真っ赤な空の 夕焼け雲よ
「カオ、カオカオ」と 蛙が鳴いた
すずしい道は もう日が暮れる
まだ、まだうすい お月が見える
みどりの谷の 花にもうつる
真っ赤な空の 夕焼け雲よ
このころの印象的な曲に「夕焼雲」がある。演奏会のプログラムにものったが、練習の中でも実によく歌った曲だ。テナーソロがはいるこの曲に、当時のテナーのパートリーダーがソロを唱った。声の細い決して声量のない方だったが、この曲の情感をたっぷり味わわせてくれた。この方はこの年で社会人となり、翌年からは声のきれいなバリトンがソロを担当するようになった。先生はこの曲のソロをバリトンに唱わせることにかなりのこだわりがあったようだ。本来テナーソロのこの曲にバリトンを当てた先生には、以前の記憶か何か相当な強い印象をもっておられたのだろう。しかし、わたしにとってのこの曲の情感は、この方のテナーソロと一緒に育っていった。この曲も私たちの合唱団が分離唱の合唱に向かってひた走った頃の忘れられない一曲だ。