「テルアビブの犬」
小手鞠るい
文藝春秋
読み始めるに当たって「フランダースの犬」のオマージュ作品だと聴きました。
不遇な少年ツヨシと老犬ソラの固い絆、友達となった裕福なの家の少女などが登場し、まさにオマージュ作品。でも泣かされます。
愛犬の死までは「フランダースの犬」同様のストーリーに引き込まれますが、そのあとのアレンジにはちょっと・・・・。ツヨシはソラの献身もあり生き残ります。少年が目指すのは画家ではなく作家、そして「革命」というような思想に傾倒していきます。ネットで探ってみると、これは日本赤軍の人物をモデルにしているのであろうとのこと。でもどうも「フランダースの犬」風のストーリーに革命とか乱射事件とかはそぐわないように思ってしまいます。
フランダースがどうだったか記憶にないのですが、この作品ではツヨシの心とソラの心で語られていきます。両者が主人公ということなのでしょう、でも老犬ソラの献身的な大人の心が「できすぎではないか」、とも思ってしまいました。