水上 勉
朝日新聞社
「ぼく」は東京に住む小学生、おじいちゃんが長野の山で一人暮らしをして竹紙(ちくし)を漉いている。長い休みになると「ぼく」はおじいちゃんの「小さな山の家」に行って一緒に竹紙漉きしたり、犬と一緒に山に入ったり、おじいちゃんの仕事を手伝うタイ人の兄妹と働いたりする。
水上さんの「ブンナよ木からおりてこい」以来の児童文学だそうです。水上さんには「越前竹人形」という作品がありました。その中で著者の竹紙に対してのこだわりを感じましたが、ここでもこどもの目を通して竹紙への強い思いを綴っています。山の家での生活の情景が生々しく浮かんできて、できあがった竹紙がやがては国境を越えてタイの人たちとの交流にまで発展していく夢のあるおはなしでした。