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諫早湾と遺伝子組み換え

 先日見たNHKスペシャル。
        激震! 巨大公共事業突然の見直し・諫早湾
        埋もれた環境報告書 住民の怒り
という副題(?)。
 諫早湾干拓事業に伴い、諫早湾漁業者の訴えで「海水と淡水を分ける堤防を開門すべき」との判決で揺れる地域の人達のことでした。魚を捕れなくなった漁業者のこと、干拓地に大きな借金をして入植した農業者のこと、開門によって生活がひっくり返ってしまう両者の利害が対立を生んでしまっていることなどがよく理解できました。良くも悪くもつくってしまった堤防とそれによって動き出してしまった社会の仕組み。あとから開門するしないは正しい答えが存在しない。巨大事業を始める前にこそ正しい判断を下さなければならなかったのに、そのための環境影響を予測する専門家達には十分な情報が与えらなかった。それでも報告書には警告が込められていたのに、その報告書は十分に生かされずに埋もれてしまった。
 重たいテーマをしっかり伝えてくれました。そしてこの番組を見ながら私が考えたのは遺伝子組み換えのこと。政府は、
    「学識経験者からは、生物多様性への影響がある可能性はないとの意見を得た」
として日本での遺伝子組み換え大豆にゴーサインを出そうとしているとのこと。諫早のように「はじめに結論ありき」の有識者への諮問だったなんてことはないのでしょうかね。何よりも、動き出してしまった後では誤りに気づいても遅いこと。遺伝子組み換え大豆に相通ずるところを感じる巨大公共事業についてのレポートでした。