しばらく前のNHKクローズアップ現代では食品の消費期限やその偽装問題を扱っていました。
私たちの地域では切り干し芋のことを「きっぽし」と呼びます。番組の中で紹介されたのですが、このきっぽしの返品が非常に多いのだそうです。返品されたものを新しいものと混ぜて再包装し出荷していたということからの切り込みでした。小売店から製造会社への返品があるわけですが、小売店(スーパーなど)からの要望は「消費期限をもっと短く」というものだそうです。メーカーではいろいろな条件を勘案して9ヶ月は安全、それを短めにして消費期限は6ヶ月と表示して出荷しているのだそうです。小売りからの要望はこの消費期限の「6ヶ月を3ヶ月にしろ」というものだそうです。そしてその理由は「きっぽしは日が経つと白くなってしまう、それを消費者が嫌うので」。
我が家ではそれを聞いて思わず「エーッ!」といってしまいました。きっぽしというのは時間がたつと表面に白く粉がのってきます。私たちの地域ではこれを「こうがふく」といっていますが、こうがふいたきっぽしこそ「きっぽしらしいきっぽし」「おいしそうなきっぽし」だと思うのです。我が家では毎年母がきっぽしを作って私たちにもわけてくれます(写真)。白くこうがふいたきっぽしを長年食べ続けているのですが、今年もらい物のきっぽしがありました。それは全くこうのふいていないきっぽし、本場からお年寄りが取り寄せたものを我が家にもわけていただいたのですが、それを見て「全然こうがふいていないね。」と言っていました。輸入物に見られるように極端に真っ白になっているものも気持ち悪いのですが、まったくこうがふいていないきっぽしも異様に感じます。やはり程々にこうがのっていてほしいものです。この番組で初めて、こうのふいていないきっぽしが出回っていない理由がわかったのです。
食品偽装は嫌なニュースですが、この件のように本来あるべき姿のはずのこうがふいたきっぽしが返品されてくる。このことなどはメーカーにも同情を覚えてしまします。難しい問題ですね。
この件からは、私たちの祖先から長い年月培ってきた食文化が十分に伝わっていないことを思うのです。