小淵沢の鏝絵

山梨県内の鏝絵、ネットで検索するとヒットするもののほとんどは津金。でも小淵沢の鏝絵も数点紹介されており、小淵沢在住の方からも「『滝の前』というところにあるよ」とうかがっていました。そしてその方が「小淵沢にはまだまだあったよ」と鏝絵巡りウォークを企画してくれました。今現在私たちが把握している鏝絵は23件。長野県の八ヶ岳西麓一帯はここ北杜市以上に鏝絵文化の花開いたところ、長野県と接している小淵沢は長野方面からの鏝絵文化が流れ込んだところのようです。
(写真をクリックして拡大写真をご覧下さい)

岩窪1-1
岩窪1-2

 岩窪1
中央線で小淵沢駅から長野方面にしばらく進むと進行方向右側にこの鏝絵が見えます。縁起物の鶴が幾何学的に描かれています。

久保1-1
久保1-2

久保1
「波に千鳥」、二階造りの立派な蔵の南面にこの鏝絵はあります。「波に千鳥」。

久保2-1
久保2-2

久保2
お洒落な「龍」の絵文字、ハチマキの若葉も綺麗です。

久保3-1
久保3-2

久保3
ここにも「波に千鳥」。久保1と作風は似ているように思います。同じ作者かな。

本町1-2

 本町1
このデザインはミョウガかな。

本町2-1
本町2-2

本町2
これは養老の滝の物語の親孝行で働き者の若者、腰に鉈を差し瓢箪をもって水を汲んでいる姿。残念ながら工事中で手前に工事用パイプが写ってしまいました。

尾根1-1
尾根1-2

 尾根1
縁起物の亀にちなんだ浦島太郎の玉手箱。こういうアレンジ(?)も珍しい。

尾根2-1
尾根2-2

 尾根2
白い漆喰だけで描いた恵比寿様。釣り竿・釣り糸は壁面を飛び出しています。

尾根3-1
尾根3-2

 尾根3
「波に鶴」がていねいに描かれています。背景が薄く着色されているのもお洒落です。

尾根4-1
尾根4-2
尾根4-3

 尾根4
絵ではないけれど、「寶」の字は珍しいですね。円形の装飾もていねいに描かれて美しい作品です。蔵の正面、入口の上にはやや不鮮明ではありますが波しぶきが描かれています。

尾根5-1
尾根5-2

尾根5
こちらも絵ではないけれど、珍しい形で描かれた文字です。篆字かな、この家は「浅川」さんでしょうか?

尾根6-1
尾根6-2

 尾根6
迫力ある亀、ちょっと怖いですね。

尾根7-1
尾根7-2

 尾根7
「波に鶴」でしょうか、首が長いので鶴だと思うのですが。尾根3の作品と波の描き方が似ています、同じ作者ではないでしょうか。

高野1-1
高野1-2

 高野1
この蔵、丑鼻は家紋ですがハチマキには筆で書いたように繊細な線で若葉が描かれています。

高野2-1
高野2-1

高野2
「波に兎」。題材は因幡の白兎と思われます。兎は子だくさんで子孫繁栄を、又兎の赤い目は災いを防ぐと言われています。周りのフリル模様も斬新です

高野3-1
高野3-2

高野3
こちらは「波に鶴」。尾根にも似た鏝絵がありました、同じ作者なんでしょうね。

高野の蔵

高野の蔵
鏝絵はありませんが 独特な雰囲気を持つ蔵が2棟ならんでいました。

滝の前1-1
滝の前1-2

滝の前1
小淵沢を代表する鏝絵処の滝の前、大滝神社の前にある集落ということでこの地名なんでしょうね。ここには4件の鏝絵があるらしいのですが、私が知っているのは3件。
これも「養老の滝」の話しを題材にした作品。養老の滝はいわゆる孝行者で、病気の父親のために苦労して山奥の万病に効く滝の水を飲ませた親孝行の若者の話です。働き者で親孝行の息子が家の繁栄をもたらすと言うことで蔵に描かれたのでしょうね。

滝の前2-1
滝の前2-2

 滝の前2
微笑ましい「大黒様」。

滝の前3-1
滝の前3-2

 滝の前3
こちらは「二宮金次郎」、鏝絵としては初めて見る題材です。勤勉が家の繁栄につながるということでしょうね。妻壁にも鏝絵があるらしいのですが、残念ながら生け垣の陰で見ることができません。いつかお願いして写真を撮らせてもらおうかな。

滝の前4-1
滝の前4-2

滝の前4
「松竹梅に鶴」。鶴が画面から首をもたげています。松と鶴の組み合わせは多いのですが、竹と梅まで入れたものは始めて見ました。陰影も入れた彩色にも高貴な雰囲気。

神田1-1
神田1-2

 神田1
桜の名所「神田の大糸桜」で知られている神田集落です。ここは松の鏝絵。

神田2-1
神田2-2
神田2-3

 神田2
こちらの蔵には両面に鏝絵が施されています。表側は幾何学かされた鶴。裏側は松、隣の建物との狭い空間にある鏝絵で鮮明には撮れませんでしたが、松の枝振り・着色に神田1以上にこだわりが感じられます。

松向原村1-1
松向原村1-2

 松向原村1
七里が岩ライン沿いの蔵で道路から見ることができます。このデザインも珍しい。

下笹尾尾田輪1-1
下笹尾尾田輪1-2

尾田輪1
滝の前3と同様に二宮金次郎を描いた作品。薪の束に腰掛け何やら読んでいる姿は共通ですが、薪の束はこちらの方がリアル、そして後ろに立っている木はこちらは松ではないようです。同じ職人さんの仕事だと思うのですが少しずつのアレンジがまた面白いですね。

下笹尾大下1-1
下笹尾大下1-2

大下1
布袋様を描いた作品もめずらしい。表情が実によく描かれています。

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