カテゴリー別アーカイブ: 文化財

かこさとしふるさと絵本館

北陸を旅行してきました。その目的地の一つが

「かこさとしふるさと絵本館 砳(らく)」

絵本作家のかこさとしさんの故郷越前市に あります。

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その記念館、外観はこんな感じ。石造りの建物は関東で言えば大谷石の蔵のよう、ちょっとお洒落感に欠けるかな。子供むけ絵本作家の記念館ならもうちょっと可愛くてもいいのに、なんて思ってしまいます。でも入口右側の掲示板のようなもの、近くへ行ってみると。

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横にスライドすると次々と次の絵が現れる・・・・紙芝居でした。いいな、こういうの。

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そして玄関脇には代表作のキャラクター:だるまちゃんの木像。木目がはいってちょっと怖いような。

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玄関をはいると正面にダルマちゃんと天狗ちゃん、雷ちゃんが向かえてくれます。

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そしてその後方の壁はこんな。

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これはその右手の壁。

この玄関ホールの左側の部屋はイベント用スペース?子どもたちが入っておはなし会のようなことをやっていました。

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そして右側の部屋は図書室、かこさとしさんの絵本がたくさん並んでいます。壁にはやはりダルマちゃんと天狗ちゃん、かわいい。

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職員の席の近くの棚の上にはカラスの組み木?こんなのは私にも作れるかなと思い写真に撮ってきました。

二階は展示室で絵本の原画がたくさん展示されています、残念ながらここは撮影禁止。でも印刷されたものとはひと味違いますね、原画はやっぱりいい!

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庭には遊具が設置されているのですが、各所にかこ作品のキャラクターが。こんなミニ遊園地もいいな。

私たちが入館している間にも何組もの親子が来館し図書室を見たりイベントのおはなし会を聴いたりしていました。記念館というと展示だけという静的なイメージなのですが、この記念館は日々こどもたちが来て時を過ごしおはなしを聴くという“生きた”施設、職員の方の努力のたまものかも知れません。

いい見学をさせていただきました。

 

紅葉の海岸寺

紅葉が丁度いい頃だろうと、昨日海岸寺へ行ってきました。

海岸寺1薄暗い杉林の参道の先にある山門、ひっそりたたずんでいる感じです。

 

海岸寺2この寺はおびただしい数の石仏が並んでいます。「百体観音」と呼ばれているようですが、百体はあるのかどうか?

 

海岸寺3今丁度紅葉の真っ盛り。直射日光があると明るさのコントラストが強すぎて石仏の様子がちょっと見にくい。

 

海岸寺4斜めに日が差している一体をアップしてみました。

 

海岸寺5アジサイが季節外れに数輪さいていましたので、それと一緒に。

観光としては開放していないひっそりとした境内、落ち着きます。

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笹原の鏝絵巡り

ゴールデンウィークに鏝絵巡りに行ってきました。ここは長野県茅野市の笹原地区、一つの集落の中にたくさんの鏝絵があるところ。2時間くらいですべての鏝絵を楽しめます。ネットで探すと、

「茅野市笹原 くら、こて絵と庭園めぐり」
http://www.pamph-navi.jp/art/view_dynamic/pdfView1.php?src=pam10010037

というパンフレットがあります。この中には板倉・土蔵・そして鏝絵の施された土蔵、社や石仏などの存在がわかりやすくまとめられた地図が載っています。鏝絵の場所には番号がふられた18カ所、それから番号のない鏝絵2カ所がありました。この地図を基に、鏝絵の番号の順に歩いてみました。

 

01笹原部落手前1-1地図をたよりにマイカーを走らせていると、笹原集落に入る前に早速道路沿いに鏝絵を発見しました。


02笹原部落手前1-2立派な大黒様、幸先良いスタートです。

 

03笹原公民館目的地の笹原公民館

 

04公民館の柳の大木この駐車場には柳の大木があります。ここに駐車させていただいて、ウォーキングスタート。


05鏝絵0-1まずは番外の鏝絵、道路の裏側だったのでさがすのにちょっと苦労しました。


06鏝絵0-2やわらかな色合いの立派な大黒様。鏝絵のすぐ前に木製の棒が立てられていて、こんな角度がベストショット。蔵の傷みを支えているのでしょうか。

 

07鏝絵1-1No.1の水際の兎と月。これも見つけるのに苦労しました。

 


08鏝絵1-2蔵印のところではなく、蔵の入り口側の上にある梁の上に装飾を施したもの。こういう場所での鏝絵、はじめて見ました。


09鏝絵1-3これは反対側から


10鏝絵1-4今度は水際の亀と鶴です。


11鏝絵2No.2 これは何かわからなかったな。

12鏝絵3-1No.3 蔵印の鏝絵に加えて壁にも鏝絵

13鏝絵3-2こちらは壁の鏝絵、広い壁面に「松にとまる鷹」でしょうか。


14鏝絵3-3そして淡い色合いの大黒様、俵の上に乗っています。


15幟この時期ですから武者幟が上がっていました。私達が普段目にするのは信玄や謙信などを描いたまさに武者幟。でもこちらは龍の絵柄、ところ違えばこういったものも変わってくるのでしょうか。


16鏝絵4No.4 壁面に描かれた猫、モダンです。

17鏝絵5-1No.5 ちょっとくすんだ感じで遠くからは何の絵柄なのか?

18鏝絵5-2龍でした。ちょっと不気味な感じ。

20鏝絵6-2No.6 壁を黄土色に塗ってあるところを見ると、これは戦前の作品でしょうか。

19鏝絵6-1頭をもたげた亀が立体的です、上方は何を著しているのでしょう? 雲、煙、それとも梵字でしょうか。

21鏝絵7No.7 こちらはカラフルな大黒様

22鏝絵8-1No.8 鯉、それとも鯛?

23鏝絵8-2ちょっと愛嬌もあります。


24鏝絵9N.9 滝に打たれる亀。亀が3匹いるのがわかりますか?

25鏝絵10-1No.10 梁に描かれた波模様(?)の中に亀が何匹も。

26鏝絵10-2木口の側は波に千鳥。

27鏝絵10-3こちらにも亀がいっぱい。


28鏝絵11-1No.11 こちらは、

29鏝絵11-2ブルーの鮮やかな大黒様。


30鏝絵12No.12 こちらも大黒様、色合いも違いますが足の向きなども微妙に違います。同じ職人さんの仕事だと思いますが、少しずつアレンジして行くのでしょうね。

31鏝絵14-1No.14

32鏝絵14-2やはり大黒様。


33鏝絵10-4あきらめていたNo.10の蔵の蔵印の鏝絵が遠くから見ることが出来ました。

34鏝絵10-5波に鶴です。


35鏝絵13-1No.13 左官さんの仕事ではありませんが、屋根棟下の木製の装飾もなかなか。

36鏝絵13-2鯛を釣り上げる恵比寿様。波立つ海、赤い鯛、腰の魚籠、あまり見かけない図案です。

37鏝絵13-3

窓枠もおしゃれですが、枠に這っている一匹の亀がまた楽しい、職人さんの遊び心です。

38鏝絵13-4蔵の入り口上の梁の部分は虹梁というのだそうですが、その木口部分には虎があしらわれていました。


39遠景集落の端まできました。田園が広がり、はるか向こうには霧ヶ峰方面の山が眺望できます。


40鏝絵15-1No.15

41鏝絵15-2これはまた色鮮やか。

 

42鏝絵16-1No.16 ここには蔵印の鏝絵はないけれど、虹梁が見事です。木口側は亀に鶴。

 

43鏝絵16-2花も見事!

 


44鏝絵16-3 虹梁の下に亀さんが一匹。こういう遊び心、たまりません。

45鏝絵16-4これは反対側の木口。

ここのご主人さんにはおはなしを伺うことが出来ました。この集落は鏝絵だけでなく、多くの家に水が引かれ池をもった庭が作られています。これらの多くはバブルの時期に作られたのだそうです、新しい鏝絵のようです。


46火の番地蔵これは火の番地蔵といわれるもの、集落の中に何カ所か見られます。


47鏝絵17-1No.17

48鏝絵17-2これも大黒様。


49鏝絵18ー1最後No.18は彩色のない兎と波の鏝絵、これは古そうです。

50鏝絵18-2その上方、屋根棟のすぐ下のここはハナブカと言われるところ。ここにも鶴の小さい鏝絵がありました。

51こいのぼり鯉のぼりの姿も

52鏝絵番外これは番外、色あせて鮮明さは失われていますが、古いもののようです。

鏝絵はこれで終わり。短時間で多くの鏝絵を見ることが出来ました。漆喰壁の蔵は板倉の上に漆喰を施したものだそうです。板倉も数多く見られました。壁板はかんながけなどせずささくれ立っていましたが黒塗りされてこれはこれで素朴で風情のある蔵です。この写真も撮ってくればよかったな。


53御射鹿池鏝絵巡りを終えた後は県道を上流方向にしばらく車を走らせ、御射鹿池まで行ってきました。綺麗な池ですが、色合いよく撮れなかったようです。簡素で魅力的な池でした。

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小淵沢鏝絵巡り

先日、八ヶ岳歩こう会のイベント「我が町シリーズ小淵沢・鏝絵の里」がありました。私も参加したかったのですが都合がつかず残念。そこで会のホームページからコースマップをプリントしてこれを頼りに一人で鏝絵巡りをしてきました。

 

Imgp9598私は小淵沢図書館駐車場をスタート、ここから徒歩でまずは駅に向かいます。


Imgp9600さっそくありました、立派な蔵。これは当家の姓でしょうか、絵ではありませんがこんなのも珍しい。

 

 

Imgp9601新装となった小淵沢駅です。駅前ロータリーもゆったり。

Imgp9602ロータリーの隅にこんな像、さすが馬の町・馬術の町・ホースショーの町の表玄関です。

Imgp9605駅をちょっと下ると「本町の鏝絵」が始まります。シンプルですが珍しい家紋。

 

Imgp9607家紋なのか絵なのか、珍しいデザインです。ちょっと筍のような、いやむしろ茗荷かな・・・・。

 

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鯛を釣り上げる恵比寿様、商売繁盛の神で商家で信仰したそうです。釣り糸が絵から飛び出してきています。後で写真を見て、レンズの汚れかと一瞬ギクリでした。

 

Imgp9611ここからは尾根という集落の鏝絵。
左下に亀(頭が上、下に尾)、上には葛籠のようなもの。浦島太郎のお話からも引用しているのでしょうか。

中央線の下をくぐって、

Imgp9619波の上に鳥、敷地外からの撮影で映像が小さいのが残念です。

 

Imgp9621蔵の全景写真も

 

Imgp9623宝(金)が貯まるようにという願いでしょうね。

 

Imgp9624鏝絵はないけれど、立派な蔵です。

 

Imgp9626何と読むのでしょう?
この家の姓が描かれているのでしょうか。「浅川」かな?

 

Imgp9629盃を前に亀が頭をもたげています。でもちょっとグロテスク。

 

Imgp9630お城の天守閣を思わせるような建物です。

 

 

Imgp9633波に鳥

 

Imgp9638線路を跨ぐ陸橋を南下、高野の集落を目指します。

 

Imgp9640林の中を歩くのは気持ちいい!

 

Imgp9642高野集落に着きました。
家紋しかない蔵印の蔵も隅には珍しい絵柄が

 

Imgp9643この集落にある曹洞宗高福寺というお寺、庭園がきれいに整備されています。

 

Imgp9645この寺にある「幸福の鐘」、3列に108個の鐘が並んでいます、珍しい。

 

Imgp9654波にうさぎ

 

Imgp9657ひときわ大きな「龍」の字、大きな蔵でした。

 

Imgp96592つの家の蔵が並んでいる様子、印象的です。

 

Imgp9663波に鳥、首が長くて足も長いこれは鶴かな。

 

Imgp9668ここからは上笹尾集落の鏝絵。何かに抱きついているようにも見えますが、腰には鉈を差して多分これは働き者の姿。

 

Imgp9670色落ちして鮮やかさは失われていますが立派な大黒様。

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この集落は線路の南側に位置しています。小さなトンネルを潜った先に大滝湧水・大滝神社があることから、この集落は「滝の前」とも呼ばれているようです。

 

Imgp9673そしてこれが大滝神社、神社の左手に湧水が蕩々と流れ落ちています。

 

Imgp9679この日最後に目にした鏝絵。薪の束に腰掛け本を読んでいる、勤労の間の寸暇を惜しんで本を開いていた二宮金次郎が題材なのでしょう。

 

Imgp9682最後に路傍の花を二枚、

 

Imgp9683始めて見る花、蕾の固まりの外側から咲き始めるようです。

 

的確な地図のお陰で道に迷うこともなく、ほとんどの鏝絵を見て歩くことが出来ました。ただ、残念ながら2枚ほど見落としがあったようです。また機会をみて拾ってこようと思います。

 

江戸東京たてもの園

江戸東京たてもの園13月20日国分寺の合唱がありましたがその午前中、小金井公園の中の江戸東京たてもの園に行ってみました。多くの歴史的な建物が集められていて、駆け足でまわりました。でも一カ所くらいは建物内に入ってみようと足を踏み入れたのは戦後に建てられた三井財閥の邸宅です。現在放映中の朝ドラの主人公生家が東京に移ったのが三井家ですよね。大富豪の邸宅の中とはこんなにすごいのかと、上野公園近くの岩崎邸を思い出しました。三井邸の方は広大な敷地の中に建造物も多く岩崎邸をもしのぐものだったのでしょうが、残念ながら戦災で焼けてしまい、戦後に建てられて一部をここに移転して見学できるようにしてくれたようですが、それでも内装には圧倒されてしまいます。

江戸東京たてもの園2
江戸東京たてもの園3

三井邸の庭にはサンシュユの花、そしてしだれ桜が開花を初めていました。

 

江戸東京たてもの園4ボランティアの方がたくさんいて、中には草花に詳しい人も。咲き始めた花に案内してくれました。ダイコンの花も見事に紫の絨毯となっています。

 

江戸東京たてもの園5それから商店を並べた町並み、ここが一番の売りでしょうね。タイムスリップしたかのような気持ちになってしまいます。わずか1時間ではもったいない、また機会を見てゆっくりと歩いてみたいと思います。

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旧岩崎邸庭園

旧岩崎邸庭園アプローチ

上京ついでに散策をと、足を伸ばしたのがこちら:旧岩崎邸庭園です。上野公園不忍池のすぐ近くの傾斜地で、門から坂道をのぼるアプローチののちに庭園、建物にたどり着きます。アプローチの左側石垣の上にはふきの群生、それからよく見る紫の花の群生、右側にはヤマブキがちょうど見頃に咲いていました。

 

旧岩崎邸庭園洋館

こちらは洋館、ゲストをもてなすための建物だったとか。内部は残念ながら撮影禁止で映像は載せられません。中は、壁・暖炉・階段・手すり・天井・広く庭を見渡せるオープンテラス等々すべてがとにかくすごい!こういうのを「贅を尽くした」というんでしょうね。


旧岩崎邸庭園和館
そしてこちらは和館、こちらが居住エリアだったそうです。床の間の何と広いこと、欄間などの装飾も菱にこだわっていたり、こちらも並ではありません。

旧財閥が財をつぎ込んで造ると、立派な公共の建物をはるかに凌ぐものになってしまうんですね。江戸時代、大名の上を行く豪商の「大名貸し」という言葉が浮かんできます。