この年ももちろん数多くの日本の歌や讃美歌を唱った。「今様」、この曲からは平城の都のまわりをゆったりと取り囲む奈良の山々が春霞の中にある淡い情景が浮かんでくる。「でんわ」、ソプラノとアルトのかわいいやりとりがなんとも言えずいい曲だ。「はいはい、私は遠方の 南の風ともうします。」なんて、電話から暖かい南の風が「すーっ」とやってきてこちらも春になっていくような印象だ。「青い小鳥」には、もとになったメルヘンの世界が脳裏に浮かんでくる。
先生が見えるようになって以来、選曲はほとんど先生からのものだった。そんな中で「汽車ポッポ」は、合唱団の方から練習にのせた曲だ。この曲は先生が見える以前にも唱っていたが、先生が指導に見えてからは日本的情緒の豊かな曲等が中心だったので、先生はこの曲を好まれないのではないかと心配だった。しかし、先生の元で久しぶりに唱ってみるとまた楽しい曲になった。演奏会のアンコールでよく唱ったこの曲で、先生は最後の「シューッ」と蒸気をはき出して停止する場面では座り込んでしまう。そんな先生の姿も含めて印象的な曲だ。
この年の曲目 その2
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