先月は大雪の直後で断念、2か月ぶりの参加でした。今回のモチーフは~楽器の歴史~。
会場である部屋に入ったところにテーブルが置かれ、その上にお花がいけてありました。お花と藤原先生のヴィオラ・ダ・モーレによる「アヴェ・ヴェルム・コルプス」に迎えられました。贅沢!
集まったのは先生・スタッフを含めて16名、2か月ぶりに参加すると「ずいぶん大きい集まりになってきたな」と感じました。
先生の話が始まりました。楽器には動物の臓器が使われたこと、胃や小腸(ガット)など。動物の胃が楽器の胴の部分に使われたことなどがポスター様の印刷物で紹介されました。ガットといえばテニスラケットに張る糸を思い浮かべますが、弦楽器の弦にもガットが使われてきており、柔らかい音色だが伸びやすく長持ちしない、しかし現在もこだわりのある演奏者はガットを使うそうです。一見金属弦のように見えるものもガットの上に細い金属線をきっちりと巻いてあるとのこと。植物では葦が話題になりました。あし笛もありますが、オーボエやファゴットのリードは葦で作られてきているのだそうです。
ヴィオラ・ダ・モーレの「ダ・モーレ」という言葉は「愛」をあらわすこと、レストランなどの店名にもよく使われ、この名前の競馬馬もあったがあまり強くはなかったなんて話には笑いを誘われました。ヴィオラ・ダ・ガンバの「ガンバ」は足を表わす言葉、だからサッカーチーム名にも使われたりしているが、楽器に使われるのはその楽器が足の上に乗せて奏するような楽器であるときだとか。
インドにシタールという共鳴弦のついた楽器があり、それがヨーロッパに伝わって共鳴弦がついたヴィオラ・ダ・モーレが生まれた。またシタールが東洋に伝わり琵琶がうまれた。両者はよく似た楽器で調弦や奏法によってはヴィオラ・ダ・モーレで琵琶を奏しているかのような演奏ができることを、実際に演奏してみせてくれました。
今回は参加者が取り囲んだ中央にはヴィオラ族の楽器が3台並べて置かれていました。手前の一番大きなのはテナー、中央はバッハの生きた時代に作られたもの、そして一番小さなのは日本で作られたもので、楽器頭部の装飾は観音様をかたどってあるものでした。
これはバッハの時代のもの、ネック部の模様は木の木目を活かしてあるようです。音を出すという目的以外に視覚的な美しさへのこだわりもたくさん見えます。
休憩時間にはそんな楽器を自由に触れさせてくれ、そのあいだにさりげなくヴィオラ・ダ・モーレを演奏してくれます。一曲目は「アルペジオーネ・ソナタ」(というらしい)、二曲目は即興で先ほど書きました琵琶風・琴風に調弦して演奏を聞かせてくれました。演奏の間に照明を落として(どうやら先生がスタッフに合図を送ったようです)その場は東洋風な雰囲気に。
ここでの話題は「楽器」といっても弦楽器が中心になりますね。ハープが元になってヴァイオリン等、多くの弦楽器が派生していったのだそうです。
話は変わって先生が関わって年一回開催されている笛吹音楽祭のこと、ここには聴覚障碍者の方を招待しているのだそうです。たとえ聴こえなくても音楽、そしてその場の空気は伝わるのだということ。聴覚障害をもった有名な打楽器奏者もいるのだそうです。イギリスという国はかつて世界中への植民地拡大策で悪いこと(?)もしたかもしれないが、障害者のことについては先進的な国で、パラリンピックはイギリスで始まったし、現在この国ではどんな障害があっても大学が受けられるのだそうです。
以上、思い出せる範囲での話題の紹介です。最後に参加者全員に自己紹介でも感想でもとはなしを向けられました。決して一方通行にならず、集まった人全員で和やかにこの会を育てていこうという先生やスタッフの配慮が嬉しいですね。。
スタッフから「最後のしめはやっぱり先生の音で」、と向けられ、「荒城の月」のメロディーがちりばめられた即興演奏で今回の会を終えました。