助言の数々に励まされ力を得て、私はこのことをすすめることができた。そしてAさんからうかがった助言は、これから雨水利用のために浄化槽を転用しようとされる方にもきっと役立つと思う。Aさんへのお礼の意味も含めて、これからメールのやりとりもこのブログに掲載させていただきたいと思っている。

強力な助言者Aさん

強力な助言者Aさん
 これまで述べたようにいくつかの業者と接触した結果、素人である私は専門家である業者とのとやりとりに大変不安を覚えていた。高姿勢で接してくる業者に対し、負けずに受け答えして合併浄化槽の雨水槽への転用を実現する、「果たして私に、そんなことができるのだろうか。」という不安である。そんな中、心に浮かんだのが講演会の時に紹介していただいた設計を仕事にしているAさんだ。しかし、この段階ではただ単に「顔を合わせたことがある」というだけの関係であり、直接おはなしをうかがうには余りにも無理があった。そこでもう一度紹介をしてくれたOさんに先方のことを聞いた上で、Aさんに電話をした。「浄化槽の転用のための助言をお願いしたい」旨を伝えたところ快く聞いて下さり、早速に私の自宅に来ていただけることになった。

N社との接触

 団地内のMさんはすでに雨水槽への転用工事を終えている。Mさんが依頼したN社は、我が家も浄化槽管理の契約を結んでいる業者でもある。「最後のお付き合いを当社に」との挨拶も受けていた。そこで、この業者に来ていただいて私の考えを述べ、見積をお願いすることにした。来たのはパリッとした背広を着こなした中年の自信にあふれた営業マンだった。この業者はMさん宅の工事を引き受けていることもあり、雨水槽への転用自体を否定することはなく話を聞いてくれた。こちらの条件としては、
    ・わが家の排水の下水道公共ますへの接続
    ・雨樋から浄化槽までの雨水配管
    ・浄化槽内のろ材の撤去
    ・浄化槽内の清掃
    ・雨水利用のためのポンプ及び水栓の設置
といったところだ。これらについて見積を作成してもらうことになり、数日後見積書を手にすることができた。
 しかしこの業者には、すでに手がかけた形式にこだわる傾向があった。浄化槽内の隔壁に穴を空けなければ槽全体を一つの水槽として利用することができないという当たり前のことが通じない。「隔壁にはもうすでに穴があいている、それ以上空ける必要はない。」などと言われてしまった。業者は持っている知識を全面に出し、その土俵で話をすすめようとする。周囲に前例のないことをすすめるためには、自己の考えに引き寄せるだけの知識は備えておかなければならない。強気な業者を相手に、このことをすすめていけるかどうか非常に不安を覚えた。

O社との接触

 自宅近くにO設備という水道工事業者がある。まず手始めにこの業者に今まで集めた資料を持参して、浄化槽の転用について見積りをしてくれないかと話してみた。
業者の反応は、
    「そんなことは、水が腐って使い物にならないよ。」
といわれた。講演会の話や資料から「雨水はきれいだ」「日光が入りさえしなければ、水はきれいなまま保てる」等の話をしたが、
    「浄化槽の中はちょっとやそっとできれいにできるものではない、不可能だ」
    「そんなことをする業者はいない」
などと全く相手にされなかった。

雨水槽への転用HP

 浄化槽の雨水水槽への転用について書かれたホームページがいくつかある。以下のようなものだ。
浄化槽再利用の場合http://www.kamino.co.jp/html/reform/kankyo_reform.html
わが家の雨水利用http://www.tcn.zaq.ne.jp/membrane/WaterRainP.htm
雨水貯槽転用工事費http://www.tcn.zaq.ne.jp/membrane/WRcost.htm
業者との接触に当たり、このような知識は非常に役立った。自分自身ができるだけの知識を備えていないと、業者は強気になる。それに対して話ができないと、一方的に押し切られてしまう。これが数多くの業者に接触してみた私の印象だ。

時期到来

 合併浄化槽の管理のためには業者とメンテナンス契約をしている。その業者によると、「ばっ気・逆洗用ポンプにも負担がかかってきた。そろそろ汲み取りを。」との報告が来た。このタイミングで下水道に接続しなければならない。年度末の契約更新時期までが理想だ、さもなければ更に一年契約料が必要になる。そして浄化槽の雨水水槽への転用のためには、同時にその工事もしなければならない。浄化槽への接続は水道業者ならどこでもやってくれるが、雨水水槽への転用を手がける業者は知らない。まずは業者探しからである。

同じ希望を持った人

 団地の中で自治会の清掃活動がある。この折り、下水道への接続が話題になる。このとき浄化槽を雨水水槽に転用したいという人も現れた。また、団地内のMさんはすでにそうした、浄化槽管理業者に依頼して工事をしたという。内容はろ材の撤去と浄化槽の洗浄。構造的には手をつけず(隔壁に穴を空けず)、水中ポンプを購入しておいて、散水時には水中ポンプを投入して水をくみ上げ利用する。散水が終わったらポンプを引き上げて保管するとのこと。この人からは、「浄化槽をつぶしたらもったいないよ。」と雨水槽への転用をすすめられた。もう一人、Aさんも雨水槽への転用を考えており、かなりその意志を固めている。同じ気持ちの人がいるのは心強い。

雨水利用講演会

2004.9.4「雨を活かす~ためることから始める」との演題で、雨水利用を進める全国市民の会事務局長:村瀬 誠 氏の講演を聞いた。雨水利用についての考えやこの会の活躍など多くの話を聞き、またたくさんの資料をいただくことができた。また、講演の後パネルディスカッションがあり、県内でも多くの先進的な方がいることを知ることができた。このとき購入した

「やってみよう雨水利用」グループ・レインドロップス編 北斗出版

はなかなか読みやすく、後でも役立った。

また、この講演会の後知り合いのOさんからそのことに詳しいAさんを紹介していただいた。

見学

グループの中には雨水利用を取り入れた設計を仕事の中で行っている人もいる。2004年8月、グループで、はじめから雨水利用を考えてつくった家屋を見学させていただいた。家主は不在で、家の中まで見ることはできなかったが、設計者さんの説明での見学である。この家庭では庭の散水、洗車ばかりでなく、水洗トイレの水まで雨水を利用しているという。そのためには雨水だけでは量が不足することが予想され、風呂の浴槽の排水は雨水水槽に流れ込む構造にしてあるという。ただし、この家庭では浴槽には石けん洗剤を流し込まないように注意していると言うことだ。雨水水槽は地下に水槽を埋め込み、水槽の手前にはゴミを採るための小さな槽が設けてある。このなかにはプラスチック製のバスケットが取り付けてあり、これで濾しとったゴミはバスケットごと取り出して外へ捨てる。水槽の水位は長い棒を挿入してどこまで濡れるかを見るものだった。また、庭には雨水の蛇口があり、「飲めない」旨の表示が下げてあった。建築時からこのような思想を取り入れると、雨水利用も徹底している。私も「自宅を造るとき知っていれば」と残念な気がした。