「緋の天空」
葉室 麟
集英社
今年8月30日初版の新作。今までこの作家の作品は武士道やその周囲の女性を描いた物しか読んでいませんでした。今回の舞台は飛鳥から奈良時代の皇室の周囲、そして主人公は奈良の大仏をつくった聖武天皇の后:光明子でした。同じ葉室作品でもちょっと趣が違いました。
女性天皇が次々と登場した時代のこと、そして主人公:光明子は天皇ではないけれど国の中心になった人物。資料の少ない時代のこと、それだけ創作部分も多いのだと思います。個人的には、こういった皇室中心の、人物を神格化したようなはなしはあまり好きにはなれません。でもそれはあくまで私個人のこと、この作家も新しい世界に踏み込んだのかも知れません。