日別アーカイブ: 2019年3月4日

「はじめての日本現代史」

はじめての日本現代史はじめての日本現代史
- 学校では“時間切れ”の通史 -
伊勢弘志・飛矢崎雅也
芙蓉書房出版

鎖国していた江戸時代から奇跡的な近代化を遂げ欧米の強国の植民地化から免れた日本があの愚かな戦争に向かって突きすすみました。その近代史こそ最も学ぶべき歴史だと私も思うのですが、筆者が表題に掲げているように「学校では“時間切れ”の通史」として省略されたり駆け足で通り過ぎているのが歴史教育の実情です。だからこそ大人になって改めてこの時代の歴史を眺めることには意義深いものがあると思うのです。この本で取り上げているのは第一次世界大戦後から。この時代の指導者達は残念ながら世界の情勢を把握できていなかったなと、非常に見通しが甘いまま戦争に突きすすんでいったのだなと思いました。

さらに終戦から安倍内閣までを解説しています。当初の日本が再び軍事化するのを防ぐ占領政策が、冷戦構造下で求められる日本の役割が変わったのをはじめとして、世界情勢の変化とアメリカの政権の変遷などに振り回されて来たことが理解できました。私の意識にあるのは佐藤内閣以後ですが、「私が生活してきた社会はこういう流れの中のものだったんだ」と感心してしまいます。
受験を考えなければ最も大事な現代史、みなさんも紐といてみませんか。

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