料理家ハンターガール奮戦記
ジビエの美味しさを知らないあなたへ
井口和泉
朝日新聞出版
先日TVでジビエ肉を使ったカレー(だったかな)を出す店が紹介されていました。その店主は若い女性。その後図書館でこの本を見つけたのです。「あー、あのときの女性の本」と興味を惹かれ借りてきました。
子どもの頃、我が家では乳牛を2頭飼っていました。子が産まれたのを何度かみました。今になって改めて、子を生ませて子を引き離して牛乳を搾取していたんだなと思います。そんな子牛を業者が引き取りに来ます。可愛がっていた子牛を連れて行ってしまう、そしてそれはまた食肉になったのかも知れません。良質な肉を得るために品種改良をくり返し、優秀(?)な牛の卵子は大量に冷凍保存されて新しい生命を育て、そして食料に変わっていくという。そんな生命から食料に変わっていく現場を他人まかせにして、私達は美味しい食肉を享受している。
自然に生きる動物を食す。美味しいだろうと想像はできますが、実際に自分で捕獲する、生命を絶つ、血抜き、解体、そして食料に変わっていく。その中での自身の心のありよう、つらい気持ちなどがつづられていて考えさせられます。こんな料理家の強さや生き方をよく書いてよく伝えているなと思わせられました。
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