月別アーカイブ: 2016年11月

「みかづき」

%e3%81%bf%e3%81%8b%e3%81%a5%e3%81%8dみかづき
森 絵都
集英社

 小学校の用務員:大島吾郎は放課後の用務員室で学習に躓いた子どもたちの面倒をみている。集中力のない瞳の落ち着きのない子が躓きを乗り越えて、その瞳が揺るがなくなっていく。そんな用務員室に瞳に揺るぎのない女の子が来はじめる、そしてその母親も。やがてこの二人で開く塾は今では当たり前の存在となっている学習塾の先駆けとなる。親・子・孫と3代にわたってこれを育て、社会の変質に沿っていく私教育を描いた小説です。

 学校が舞台のおはなしは数多くありますが、学習塾という縁遠かった世界を描いたおはなし、興味深く読むことが出来ました。

フォトウォーク大柳川渓谷

八ヶ岳歩こう会の例会:「フォトウォーク大柳川渓谷」に行ってきました。

会の専属カメラマン・前田さんにお願いしてのフォトウォーク。初心者にも、ベテランにも、銀塩派にも、デジタル派にも、どなたにも役に立つ、ワンポイントアドバイスをして頂きます。想い出に残る秋景を撮りながら楽しく歩きましょう。木々の黄葉、紅葉、遊歩道からの滝など撮影方法を教えて頂きましょう。

とのお誘い文。紅葉の渓谷は魅力、「ちょっとは写真が上手になりたいな」との思いもあり参加してきました。

%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af1歩き始めは集落の中、早速に柿の木・そして古いなまこ壁の蔵・さびた煙突、こんな被写体をすすめられました。

%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af2民家の庭の隅に古い鬼瓦。長年家を守ってきた鬼瓦も家の改築でお払い箱に。でも捨てがたくて庭の隅に、わかるな~。

%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af3いよいよ渓谷の入り口、ここから渓谷に向かって下っていきます。

%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af4「紅葉の撮影はできるだけアップで、逆光を生かして、そして葉が何重にも重ならないように」とのアドバイス。

%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af5「苔は難しいんだよね~!」との声に逆らって一枚。木漏れ日の当たる苔、露出が難しい。

%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af6吊り橋というのは形は決まっているものと思っていたのですが、この渓谷の吊り橋は実に多種多様です。これは最初に遭遇したもの。これ全体がひとつの吊り橋、途中に踊り場(?)まであります。


%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af7吊り橋の連なり。


%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af8紅葉のグラデーションです。


%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af9紅葉ではないけれど、私はこんなのも好きだな。


%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af10渓谷らしいのも一枚。


%e3%83%95%e3%82%a9%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a9%e3%83%bc%e3%82%af11出発点のバス停に戻って解散しました。ローカル色豊かなバス停です。

ここは私は初めて来ました。朝は快晴。急峻な渓谷で滝も次々と現れ、短いコースの中にも変化に富んで、そしてちょうど紅葉の真っ盛り。絶好のタイミングのウォーキングでした。写真のアドバイスもいっぱいで、来てよかった~!

「今日はフォトウォークですから、写真を撮る人にペースを合わせます。」との開会宣言をしっかり守っていただきました。でも健脚派にはちょっと不満だったかもしれませんね。

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「大沼ワルツ」

%e5%a4%a7%e6%b2%bc%e3%83%af%e3%83%ab%e3%83%84大沼ワルツ
谷村志穂
小学館

 北海道函館の近く、大沼というところは素晴らしい自然があるという。そんな所に育った開拓2世の3兄弟の下に山梨県韮崎市祖母石から3姉妹が嫁ぐ。3夫婦が手を携え合って生きてゆく、そんな物語です。

私の勤め先は韮崎市、同僚には祖母石の方もいます。そんなすぐ近くが第2に舞台になるこの小説には大変な親近感を感じてしまいました。私たちが子どもの頃、この地は台風による大災害がありましたが、小説の中にはそんな場面も登場します。3兄弟のところに3姉妹が、そんな実話があるのだそうです。同僚からは「少し調べてみようかな」なんてことばも聞かれました。3姉妹を北海道に嫁がせた家が見つかるかな?

第17回さらりと音楽談義

先日行ってきました、さらりと音楽談義。いつものような円形に配置したテーブル・椅子の中央には、今回は手作りの灯籠が飾られていました。落ち葉を貼り合わせた筒の外側に切り絵を描いてのもの、枯れ葉の模様の上にオリジナルの切り絵、なかなかのものです。

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今回のモチーフは「料理と音楽」。いつものように藤原先生の話題提起で始まりました。

・様々な材料を集めて形創っていくことにおいては料理も音楽も同じ。
・創る人は料理・音楽を深く知っていなければならないが、聴く人・食べる人は深く知っていなくても味わってよいと思えればよい。
・味覚も音楽も感覚のひとつ、味わうということでは共通する。よいものを味わえばうれしくなって活力にもなる。
・音楽も食べ物・空気・水と同じように我々に必要なもので同列なものといえる。

参加者の中には料理家の人、レストランを営んでいる人がおり話を向けられました。

・料理のレシピを考えて作るのがすき。レシピがあっても一緒に作らないと同じものは出来ない(Sさん)。・・・・ 同じ楽譜でも演奏する人によって音楽が違ってくるのと同じ、ということでしょうか。
・料理も「基本+オリジナリティー」、今まで経験してきたものが元になってできていく(Iさん)。
・いい音楽をきいておいしく食べることができる。「五感を使って食べる」ように子どもたちに言っている。

・音楽も五感で感ずるもの。会場の椅子に座り肌を通して伝わってくるもの、視覚からはいってくるものなど、耳から来るものばかりではない。
・聴覚障害のある方も音楽会に来るし、視覚障害のある

方も美術館で鑑賞する。五感の何かひとつが足りなくても、他で補填することができる。
等々、はなしは尽きることなく続きます。

17th%e9%9f%b3%e6%a5%bd%e8%ab%87%e7%be%a93 今回は琴が登場しました、幼いときから琴を学んできた方だそうです。休憩をかねて琴の演奏を聴きました。

宮下すすむ「こもれび」
「ジプシーの歌」

前者は琴らしい曲、そして後者は従来の琴の枠を超えたような斬新な曲ということで、聴いている方もなるほどと感じられました。

後半は琴の流派のことなどが話題になりました。「外から見ては○○流も××流もなくただ琴の曲・琴の音楽。もっと言えば『音楽はひとつ』。」といった話となりました。

最後には終了時間となりなからも先生のヴィオラ・ダ・モーレが聴きたいとの参加者の希望でなかば強引に(笑)聴かせていただきました。「琴をイメージて」と弾いてくれた曲、「なるほど同じ弦楽器なんだな、琴を聴いているようだな」との感覚に浸る時間でした。

17th%e9%9f%b3%e6%a5%bd%e8%ab%87%e7%be%a94今回も私たちの手元にはリンゴ・柿と手作りのサツマイモ・ケーキ、ごちそうさまでした。

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「蓮花の契り」

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蓮花の契り
高田郁
角川春樹事務所

 「出世花」の続編。前作を読んだ読者から、その後をのぞむ声が寄せられて書いたとか。墓寺:青泉寺の湯灌の仕事で「三昧聖」と呼ばれる縁。生母の下へ身を寄せての親子関係の行方、師のようでもあり兄のようでもある副住職:正念の還俗への誘いと縁との関係の行方など目を離せない展開。多くを書いてしまうとこれから読む楽しみが薄れてしまいますのでこれくらいに。前作に続いてこちらも作品に没頭できました。

「悪夢の・・・・」続報

先日読後感を投稿した「”悪夢の超特急”リニア中央新幹線」についての続報です。

以下のページを見つけました。参考まで。

1<悪夢の超特急リニア中央新幹線> 「書店に並ぶ直前に、3000部全部裁断されてしまった」4/13樫田秀樹氏 岩上安身氏インタビュー(文字起こし)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4229.html

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「“悪夢の超特急”リニア中央新幹線」

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“悪夢の超特急”リニア中央新幹線
樫田秀樹
旬報社

 度々利用している軽食喫茶のお店は室内の棚に多くの本が並べられています。そこでこの本を見つけてどんな内容だろうと手に取り少しだけ開いてみたところ、「どうぞお持ち下さい」と貸していただけることになりました。

リニア中央新幹線・・・・あまり感心を持たない私にとってのそれは夢の技術、夢の鉄道、そんな印象でした。でもこれを読んでいるとそんな夢のような気持ちは吹き飛んでしまいます。掲げられているいくつかの懸念は

・工事による周辺の水涸れ
・掘り出される膨大な量の建設残土の処理
・新幹線の3倍以上の消費電力、それは原発による発電が前提では?
・発生する電磁波の影響
・ウラン鉱床地帯にトンネルを開ける可能性
・膨大な建設費に対する採算性

と多岐にわたります。そうした懸念・疑問に丁寧に答え、不安が払拭されてこそ建設に向けてすすんで行けるものだと思うのですが、現実はそうではないようです。

何よりも驚くのは、こうした疑問にJR東海が答えようとしないこと。「開発ありき」で突き進んでいる巨大プロジェクトのようです。巨大プロジェクトには環境影響評価があって環境的に疑問があればそれについて十分な検討がなされ納得させてすすむものだと思っていました。しかしこの評価制度にも前へ前へと突き進む事業を立ち止まらせる力はないのだと知りました。

しっかりとした議論の下で事業がすすんでいくのなら闇雲に反対するものでもないと思うのですが、周囲の疑問の声に耳を傾けることなく突きすすむ事業主体の様(さま)に驚かされるばかりです。

みなさん、いちど読んでみませんか。

白林荘の紅葉

友人からの薦めで長野県富士見町にある白林荘に行ってきました。ここは五・一五事件で暗殺された犬養毅首相の別邸だったところです。
今まさに紅葉の真っ盛り、絶好のタイミングで訪れることができました。

%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%981こちらは白林荘の道を挟んだ雑木林の紅葉、ここも白林荘の一部なのでしょうか。紅葉の下から日の光を仰ぎます。


%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%982入り口の紅葉、見事です。

%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%983古い茶室の向こうに楓の紅葉。

%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%984本宅へのアプローチ、紅葉で様々に彩られた林の木漏れ日の中、なんて贅沢な!

%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%985青空がはいるとまた一段と映えますね。

%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%986落ち葉の下には苔。

%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%987こちらは山梨県北杜市から移転した建物だとか。2階は元は蚕室だったそうです。


%e7%99%bd%e6%9e%97%e8%8d%988紅葉らしいのをもう一枚。

地元の方の話を聞くことが出来ました。中国との対立を好まず、周りの人たちとの間に垣をつくらず、清貧の政治家で、今もこの地の人たちの尊敬を集めている様子をうかがいました。
荘内の樹木の多くは地元の人が持ち寄って植えたとか、その素朴な自然な姿を愛した犬養首相の意志を今の所有者も引き継いでいるのだそうです。

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ラフランス

%e3%83%a9%e3%83%95%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%82%b9今年もいただきました、山形のラフランス。分離唱繋がりの大の親友・先輩のFさんからの嬉しい贈りもの。ちょっと寝かせた方がいいかなと思いつつ、我慢できずにとりあえず一個いただきました。かおり豊かなこの果物、しばらく楽しませていただきます。

お礼の電話を入れたところ、山形では南高OB合唱団の演奏会が昨日終わったとか。今年も録音を聴かせていただけるそうです。
早速ネットを探ってみると見つけました、指導者:SさんのFacebook、写真も載っています。こういう様子を見ると皆さん素晴らしい歳の重ね方だなと思います。私のブログにコメントを下さった方のブログ(?)もありました。以下、ご覧下さい。

https://www.facebook.com/hideo.sato.758?hc_location=friend_browser&fref=pymk

山形南高OBグリークラブ演奏会
https://tabelog.com/rvwr/001036254/diarydtl/145203/

ミニコンサート 2016

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北杜市立小淵沢図書館主催の「ミニコンサート 2016」に行ってきました。「さらりと音楽談義」の藤原先生の娘さんはバイオリニスト、息子さんは大学4年のチェリスト。この二人に娘さんの同級生だったというピアニストを加えた3人のコンサートです。会場は生涯学習センター小淵沢大ホール。

以下プログラム。

 

プッチーニ  「私のお父さん」
モーツァルト 「ヴァイオリンソナタkv.301より 第1楽章」
サンサーンス 「白鳥」
シューマン  「幻想小曲集」
ハロルド・アーレン 「虹の彼方に」
シューマン  「ロマンス」
サラサーテ  「ツィゴイネルワイゼン」
モンティ   「チャルダッシュ」

 

演奏者自らの司会・進行ですすみました。
1曲目は3人の合奏、これはピアノ三重奏というのでしょうか。
このあとまずは弟さんからお話、このコンサートは今年で9回目、中学生の頃から続けてきたのだそうです。私たちは初めてだったのですが、この地の方達にとっては毎年のお楽しみコンサートだったようです。それから昨年までは図書館入り口のオープンスペースで行っていたのが、今回はじめてこのホールに会場を移したとのこと。

その後、ヴァイオリン-ピアノ、チェロ-ピアノ、ヴァイオリン-チェロ-ピアノと次々に編成を変えてプログラムがすすみました。聴き知った曲が奏でられるとほっとする私は、「白鳥」のメロディ・「虹の彼方に」など特に聴き入ってしまいます。「ツィゴイネルワイゼン」はエルマンのCD・LPでよく聴き続けてきた曲です。これはいろいろなテクニックを駆使する曲で、「それも見て楽しんでください」との紹介。録音でしか知らなかった曲が視覚的なものも含めて改めて「あー、こういく曲だったんだ!」と。それから、生で聴くと「迫力あるなー!」とも思いました。

アンコールも演奏してくれました。小田和正の「ことばに出来ない」、それから「浜辺の歌」「赤とんぼ」「ふるさと」と日本の3曲のメドレーで終わりました。

トータルで1時間ほどのミニコンサート、無料で聴かせていただいて満足感いっぱいでした。