月別アーカイブ: 2016年12月

「しゃべれどもしゃべれども」

しゃべれどもしゃべれども
佐藤多佳子
新潮文庫

 主人公は落語家お今昔亭三つ葉、小三文師匠の内弟子に入って21歳で二つ目昇進、それから5年の26歳です。師匠の弟弟子は時代をつかんだ売れっ子だが、古典落語の名人的な存在のこの師匠に師事して古典落語にこだわっている。でも話すたびに面白くなくなっていくという行き詰まりを感じている。

そんな三つ葉にどもりをもったテニススクールのコーチ、会話が苦手な若い女性、関西から越してきて級友になじめずいじめ(?)を受けている小学生、解説の仕事が思うようにいかない現役を引退したプロ野球選手、と話すことに不安をもっている4人がそれぞれの悩みをなんとか打開しようと三つ葉に落語を習い始める。

主人公の心の動きも面白いし、そのメンバーみんなで小学生を心配している姿にどなんとも温かいものを感じる小説です。4人が覚えるの噺は「饅頭こわい」、これからこの小説を読もうとする人は一度この落語を聴いておいた方がいいかもしれません。

「珈音」おわかれコンサート

行くのを楽しみにしていた食事と喫茶の店「珈音」が閉店することになりました。今日はその最終日、お店でこんなミニコンサートがありました。

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Mieko & Nozomi
クリスマスコンサート

ソプラノとピアノのコンサートです。

スタートはクリスマスの讃美歌:「もろびとこぞりて」・「牧人ひつじを」・「荒野の果てに」・「さやかに星はきらめき」、私にとってはア・カペラ四部合唱で馴染んできた讃美歌をピアノ伴奏によるソプラノ独唱で聴きましたが趣が違うものだなと思いました。

続いてピアノ曲を挟んで「アメイジング・グレイス」など、この曲も讃美歌から来ている曲なのだそうです。
ティータイムがありケーキ・セットが、「このお店のケーキもこれが最後だな」なんていいながらいただきました。その間に珈音さんの素語り「十二の月のおくりもの」。

後半はピアノの方のオリジナル曲で弾き語り数曲。そのあとソプラノの方の以前住んで折られた岩手県久慈市の被災のことなどの話のあとソプラノ+ピアノで祈りの歌を2曲、そして最後にプッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」からアリア。この方、オペラ曲になると一層生き生きとした感じに見えてきます。

プログラムを一通り終えたところで普通は出演者に花束を贈るところですが、出演者:ソプラノとピアノの方より珈音さんご夫妻に花束贈呈、ピアニストの方が珈音さんへの感謝のことばを述べられました。通常は十数席のお店に今日はお客様がぎっしり、40人くらいだったでしょうか。この演奏会は演奏の方・聴衆のそれぞれが心地よい空間であったこのお店・ご主人夫妻のお人柄に感謝を伝えるコンサートであったようです。音楽と同時に多くの人のやさしい心遣いあふれる集いでした。

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版画年賀状完成

%e7%89%88%e7%94%bb恒例となっている我が家の年末風景、今年も近視力の衰えにめげず何とか完成しました、150枚。

版画絵の具は油性、灯油を薄め液として使っています。同じ作業を延々と続けているといろいろなことを考えます。色によって絵の具ののび具合が違うんですよね、筆もそれぞれに使いやすさが違います。今回は久しぶりに2版4色、という割に仕上がりは洗練されているわけではありませんが、手作りということで許してもらおうと思います。

ファンヒーターの前にしばらく並べて、絵の具を乾いたところで書き始めます。投函までにはまだ何日かかかります。

郵便事業の悪化で来年ははがきが10円値上げになるそうですね、これでますますはがき離れがすすみそうです。メールに変わっていくのも理解できますが、やっぱりはがきでもらう年賀状がうれしい。はがき代もばかにならないのですが、来年は更に出費が増えるのか~(ため息)。でもこれからは枚数も年齢相応に徐々に減っていくのかな。

「春、戻る」

%e6%98%a5%e3%80%81%e6%88%bb%e3%82%8b春、戻る
瀬尾まいこ
集英社

 和菓子屋に嫁ぐことが決まっているさくらに突然、年齢は一回り下の「兄」という人物が現れる。無視しようとしても心の中に入ってきてしまうようなこの「兄」がさくらに、そして嫁ぎ先の春日庵に、婚約者にと関わり馴染んでいってしまうという不思議な展開。花嫁修業に通っている料理教室ではダメだと、この「兄」が料理教室まではじめる。

そんな関わりの中でさくらの封印した過去の記憶が溶け始め・・・・。

風変わりな「兄」が結婚を控えた主人公により深い幸せを運んできてくれるような物語、いいおはなしでした。

サトイモ収穫

%e3%82%b5%e3%83%88%e3%82%a4%e3%83%a21サトイモを収穫しました。これは掘り出したままの姿。着いている土をできるだけ払い落として並べた様子。

%e3%82%b5%e3%83%88%e3%82%a4%e3%83%a22子イモをかいて根やヒゲを落として更に土を落とし集めてみました、これは食用に。親芋も種芋に使えると聞いていますので、こちらは凍みないように籾殻の中に保存してみます。

分離唱の合唱 in 国分寺(12月)

月一回の国分寺の合唱、お休みしていたわけではないのですが報告を怠ってしまいました。久しぶりの報告です。
なんと言っても12月、それぞれがクリスマスの讃美歌を唱おうという気持ちで来ていることでしょう。そんな皆さんの気持ちを察してか、まだ集まりの若いときから歌い始めました。

きよしこの夜
いざうたえいざいわえ
あらののはてに
まきびとひつじを

予定したメンバーもそろったところで分離唱、それからいつものように唱いはじめました。

しずけきいのりの
ガリラヤの湖畔
主よこころみ
かいぬしわが主よ
やさしくともをむかえよ
みたまなる
いのちのみことば
こころのおごとに
ひとたびは死にしみも
むくいをのぞまで

すすき
よしきり
光のお宮
われは幼く

ここで休憩、休憩時間に男声合唱と女声合唱

Adoramus te(男声)
親方と弟子( 〃 )
茨垣(女声)

私たちの合唱とは別に定期的に集まって唱っているという女声のハーモニーはさすがです。

後半は、
渓川したいて
はるかに
雲雀
うぐいす
Lo a Voice
アヴェ・ヴェルム・コルプス
グロリア

最後はクリスマスを意識して、やっぱりこの曲。

きよしこの夜
もろびとこぞりて

この日集まったのはS:3,A:3,T:5,B:2の13人。普通はテナーが少なくて苦労すると思うのですが、なぜか私たちはバスが少数民族。しかも体調十分ではなかったので迷惑をかけてしまったかもしれません。それでも練習の後の談笑後唱った十数曲も含め、今回もたっぷり合唱を楽しませていただきました。

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彼岸花群生地の保護

以前書きましたが、私たちが住んでいるすぐ近くに彼岸花が自生しています。水田用水路の土手、林の中など立派な群生です。

彼岸花花盛り
http://susuki.chips.jp/?p=2150

でも葛の蔓などが繁茂して、せっかく咲いているのに見えない彼岸花も多くとても残念に思っていました。そんなことを先日おはなしを聞いた里山再生に取り組んでいるオオムラサキセンターの館長さんにおはなししたところ、その現場を見に来てくれました。

%e5%bd%bc%e5%b2%b8%e8%8a%b1%e3%81%ae%e4%bb%8a1私は花のないこの時期の彼岸花の様子をはじめてみましたが、あおあおとした細い葉が元気よく茂っています。

%e5%bd%bc%e5%b2%b8%e8%8a%b1%e3%81%ae%e4%bb%8a2葛も枯れて葛の葉や蔓に隠れていた彼岸花の様子もよくわかりました。この時期でも水路が隠れて見えないほど、夏の状況を想像していただけるでしょうか。

 

館長さんにもここの群落には感心していただき、なんとか保護活動をしたいということになりました。5月頃と花の茎が出てくる前の8月頃と2回草刈りをしたいなと。近くに農作業をしている方がいましたので話しかけたところ、水路を管轄する地域の区長さん、林の所有者など教えていただくことが出来ました。これらの方に事前に了解をいただいて、来年は活動してみようと言うことになりました。

貴重な群落自生地をよい形で育てていきたいものです。

「おしまいのデート」

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瀬尾まいこ
集英社

 図書館の司書の方と「戸村飯店 青春100連発」の話題となったとき、同じ瀬尾まいこさんの「おしまいのデート」がよかったとうかがって読むことにしました。この図書課にはなく図書館ネットワークで取り寄せていただき、他館への返却の都合で返却日厳守とのこと。「これははやく読まなくては。」と。

内容は短編5編、いずれもデートがテーマのものでしたが単なる若い男女のデートというのではなく、祖父と孫、老教師と教え子、同じクラスの男子高校生二人、捨て犬を介したOLと大学生、保育士と園児とその父親とさまざま。ほんのりとした味わいの小品集であっという間に読み終えてしまいました。私としてはこの表紙に描かれた天丼が登場する作品がいちばんだったかな。

晩秋の信玄堤ウォーク

「500選の道 晩秋の信玄堤ウォーク」に参加してきました。

竜王:満足屋に10時集合、今回は参加者29人、高低差が少なくほどよい距離で参加者が多いのでしょうか。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b1受付後まずは準備運動、そして歩き始めました。10時15分。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b2山県神社には裏口から(笑)、そして社殿から鳥居に向かいます。住宅街の中にある憩いの場所といったところ。紅葉もほぼ終わっていますが、落ち葉の中を歩くなかなかいいところ。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b3釜無川の土手を目指します。このあたりは住宅も多いけれど田畑も広がっています。八幡いもの産地かな。左奥には釜無川沿いの木立が並んで見えます。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b4釜無川沿いの緑地にはいりました。大きな広葉樹の林の中、落ち葉の絨毯が広がります。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b5南天ではないけれど、赤い実の色添えもいいな。

昨夜は雨、落ち葉の上で弁当を広げるのはちょっと。そこで、昼食はこの公園の中の屋根のかかったベンチ(?)で。雨上がりで朝は霧がでていましたが予報では天気が良くなり温かな日になるとか、でもこの日は太陽も顔を出さず逆に昼は冷え込んでくるような寒さ、昼休みをちょっと早めに切り上げて歩き出しました。来た道を北上開始。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b6古い信玄橋の親柱が残されていました。ちょっとレトロな雰囲気です。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b7現在の信玄橋の下、橋脚には壁画が施してありました。先人達の信玄堤建設の情景です。この裏側にも同じ作風の騎馬に乗った武将が。川中島では騎馬武者は謙信、信玄は座っていたはずなんですけどね・・・・。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b8信玄堤から河原を眺めるとこんなものが。リーダーの説明によると現代のテトラポットの役割、洪水の時の流木などを止めるはたらき。コンクリートのない時代は木製で、頭を突き出した形から「聖牛」と名付けられているそうです。

%e7%ab%9c%e7%8e%8b9信玄堤の広い土手。この上をおみゆきさんが練り歩くんでしょうね。


%e7%ab%9c%e7%8e%8b10三社神社を経てバイパス(20号線)をくぐり、しばらく坂をのぼってドラゴンパークで一休み。広々とした公園で眺めもいいところなのですが、この日は残念ながら遠景はまったく見えませんでした。残念!


%e7%ab%9c%e7%8e%8b11坂を下って竜王駅近くの慈照寺へ、山門も立派で名刹のようです。


境内に湧水があり、これを「竜王水」と呼んでいます。この湧水の伝説からこの地が「竜王」と名付けられたとのことです。しかし現在この湧水は屋根付きで囲われてしまいました。水質検査の結果は飲料不適。「湧水=きれいな水」という私たちの描く印象は過去のものでしょうか。


%e7%ab%9c%e7%8e%8b13再び住宅街を歩いてゴール(スタート地点)到着。2時15分くらいだったかな。

温かな日差しの中を歩けるという予報には裏切られましたが、雨の後のしっとりした公園の中をたっぷり歩いて約4時間、満足です。

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「里山再生とオオムラサキ」

八ヶ岳自然ふれあいセンター主催の

八ヶ岳の環境と文化を学ぶ講座
第1回
「里山再生とオオムラサキ」

を聞いてきました、講師は北杜市オオムラサキセンターの館長さん。この方はオオムラサキセンター内にとどまらず、昆虫等が生息するための里山再生に力を尽くしている方です。

はるか昔、パンゲア大陸の話から始まりました。「太古の時代、地球上のひとつの大陸であったパンゲア大陸から現在の各大陸に分かれた、離合を繰り返して現在の7大陸がある。大陸が分かれてそれぞれの環境で生物は進化を遂げた。でも生物種には進化の早いものと遅いものがある、蝶の世界に限っても進化の早いもの遅いものがある。」とのこと。

植物相が豊かであれば動物相も豊かになる。八ヶ岳山麓は湧水が豊かだが、そうすると水生昆虫が豊かになる。

森林性チョウ・草原性チョウは森林・草原の手入れをしなければ個体が減ってしまう。

里山林の管理活動・・・・下刈り、薪炭材の切り出し、落ち葉かき、キノコ狩りなど
草原の草生活動 ・・・・草刈り、火入れ、飼い葉
水田の維持管理

我々日本人は生活の中でこういった活動をし、里山・草原、そして水田などを管理してきたけれど、現代の社会はその管理を放棄してしまって昆虫の成育する環境が極端に減少している。そこで里山再生の活動を、と飾らない口調で熱くはなしてくれました。

自然を取り戻す活動、魅力的です。

%e3%83%81%e3%83%a7%e3%82%a6%e3%81%ae%e6%a8%99%e6%9c%ac標本を見せてくれました。左上の二つがオオムラサキ、左が雄で右が雌です。
右上の大きなチョウはナガサキアゲハ、南国のチョウが見られるのは温暖化の証拠とか。