「巨流再生」

再生巨流「巨流再生」
楡 周平
新潮社

運輸大手のスバル運輸に勤める吉野公啓は営業で次々と新しい提案をし、実績をあげてきた一方で同僚や上司からはけむたがれる存在。直属の上司である営業本部長:三瀬隆司から告げられたのは東京本社第一営業部次長から新規事業開発部部長への辞令。これは新設部署で年間四億の新規取引先開発を課せられ、それが達成できなければ閑職に追われるか自主退職を迫られるかというもの。しかも新部署は事務職員と実績の上がらない若手営業マンとの3人だけ。追い詰められた吉野が創出するのは物流の勢力図を塗り替えてしまうほどのシステムだが、実現には思わぬ壁が・・・・。

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「いのちの十字路」

いのちの十字路

「いのちの十字路」
南杏子
幻冬舎

「いのちの停車場」続編です。
舞台は金沢で訪問診療を行なっている「まほろば診療所」、病院での治療から在宅での治療に変わった患者への訪問診療を行なっている。前作ではアルバイト兼運転手だったが国家試験に合格し今度は医師としてはたらき始めた野呂が主人公。自身がヤングケアラーであったことから、認知症患者や不治の病となったが帰国を望まない漁業の技能実習生、脳梗塞の後遺症をもつ若い母親を介護する女子中学生等々患者やその家族に寄り添って治療に当たる姿が清々しく描かれています。こんなお医者さんに巡り会えたらしあわせ!

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「今月の一曲」更新しました(3/6)

「今月の一曲」を更新しました。

今回は「ペィチカ」、佐々木先生指導による梨大合唱団の1年目の夏合宿、常在寺での練習の中での一曲です。次々と新しい曲を譜読みしては唱っていったこの頃、この演奏も譜読みが終わってすぐでまだ数回しか唱っていなかった演奏と思われます。この年の演奏会には採用されなかった曲ですので、この年はこの合宿の時だけ唱ったんじゃないかな。
このときは練習に使っていたピアノのある建物ではなく、庫裏の1階の畳の部屋で唱ったと記憶しています。

下記をクリックし、「今月の一曲」ページでお聴き下さい。

今月の一曲
http://susuki.chips.jp/?page_id=5915

「プラチナタウン」

プラチナタウン「プラチナタウン」
楡周平
祥伝社

 大手総合商社四井商事食糧事業本部穀物取引部部長山崎鉄郎、多くの同期採用者が脱落する中で忙しくも充実した仕事ぶりで社内のエリートコースを歩んでいる。そんな山崎に中学時代の同級生クマケン(熊沢建二)が持ちかけた話は、人口減少の上膨大な借金を抱え市町村合併も蚊帳の外に置かれている町の再生のため故郷緑原町に戻って町長になってくれと言う事。体よく断るはずのこの話だったが、社内で取締本部長八代の縁故採用にかかわるとばっちりで窮地に陥り、やむなく転身を決意。ここから山崎の町を窮地から救い再生に向けての挑戦が始まる。高齢化社会を見据えた夢のあるお話しで面白い。

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2月の読書メーター

2月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:2091
ナイス数:12

赤毛のアン 赤毛のアン・シリーズ 1 (新潮文庫)赤毛のアン 赤毛のアン・シリーズ 1 (新潮文庫)
読了日:02月27日 著者:ルーシー・モード・モンゴメリ
雨を活かす―ためることから始める (岩波アクティブ新書)雨を活かす―ためることから始める (岩波アクティブ新書)
読了日:02月18日 著者:辰濃 和男,村瀬 誠
再生巨流再生巨流
読了日:02月12日 著者:楡 周平
成瀬は信じた道をいく成瀬は信じた道をいく
読了日:02月10日 著者:宮島 未奈
プラチナタウンプラチナタウン
読了日:02月06日 著者:楡 周平
義民が駆ける 新装改版義民が駆ける 新装改版感想
幕府による出羽国荘内(庄内)藩主酒井忠器に対して越後長岡藩への領地替えの命が下る。これは武蔵国川越藩と三者による領地替え、川越藩が大奥に取り入って荘内藩の豊かな領地を手に入れ荘内藩酒井家にとっては実質三分の一の禄高に落とされるという理不尽なもの。荘内藩ではこれを避けるべく手を尽くすが、領民もまた領主が変わらぬように動き出す。百姓達は「百姓たりといえども二君に仕えず」を旗印にしたという、そんなきれい事ばかりではないだろうが、それでも歴史に刻まれているこの事件に驚きを感じました。
読了日:02月03日 著者:藤沢 周平

読書メーター

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「義民が駆ける」

義民が駆ける「義民が駆ける」
藤沢周平
中央公論新社

 江戸時代天保年間に起こった天保義民事件を題材とした小説。

幕府による出羽国荘内(庄内)藩主酒井忠器に対して越後長岡藩への領地替えの命が下る。これは武蔵川越藩と三者による領地替え、川越藩が大奥に取り入って荘内藩の豊かな領地を手に入れ荘内藩酒井家にとっては実質三分の一の禄高に落とされるという理不尽なもの。荘内藩ではこれを避けるべく手を尽くすが、領民もまた領主が変わらぬように動き出す。百姓達は「百姓たりといえども二君に仕えず」を旗印にしたという、そんなきれい事ばかりではないだろうが、それでもこの時代の歴史に刻まれているこの事件に驚きを感じました。

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著者は江戸時代庄内藩であった鶴岡市の出身、この事件を作品として取り上げて見たいとの強い思いがあったのかも知れません。

「青狼記」

青狼記「青狼記」
楡周平
講談社

 大陸(多分中国)で奉金・華漢・宋北・湖朝・楽天の五国が乱立していた。その最も弱小国:楽天は特産の溶光石の各国への供給を戦略的に巧みに供給する事で生き延び、一番の大国:奉金との間で盟約を結び国の存続を図る。その盟約に楽天は忠英、奉金は春申という双方の士族の鑑・国の宝と言われるほど臣・民から信頼と尊敬を集める高官を人質として差し出す。父の後を継いだ忠英の子:趙浚も父同様に国・帝への忠誠を貫き功績をあげていくが、そんな趙浚に対する処遇は大変冷たいもの。
権力者の欲望・身勝手さ・疑い深さの中で義を貫く趙浚の物語。この物語の中で火薬が誕生し戦の仕方に大変革が起こるところ、更にはこの火薬が国主に野望の火を灯してしまうのも面白い。

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「和僑」

和僑「和僑」
楡 周平
祥伝社

過疎高齢化に悩んでいた緑原町は豊かな老後をコンセプトにした老人向け定住施設「プラチナタウン」を誘致して町の活性化に成功した。プラチナタウンは入居者八千人、プラチナタウンが生んだ雇用が六百人。そのお陰で寂れていた商店街も活気を取り戻し、緑原出身者のUターンも増えている。大手総合商社「四井商事」から転身してプラチナタウンを誘致した町長:山崎鉄郎はその功労者、プラチナタウンを拡張して更に活性化を目論もうと圧力が掛かるが、ここだけに頼る危うさに加え将来の高齢者人口減少も見据える山崎には新たな振興策が必要と考えている。意欲的に肉屋と食肉の卸を営む正(しよう)ちゃん(辰野正一)、農協を飛び出し新しい野菜の流通形態を確立した西山圭介、役場産業振興課の若手トコちゃん(工藤登美子)等とともに農畜産物でのアメリカ進出で新しい町の将来を模索するこのお話し、面白かった。

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