団地内のMさんはすでに雨水槽への転用工事を終えている。Mさんが依頼したN社は、我が家も浄化槽管理の契約を結んでいる業者でもある。「最後のお付き合いを当社に」との挨拶も受けていた。そこで、この業者に来ていただいて私の考えを述べ、見積をお願いすることにした。来たのはパリッとした背広を着こなした中年の自信にあふれた営業マンだった。この業者はMさん宅の工事を引き受けていることもあり、雨水槽への転用自体を否定することはなく話を聞いてくれた。こちらの条件としては、
・わが家の排水の下水道公共ますへの接続
・雨樋から浄化槽までの雨水配管
・浄化槽内のろ材の撤去
・浄化槽内の清掃
・雨水利用のためのポンプ及び水栓の設置
といったところだ。これらについて見積を作成してもらうことになり、数日後見積書を手にすることができた。
しかしこの業者には、すでに手がかけた形式にこだわる傾向があった。浄化槽内の隔壁に穴を空けなければ槽全体を一つの水槽として利用することができないという当たり前のことが通じない。「隔壁にはもうすでに穴があいている、それ以上空ける必要はない。」などと言われてしまった。業者は持っている知識を全面に出し、その土俵で話をすすめようとする。周囲に前例のないことをすすめるためには、自己の考えに引き寄せるだけの知識は備えておかなければならない。強気な業者を相手に、このことをすすめていけるかどうか非常に不安を覚えた。
N社との接触
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